MARVEL SNAPカード考察「レギオン」

久しぶりに考察しがいのあるカードが出たので、書いてみよう。MARVEL SNAPの個別カード考察「レギオン」編。カード効果が派手で、勝敗に大きな影響を与えられるカードで、デッキ構築のやりがいがある。


レギオンの基本性能

コスト:5
パワー:8
能力:公開時 他の各ロケーションをこのロケーションで置き換える。

5コストカードの標準パワーは9(無能力カード基準)なので、レギオンのパワーはやや控えめ。5コスト帯はデビルダイナソーやアイアンマンなどロケーションへの10パワー以上の貢献が期待できるカードが多いため、パワー要員としてはパワー不足は否めない。しかし、パワー9以上のカードを破壊するシャン・チーの存在により、それをギリギリ回避できるという意味ではパワー8の価値は小さくはない。

しかし、レギオンの本領はパワーではなくて能力の方だ。「他の各ロケーションをこのロケーションで置き換える」というのはパッと見わかりにくいが、要はレギオンを出すと残り2つのロケーションがレギオンを出したロケーションに変化するということ。ロケーション公開時に発動する効果は、ロケーションが変化するときに発動する。この効果が非常に強烈で、対象とするロケーションによるが5ターン目にゲームを決定づけられることが少なくない。レギオンの能力を活かす方法は3つある。以下でそれぞれを説明する。

ロケーション押し付け

おそらくレギオンの一番オーソドックスな使い方。ゲームに登場した3つのロケーションのうち、自分にとってゲーム展開が有利になるロケーションをコピーして押し付ける。ゲームに登場する3つのロケーションはランダムに選択されるので、上手く利用できるかどうかは運に左右される。しかし、運任せで終わりではなく、デッキ構築の段階からロケーションを利用して有利状況を作りやすくすることで、レギオンを上手く使えるかどうかが大きく変わってくるためデッキ構築のやりがいがある。この点についてはあとで詳述する。

スタークタワーによるバフを自分だけ最大限に受けて、シュリニムロッドに押し勝った例
(ウルヴァリンの飛び先次第で負けてたけどね)

ロケーション潰し

相手が特定のロケーションを利用してゲームに勝利しようという様子が見て取れる場合に、別のロケーションでそのロケーションを潰すことで、相手の狙いを外す。例えばマジックで7ターン目での勝利を狙っている相手にレギオンでリンボを潰してゲームを6ターンで終わらせるなどだ。ロケーション潰しは、スカーレットウィッチなどの他のもっと軽量で汎用性の高いカードで代替することはできる。しかし、レギオン1枚で前述したロケーション押し付けとロケーション潰しの両方に対応できるというのはレギオンの強みだ。

マジックによる相手のロケーション変更を潰した例。
ついでにシュリの後ろのスペースまで潰してしまった

ストームとのコンボ

レギオンによるロケーションの押し付けは強力ではあるが、ゲームに登場するロケーションがランダムであるため、安定して成立させることはできない。これを安定して成立させる方法が3コストカードのストームとのコンボだ(以下ストームコンボと記載)。ストームを出したロケーションは、2ターン後に氾濫状態となりカードをプレイできなくなる。4ターン目にストームをプレイし、5ターン目に氾濫直前のロケ―ションをコピーすることで、6ターン目に全てのロケ―ションを氾濫させて、カードをプレイ不可能な状態にする。4ターン目にストーム、5ターン目にレギオンが手札にあれば成立するコンボで、かなり安定して実現するためレギオンの強力な使い方の1つだ。

ストームコンボ成功例。6ターン目がスキップされるので
バウンスのような後半強いデッキは、なすすべがない。

レギオン採用デッキの方向性

レギオンは非常に強力なカードだが、デッキ構築の段階でしっかり考えておかないと上手く機能させることは難しい。ここではレギオンの強みを活かすためにどのような方向性で、デッキ構築を行えばよいか考えてみたい。

ストームコンボ特化型

ストームコンボ特化型のデッキ例1.ハイエボを採用しないタイプ。

ストームとレギオンとのコンボは非常に強力なので、このコンボに特化したデッキ構築は方向性の1つだ。ストームコンボ特化型のデッキ構築に求められる要件は以下の通り。

  • 4ターン目にストーム、5ターン目にレギオンを安定してプレイできる

  • 6ターン目にお互いにカードをプレイできないという前提で、2つのロケーションを確保して勝利できる

  • 勝利プランの成立までに相手の妨害を受けにくい

1番目の項目の達成には、アメリカ・チャベズの採用が効果的。デッキ12枚のうち1枚を確実に引かないようにすることで、コンボパーツ2枚のドロー率を高める。アダムウォーロックなど他のドローカードの採用はデッキの特性上厳しいが、4、5ターン目にコンボパーツが引けていないときにデッキから直接引っ張ってくる可能性を残すために、ジュビリーの採用はありかもしれない。

