プレイヤーはみんなMARVEL SNAP運営の掌の上で踊っているのではないか?
MARVEL SNAPの新シーズンが始まり、前々からうっすらと感じていたことを改めて強く感じているので、今回はそのことについて書いてみたい。書きたいことは、一口に言ってしまうとMARVEL SNAPの運営は恐ろしくクレバーで、プレイヤーはその掌の上で踊っているのではないかということだ。ここでいう「クレバー」という言葉は、半分は運営が上手いという意味で用いており、もう半分はプレイヤーを騙すのが上手いという意味で用いている。断っておくが、特に後半部分については検証が困難であるためにあくまで仮説であり、ちょっと陰謀論めいてさえいるので話半分で読んで欲しい。
メタの回り方について
まずは、穏当な前半の運営の上手さについて。MARVEL SNAPをプレイしていて感じていることなのだけれど、MARVEL SNAPは環境のメタを回すのが上手い。これはMARVEL SNAPの新カードの追加方法が1つ鍵になっていると思う。以前書いた記事でも考察したが、MARVEL SNAPのカードプールはシリーズと呼ばれるカードセットが分類されており、ゲームを始めてからプレイヤーはカードをシリーズ1、シリーズ2、シリーズ3、・・・と順に入手していく。これを利用して、プレイヤー層のボリュームゾーンの保有カードがシリーズ1、シリーズ2、シリーズ3と移り変わっていくごとにメタが遷移していくように設計されているのだ。具体的な遷移過程を見てみよう。
これまでのメタの変遷
シリーズ1までのカードプールでは、強い1コストカードが多く、1コストカードのパワーを+1するカイ・ザーと全てのカードのパワーを+1するブルーマーベル、さらに両カードの永続効果を2倍にするオンスロートがプールに存在するため、KAZOOと呼ばれる横並べデッキが最強である。
シリーズ2では、1コストカードを全て破壊するキルモンガーが登場することで、KAZOO最強のメタは完全に破壊される。これにより、縦に大きなカードを連続してプレイするムーンガール・デビルダイナソーのコンボを中核に据えたデッキが存在感を増す。ただし、シリーズ2にはデビルダイナソーに対するカウンターであるシャン・チーも存在するため、シリーズ2の中でもメタが回る構造となっている。ゲームの運営が始まって1カ月くらいでこのフェーズに到達していたと記憶している。
シリーズ3に突入すると、カードプールが非常に広いため、プレイヤーごとに入手するカードの順番が全く異なることになる。そのために、入手できたカードによって組めるデッキが異なるために多様なデッキが環境に登場する仕込みがなされている。永続・破壊・廃棄・セレブロ・パトリオット・セラミラクル・ロックジョー・ネガティブ・移動etc. etc.といった感じだ。
しかし、シリーズ3に突入して時間が経ってくると、好きなカードと交換できるトークンの追加などもあり、多くのプレイヤーがシリーズ3の強いカードの大部分を所有するようになり、その中で強いと言われるデッキがメタの中心となってくる。BAEROと呼ばれるデッキなど6ターン目のフィニッシャとしてリーダーを採用したデッキが代表。これがサービス開始から2カ月くらいの時点だ。このあたりで、リーダーばかり見るようになり環境の煮詰まりを感じ、他のDCGと同じような展開になるのかと残念に思ったものだ。
ここで終わらないのが、MARVEL SNAPの上手いところで、6ターン目のリーダーが強いなら、その前に無効化してしまえばよいと、相手の手札の全てのカードの効果を封印するリーチが環境に登場してくる。また、3シーズン目に入り追加されたカードのシルバーサーファーは、強い上にリーダーの能力が刺さりにくいカードになっており、ここでまたメタがぐるりと回る。
さらにこのあたりで追加されたシリーズ4、シリーズ5のカードにも、ギャラクタスやシュリなどデッキ構築の中核になり得るものが含まれていた。シリーズ4、シリーズ5のカードは、現時点では入手が容易ではないため、時間をかけてメタの中での存在感を増していく。これが丁度3シーズン目の終盤のメタスナップショットだ。
4シーズン目が始まり、追加されたザブーもまたメタを回しそうなカードとなっており、これからメタがさらに動きだそうとしている。
メタを回すためのギミック
ここまでにも記述したように、メタを回すための重要なギミックはプレイヤーのカードの入手速度と、それをコントロールするためのカードの入手難度だ。シリーズ3までは、カードプールが広いためプレイヤーが時間をかけてこれらのカードを入手していく過程でメタが回っていくような仕組みが組まれている。一方、このやり方はずっと続けていくことはできない。カードの数が多くなりすぎると、メタのコントロールは難しくなるし、運営側の管理コストも大きくなってしまうからだ。
