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余韻終盤編

連日の長い記事にお付き合いいただき
本当にありがとうございます

ごく一部、楽しんでくださっていると思われる方々に心より感謝しつつ、今日は東京歩きから
北海道へ無事に帰るまでのできごとを綴ります

こうなるとものつくりの真剣な話や
作品のことではないので本当に興味のある方が読んでくださるのですよね
改めて感謝いたします


今回、風の出展が決まってすぐに
娘が休みを取ってサポートすると申し出てくれました
仕事をやりくりして、市川に着いたのは前日の真夜中
2日間とも我がことのように設営からお客さまの対応、梱包までの全てを精一杯手伝ってくれました

毎年2人でどこかに小さな旅に行くのだけど
今年は風のあとに少し東京歩きをしようと計画を立てていました
果たしてわたしの体力は残っているのか。。。
何よりの不安はそれでしたが、なんと意外にも体調を崩すことなく楽しく過ごして来ることができました


3泊した市川のホテルを出て向かったのは
itoという東中野(?だったかな)の洋食屋さん
いただいたのはボンボーヌと言って
ハンバーグのようなオーブン料理
このお店の看板メニューらしくて、これが本当に美味しかった
美味しい上にお店がすてき
男性おふたりでちいさなカウンターの中で手際よく料理ができていく
長い時間、ずっとこの毎日が積み重ねられていることがすぐにわかる

お料理が出てくるまでの間も、ただ眺めているだけで楽しくて
何かの時にお近くまで行かれる方にはぜひにとお薦めしたいお店でした


これはコミカンソウといって
ちいさな粒がたぶんこれからオレンジ色に変わっていくはず
知り合いがつい先日、関西の道端の写真を送ってくれていました

東京(関東?)には北海道では見かけない植物があちこちにあって、ちいさな花や樹木まで
わたしはそんなあれこれを見つけては
いつもの散歩道と同じように
駅を出た細い商店街に向かう道や街路樹
電車の中から見える大きな大きな木まで
「あれはなに!」と忙しいのでした

途中で、電車の中からとても大きな木を見つけて
娘と指差して驚いていると、向かいの座席のお姉さんがわたしたちにつられて窓の外を一生懸命見ていました
ごめんなさい、あなたにとってはおそらくそれはただの木です



夕方になって訪れたのは明治神宮から出た大きな通り
あれは原宿なのかな
ハイブランドが並ぶメインの通りに
Diorのディスプレイが美しかった

全て紙で装飾されていて
これをひとつひとつその手で作った誰かがいるのだと見入ってしまいました


ブランドのものに一切の興味を持たないまま生きてきたけれど、唯一Diorだけは
この世界に入ってみたい
知りたいし眺めていたい
憧れの丘の上




この日は高円寺にある行きたかったキッチン雑貨のお店やspiralへ行って
夜は娘が予約してあるというお店へ向かいました

おしゃれなお店で2人で美味しいものをお腹いっぱい食べて、最後にデザートを頼もうというのでじゃあチーズケーキにしようか、なんて言ったら


なになに
なんなの
なんだよもう

予約してあるってそういうこと!


泣けてしまうではないか

普通のお母さんより断然頼りないけれど
ちょっと違う世界を一緒に感じてもらえてるのかもしれない
大人が真剣に手を動かして
ここにくることがひとりひとりにとってどれほどのことか、わたしを見ていたらきっとわかってくれている

わかってくれていることが、とっても嬉しいのでした

ありがとう




この日泊まったホテルは馬喰横山という街にあって、ホテルの入り口の歩道の脇に
こんな可愛いのがありました

もうこれは採取and観察です

Google先生によると
三時花というそう
ハゼランともいうみたい
なんてかわいい
お部屋に飾って大切に持ち帰りました




これはどうやら
アベリアというそう
葉っぱの並びも、ちいさな白いお花もかわいい

広い歩道にたくさん植えられていて
少し雨に濡れている姿もとても良かったです




そして、すでに終わったと聞いていた金木犀
確かに、もうどこにもありませんでした
香りどころか、花さえもすでに見当たらずガッカリしていたのですが

ほんの小さく見つけました
こんなに小さいんだ

もちろん香りはいくら鼻を近づけてもせず
だめだ、と2人で肩を落としましたが
この小さな花を間近で見て、通り過ぎる人が不思議な顔で見るほど「うわぁ」などと声をあげて写真を撮りました

かわいかったなぁ



この日はここから吉祥寺へ


小さな中華屋さんでお腹いっぱい餃子を食べて街歩き


この小窓から餃子だけを買ったり
食べた後のお会計もこの通りにある小窓からです
お客さま信頼システム


最後に訪れたのはわたしが今回行きたかった場所
いわさきちひろ美術館

Instagramで見ていて、ずっと行ってみたかったところ

分厚い絵の本をひとつ持っていて
平和に対するちひろさんの重たくも優しい表現が好きでした
もちろん、幼い子どもたちが描かれているものはいつも心を柔らかにしてくれます

平和について、ここにもたくさん描かれていました

わたしに何かできることなどほとんどないけれど
知っているだけで少しは違う、その程度だとしても知らないよりはずっといい

ものつくりをして
美しいものを美しいと思う
目にしてくれる誰かが、「見ていたい」とその時だけでも思ってくれる
ほんの少し豊かになることがあったら
それが平和につながる道のひとつではあるのかもしれない