2番目の盤面ロックが成功したときにちゃんと勝てるようにするためには、1~3ターンに高パワーカードを展開して十分なリードを作ること、カードをプレイできない6ターン目を活かせるカードを採用すること、移動などによりパワーの微調整ができるようにしておくことが考えられる。
1コスト帯では、サンスポット、ネビュラは6ターン目も活用してコスト比パワーが高くできるので、ほぼマストピック。エボニー・マウやティタニアなどデメリット持ち高パワーの採用もこのデッキなら肯定される。
2コスト帯では、リザード、シルクなどコスト比パワーが高いカードを採用する。またジェフは、移動でパワー配分をあとから微調整できること、本来カードがプレイできない6ターン目にもプレイできることの2点からほぼマスト採用。
3コストは、3ターン目に2+1コストのプレイもできるので、必ずしも必要ではないが、マキシマスやミスター・ファンタスティックなどトータルパワー重視のカードを採用する。
ここまで言及してこなかったが、ストームコンボ特化型のレギオンデッキでは、ハイ・エボリューショナリーの採用も有効で、この場合はワスプ、ミスティ・ナイト、サイクロプスがセット採用カード候補になってくる。4ターン目、6ターン目の2回エネルギーが余るため、ミスティ・ナイトとサイクロプスの効果が得られるのと、0コストでデバフ能力付きのワスプをプレイできるのがハイエボ型の強みだ。

ストームコンボ特化型のデッキ例2.ハイエボ採用型

3番目の相手の妨害については、まずどのような妨害があり得るかを考える必要がある。1つはストーム、レギオンいずれかの公開時効果を邪魔されること。ただこれについては、1~3ターンに高パワーカードを展開する関係上、先攻が取れることが多いため、コスモやジャガーノート、エアロなどのカードに妨害される可能性は低い。もう1つは、キルモンガー。こちらの方が深刻で、どうしてもストームコンボで勝つためには1コスト高パワーカードに頼らざるを得ないため、キルモンガーで破壊されてしまうと勝つことは難しい。対策としてはアーマーの採用が考えられるが、2コストカードのパワーとしては落ちてしまうので、キルモンガーを割り切るかどうかの判断となる。

ストームコンボ組込型

ストームコンボ特化型が、ほぼストームコンボに絞って勝ちを狙うのに対して、サブの勝利プランを用意してゲーム展開に合わせて勝利プランを切り替えるのがストームコンボ組込型だ。ストームコンボそのものの成功率は下がるものの、柔軟なゲーム展開ができるのが強みだ。とはいえ、ストームコンボをプランとして残す以上、採用カードにはかなり制約がかかってくる。

ストームコンボのサブプランとしてプロフェッサーXを採用したデッキ例。
ドクタードゥームとのシナジーを重視してスパイダーマンもあり。

ストームコンボにサブプランを素直に組み合わせやすいのはレーンコントロールだろう。もともとストームコンボ自体が全ロケ―ションを一気にロックする特殊なレーンコントロールのようなものなので、採用したいパーツに類似したものは多い。5ターン目にレギオンの代わりにプロフェッサーXかスパイダーマンでロケーション1つを確保するのがサブプラン。もう1つ必要なロケーションはストーム+(サンスポット or ネビュラ)あたりで確保するか、純粋に読み合いで取り合う。ドクター・ドゥームもストームコンボを使わない場合に横から展開する切り札になる。ただ、あんまり色々詰め込むと、どっちつかずになってしまうのが、ストームコンボ組込み型のレーンコントロールの難しいところだろう。

ストームコンボ組込型のゼロキュラデッキ例

もう1つストームコンボを組み込んだレギオンデッキの例として、私が試しているゼロキュラを紹介したい。ストームコンボの特徴は低コスト高パワーカードを多く採用していることだ。そしてゼロキュラデッキもまた、ドラキュラで最後に高パワーカードを廃棄するために、低コスト高パワーカードを多く採用する。そこでこの2つの勝利プランを組み込んだデッキを試しており、かなり戦える手応えを感じている。もちろんドラキュラプランで行くときのノイズにレギオンはなるし、採用カードのコスト帯の調整などまだまだブラッシュアップの必要はあるが、一つの参考にしていただければ幸いだ。

