仙台市地下鉄東西線が開業するまで
2014.06.26 見学会に参加
2015年12月6日、仙台市2本目の地下鉄として東西線が開業した。太白区の八木山動物園から青葉山を下って広瀬川を渡り、仙台駅、連坊を通って若林区の荒井までをつなぐ、距離にして13.6kmの路線である。開業を翌年に控えた2014年、仙台市としても地下鉄を身近に感じてほしかったのか、複数回の工事見学会が開かれた。当時の私は仙台在住の暇な大学生。律儀に応募して建設中の線路を見る機会を得たのだった。
この日は完成したばかりの広瀬川橋梁のウォーキングイベントが開かれた。大町側の柱は想像よりも細く、橋の下で構造の説明ができるほどの空間があるが、川の上は橋らしい太いコンクリ柱となっている構造。北側に位置する仲の瀬橋に似ているような、あるいは南側にある大橋っぽさもあるような。仙台の母なる広瀬川に架かる橋としての美しさが感じられた。
いざ広瀬川橋梁へ
いよいよ橋を歩いて渡る。開業すれば2分もかからず渡り切るが、歩いて渡れるのはきっと今だけだろう。まだリニアモーターの機器も取り付けられておらず、使われていないレールと真新しいPC枕木が印象的。橋の上から見る仲の瀬橋と大橋も腰を据えて撮れるのはとてもレア。橋の美しさを感じられる時間だった。
2014.11.30 完成間近の駅に潜入
この日は、国際センター駅から大町西公園駅まで橋とトンネルを歩ける見学会が開かれ迷わず申し込んだ。国際センター駅に集合し、開業前の駅に潜入。こういうのは問答無用でワクワクする。ピカピカのコンコースを降りると、無機質なホーム。八木山動物公園方面の線路はリニアモーターの躯体が付いているが、荒井方面はまだ線路だけ。架線も付いたり付いていなかったりとまさに工事中。今しか撮れない光景をカメラに収めた。
軌道が敷かれて臨場感UP!
6月も歩いた広瀬川橋梁を再び歩いて渡ることになった。前回と比べると架線柱の工事が済んでいるなどの進捗が見られた。1年後の開業に向けての仕上げの工事が今後進むことが期待される路盤だった。
トンネルを歩く
ここは初潜入のトンネル部分。歩いて大町西公園駅に向かう。トンネルに入ると、見る限りはすでに架線工事も終わっていた。駅の西側にある折返し設備もしっかり見ることができ、非常時の設備である旨の説明もしてくれた。推進立坑の外側にあたるのか、シールド工法ではなく四角いトンネル構造なのも少し気になった。
センスを感じる「接合部」
大町西公園駅を一度素通りし、青葉通一番町駅方向に行くと、箱型の構造とシールド工法の接続部を見ることができた。ここをピンポイントで説明してくる交通局の担当者、なかなか良いセンスしている。
大町西公園駅
最後は開業前の大町西公園駅の見学タイム。改札となる場所はまだまだ工事中だし、自動券売機も周りだけできていて機械そのものは搬入されていない。地下鉄工事の大半はトンネルや構造物工事なんだろうが、こういう内装工事も開業までのラスト1年で仕上げられ、日々見る地下鉄駅になっていくんだなと強く感じた。
着々と進む各駅地上部の工事
この日は市内でも工事が続く駅出入り口の状況を見に行った。いずれの場所も住宅街で、まだ今後も人口が増えそうな気配があるエリア。地下鉄の開業が街の価値をさらに上げてくれるのが理想である。
歴史と調和の広瀬川
開業後、登場した車両は2000系。小型ながらも東西線ゆずりの丸窓や、デザインの仙台らしさが散りばめられている。せっかくなので広瀬川橋梁を渡る姿と、夏らしい空を入れ込んで撮ってみたく、講義の帰りにカメラを持って河川敷に降りることにしたのだ。かつて歩いて渡った橋に予定通り列車が走っていることに、特別な感慨を覚えた。