雨の中じっくりとここで楽しみ
そろそろ夜の飛行機に向けて移動しようと
ホテルに荷物を取りに戻り
重たいスーツケースや、買い物した袋などを持って電車に乗りました

ホテルの人が「東日本橋から行けば羽田はそのまま一本ですから」と言っていて、娘調べでもその通りだったので、電車に乗りこれであとはこのまま空港に到着したらちょっとお土産でも買って予定通り

ちいさなヘマはいくつかあったし、慌てて動いてホテルのベッドの硬い角に足をぶつけて傷を作ったりしたけれど、なんとか無事に風が終わったなぁと疲れた体でぼんやりと電車に揺られていたのでした

どうやら電車が遅れている

時間がどんどん経って
調べると結構ギリギリになってしまっていて
ちょっと慌て始めたとき、ふたりともなんだか様子がおかしいことに気づくのです

この電車、横浜に向かっている

なぜなの
どうして
乗ったはずの羽田空港行きが
いつどこからか横浜に向かっている
しかも特急
ちいさな駅で降りて戻ろうにも、いくつもの駅をものすごい勢いで通り過ぎるわたしたちの電車

思い出してもどこでどうやって乗り継いで引き返したか記憶がありません

改札を出て次の電車に乗るまでに何度も人混みに消える娘の後ろ姿
重たいスーツケースを引きずってどうにか追いついて空港行きの電車に乗りました

空港に着いてからも走りに走って
ANAのカウンターに着いたのは出発の10分前
カウンターの女性たちはあちこちに問い合わせてくれたのだけど
息切らすわたしたちに申し訳なさそうに
「お客さま、残念ながら」と言うのでした

あらゆるヘマをして
そうならないようにいつも気をつけているのだけど、いくらなんでも飛行機に乗りそびれたことはありませんでした

時間は20時
この後いったいどうすればいいのか

項垂れるわたしたちにANAのお姉さんが
「30分後に飛ぶ飛行機にお席がございますがいかがなさいますか」

え!乗れるんですか!!

なんとありがたいことに、料金もそのままで
30分後の飛行機にそのままチェックインできるとのこと

何というありがたさ

「遅れる」ことに怯えすぎていたわたしたちはその足で搭乗口へ向かって、無事にそのあとの飛行機に乗り北海道へ帰りました

最後の最後にほんとうにへとへとになりながら
工房からの風、無事に終了しました



什器の準備や、日々の制作の場を保ってくれた
キムラヤの木村さんにも、心から感謝を
作り手としての思いをわかるからこその支えは
厳しくもあり高い目標に向けて背中を押してくれるものでした
出来上がった作品を見せてはあれこれ話す日々は、わたしに小さな自信の糧をくれました

まさかの飛行機乗り遅れは予想外だったとは思いますが、漕ぎ続けた小舟が無事に大海原から帰って来られたのはこの日々の支えのおかげだと思っています
ありがとう


春から準備をして共に走り続けてくれた娘 桃歌にも本当にありがとうを
会場では人の手が生み出すものへのリスペクトを持って、その作品の素晴らしさも感じてくれていて嬉しかった
心に触れるものを素直に感じて、佳いものを手元に置きたいと思う豊かさが彼女の中にあることが嬉しいです
日頃のわたしの失敗も落ち込みも、そしてがんばりも喜びも、娘という立場から見ながらも1人の人として落ち着いて受け止めてくれていることに感謝しています
惜しみないサポートを、ありがとう


今回、そしてこれまでの制作においても
作品を愛で、応援してくださった皆さまへ
みなさんがいたからわたしが作っていられます
本当に心より感謝を
作っていていい、と許されているのは
見てくださる方がいてこそです
刺繍を眺め、手に取り、言葉を交わしていただいたことのひとつひとつがわたしの人生の彩りです
ありがとうございました


おしまいに
工房からの風を長い長い時を重ねて続けてくださっている稲垣早苗さんに、心から感謝を

作り手に送られてくるメールには
稲垣さんの真ん中がありました
誠実な言葉は厳しくもあるけれど、本気の真ん中なのでした
「作り手を応援する人でありたい」
多くのタスクを抱えて、いつも信じられない仕事量とご家族のことがありながら
終わってからのわたしの反省や疑問に、丁寧に考えお応えいただきました
これを、つながる作り手に真摯に向き合い続けて来られた

そこに集う風人さんや庭人さん、ヒナタノオトさんのスタッフの方々、作り手はもちろん
そして楽しんで来られるたくさんのお客さま

この場の豊かさと純度は
みんなの心持ちでできているのだと思います

この世界にいたいなぁと思います

疲れていて、帰ってきて少しずつやらなければいけないことを進めて、事務的なことをやりつつ次の制作の準備をしています


摘んできた菊の綿毛
このまま刺繍したい

ノートを見ると、軽いスケッチや作ろうと思ったアイデアが

心が動いて、早く手を動かしたいと思いつつ
連日、長い時間をかけてこのnoteを書いています

3日もかけて書くつもりはなかったのに、本当に長々と書いてしまいました
記録として残したくて、あまり読み返して修正したりせずに勢いのまま綴っています

読みにくいところ、いつもに増して多いと思います
最後までお付き合いくださった貴重な方々、本当にありがとうございました

作ることで、またお会いできますように!
惜しまず、ど真ん中を作り続けて
丘の上を目指します

工房からの風2024
出展して、ほんとうによかったです
関わってくださったすべての方に感謝を込めて

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