左がドラキュラプランの勝利盤面(相手が撤退)、右がストームコンボの勝利盤面。
まだ研究中なのでパーツが定まってません。

ストーム非採用型

ここまで紹介してきたレギオン採用デッキは全て、ストームコンボを意識した構築になっている。しかし、レギオンのゲームに及ぼす影響力は大きいので、ストームを採用しないデッキにレギオンを採用することは十分に選択肢になる。この時意識しておく必要があるのは、コンボで使わないということはレギオンが活躍できるかどうかは出現するロケーションに左右されるのでデッキの軸にはなり得ないということだ。最近レギオンが強いというのが話題になっているが、ストームコンボ以外ではレギオンはいつでも活躍できるわけではない。雑にデッキに突っ込んでいつでも大活躍するイメージで使えば、運任せの弱いカードと感じてしまうかもしれない。
ストーム非採用デッキにおけるレギオンは、例えるならシャン・チーやキルモンガー、ウェーブのようなメタカードの一種と捉えるとわかりやすい。毎試合で活躍するわけではないが、ここぞという局面で相手の意表を突き、SNAPによって大きく勝つ。もちろん、ここぞという局面はロケーション運に左右される。しかし、だからこそ読まれにくい。例えば5ターン目に自分がデビルダイナソーを出した場合、当然6ターン目のシャン・チーを警戒する。特定のカードを狙い撃つメタカードは警戒されやすいのだ。しかし、ロケーションは運任せであり、ストーム非採用型のレギオンデッキは見かけ上、別のコンセプトデッキにしか見えないので、ロケ―ションを利用して急に刺されるとは相手は想像しにくい。これは本当に強力な切り札だ。
また、環境にバウンスが多いからウェーブを採用したらランプデッキに当たったとか、シャン・チーを採用したらパトリオットに当たったとかの経験はないだろうか?結局のところメタ環境読みはあるとはいえ、メタカードの採用も活きるかどうかはある程度運に左右されるのだ。であれば、レギオンが運に左右されるからという理由で採用をためらう必要はあるだろうか?

さて前段が長くなったが、ストーム非採用型のレギオンデッキについてだ。前述した通り、レギオンはメタカードとしての採用なので、基本的には何らかのコンセプトデッキにレギオンを混ぜておくようなイメージだ。どんなデッキも得意ロケ―ションや苦手ロケ―ションはあるので、自分の得意ロケ―ションか相手の苦手ロケ―ションが出たときに切り札のレギオンで勝つ。
こう書くと、どんなデッキにレギオンを入れても良さそうに見えるが、レギオンが活躍できる可能性は採用するデッキによって全然違ってくる。その理由は、デッキタイプによってロケ―ション影響の受けやすさが違うこと、ロケーションに出現確率があること、の2つだ。

デッキによるロケーション影響の受けやすさとして、わかりやすいのはロケーションに置かれたカードのパワーを増減させるものだ。代表的なものを下図に示している。カードをたくさん並べた方が影響が大きいロケーションの方が、置かれたカードが少ない方が影響が大きいロケーションよりも断然多い。つまりパワーの大きいカードを1枚ずつ展開するようなデッキよりも、1枚1枚のパワーは小さくてもカードをロケーションに並べるようなデッキの方がロケ―ションの影響を受けやすい。

デバフであっても、ルークケイジを採用すれば自分だけ影響を回避できる

またロケ―ションにはレアリティがあり、ゲームに登場しやすいものと、登場しにくいものがある。ゲームに登場しやすいロケ―ションを活用しやすいデッキの方がレギオンを切り札として活用できる可能性が高くなる。代表的なものはトークン生成ロケ―ションだ。盤面にトークンを生成するロケーション例を下図に示す。意外に種類も多く、レアリティが低いためゲームに登場しやすい。そしてこれらは全てパトリオットのバフ対象だ。

プレイしていて目にすることの多いトークン生成ロケ―ション
これはロケーションのレアリティが低く出現率が高いためだ

以上より、ストーム非採用型のレギオンデッキで強いものとしてパトリオットデッキが考えられる。例えば下のようなものだ。

レギオン採用のパトリオットデッキ例

見てわかる通り、パトリオットデッキにレギオンを入れただけのデッキであまり面白みはないが強い。カードが横に並ぶのでパワー増減ロケーションの恩恵も受けられるし、トークンロケーションが出たらレギオンでコピーしてトークンで盤面を埋めて妨害する。自分はパトリオットでバフをかけられるので高確率で勝てる。もちろん、レギオンが使えない状況でも、普通にパトリオットデッキとして立ち回ることができるので、十二分に戦える。ルーク・ケイジはパワーマイナスロケーションの影響を自分だけ無視するために採用。レギオンを採用する場合、セット採用を常に考えて良いほど相性のいいカードだ。ジェフもレギオンと相性の良いカードで、ロケーションを埋めてしまう関係上ジェフを上手く使ってスペースをやりくりしたり、侵入不可ロケーションをジェフで取って勝つことは多い。デアデビルの枠はワスプかミスティ・ナイトの方が良いかもしれない。ただ、デアデビルもレギオンと相性の良いカードで、5ターン目の状況を見極めてからレギオンを出すために採用している。

セントラル・パークやサヴェッジランドには助けられることが多い

まとめ

レギオンは、事前評価で強いと思っている人はものすごく少なかったように思う。その反動で今かなり話題になっている。ストームコンボの派手さや、勝利盤面のインパクトの強さもそれに拍車をかけている。一方で、評価の振れ幅があまりに大きかったことや、効果が活かせるかが運に左右されるという面から「言うほど強いか?」「運任せで実は弱い」という声もある。ただ、私は強いカードだと思う。運に左右されるとは言え、それなりに高い確率でゲームに大きな影響を与え、勝敗をひっくり返す力があり、シャン・チーなどと比べて相手に読まれにくく、メタカードなのに5コストでパワーが8もあると考えると、破格ではないだろうか?デッキ構築も研究のしがいがあり、採用カードによってロケ―ションの受けが全然変わってくるので、運次第で片付けられない面白さがある。引き続き色々と試してみたい。


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