ではどうするかというと、その答えはシリーズ4とシリーズ5だ。シリーズ4とシリーズ5はカード入手がシリーズ3と比べてかなり難しくなっている。そのため、追加カードの数自体は少なくても、これらのカードを入手して環境で使用するプレイヤーの数は、追加直後は極めて少なく、長い時間をかけてゆっくり増えるような構図になっている。ギャラクタスもシュリも強いのだけど、環境で存在感を増すには長い時間がかかっているし、完全に環境に浸透すれば、またこれらをメタることによってメタが回るはずなので、メタが固定化しないのだ。
もう1つ、メタを回す上でのギミックとして機能しているのではないかと思っているのは、注目・頻出ロケーションの存在だ。特定のロケーションが頻出となると、採用カードに影響を及ぼすが、運営側はこの注目・頻出ロケーションを利用してメタを回しているのではないかと思う。
例えば、ラメンティス1号星というロケーションが頻出となったとき、0コストでパワー12をプレイできるデスが採用必須レベルであった。これに対するカウンターの1つとしてリーチをデッキに採用する動きが生まれた。リーチの能力を受けるとデスがプレイできなくなるためだ。ちょうど、リーダーのカウンターとしてリーチが刺さるということで採用され始めたのがこの時期で、リーチがメタを回すきっかけの1つはラメンティス1号星が頻出ロケーションだったことではないかと思っている。他にも、最近オメガラボが頻出となり、シャン・チーが採用必須レベルとなった。丁度、シュリデッキが増えてきて、シャン・チーを入れるかどうか迷うタイミングで、シュリデッキがメタの中で立ち位置が悪くなるロケーションが頻出となるあたり、運営はもしや狙ってやっているのではと感じるのだ。
いずれにしても、ハースストーンが100枚以上も新カードを追加しても、環境が代わり映えしないなあと嘆く状況がしばしば見られるようなものと比べると、ここまでメタのコントロールを上手くやっているのは驚異的だと思っている。
BOTとランク戦の仕様について
さて問題の後半だ。前々から不思議に思っていたことがいくつかある。
1つはtwitterでのイニフィニティランクに到達したという報告が、新シーズンに入った直後と、新シーズンが終わる直前の駆け込み時期に多いということ。もちろん、上手い人は新シーズン早々にランクを駆け上がり、イニフィニティ到達できるかギリギリの実力の人が駆け込みで到達しているというのは自然な見方かもしれない。しかし、実力というのはなだらかなグラデーションを描いているはずで、インフィニティランク到達報告の頻度というのもシーズン開始から終了まで、だいたい同じくらいになった方が自然のはず。しかも、シーズン終了間際のインフィニティランク到達報告は、それまでランクが停滞していた人が、突然するするとランク10とかランク20くらいを一気に駆け上がって到達したという人が少なくないように思う。かく言う私もその一人で2週間以上ランク85前後で停滞していたが、最後の1週間でランクを駆け上がった。同じようにプレイしていてもランクが停滞して全然上がらないときと、するすると上がるときがある。しかも、少なくないプレイヤーが、同じようにシーズン終了間際にするするとランクを駆け上がる。少し不自然に思わないだろうか?
もう1つは、MARVEL SNAPのマッチングの仕様だ。開発者によると、マッチングは、プレイヤーのランクとカードプールを参照し、ランクとカード資産が近いプレイヤーをマッチングするようになっているらしい。これは本当に機能しているだろうか?少なくともシリーズ5のカードを1枚も持っていない私は、シリーズ5のギャラクタスやシュリを採用したデッキと頻繁にマッチングするし、ランク80台で停滞していた時期からマッチング相手はインフィニティランク到達時に貰える称号を付けた人としょっちゅうマッチングした。
MARVEL SNAPではマッチングした相手の情報をほとんど見ることができない。見られるのはアバター・名前・称号・カードバックのみで、相手のカードプールはもちろん、ランク戦にも関わらず相手のランクがいくつなのかも見ることができないのだ。もっと言ってしまえば、対戦相手が人間なのかどうかさえ明確に判別する方法はない。多くの対戦型ゲームにおいて、マッチングなどの事情により人間ではなく、BOTと対戦することになった場合、BOTであることがわかるようになっている(プレイヤー名などから判別可能)。しかしMARVEL SNAPでは、相手が「BOTっぽい」と思う瞬間はあるが、判別する手段はない。デッキや採用カードは、環境デッキのコピーのようなものが多く感じられ、名前の付け方、プレイングの癖、色違いカードの採用状況などからBOTっぽいことはわかってもBOTと確定させる方法はない(と思う)。(また、運営がBOTについて公式な声明を出しているか私は知らないです)
そして、最近新しいシーズンに入って、配信を見ていたりTLを見ていたところ、新シーズンに入った直後はBOTが多いのではないかという疑惑を持っている。ランク帯にもよるかもしれないし、確認する方法はもちろんないけれど。もしそうだとすると、何故だろうか?ランクリセット直後は近いランク帯のプレイヤーは多いはずだし、プレイするプレイヤーも多いはずなのに。
私の仮説は、プレイヤーにプレイを継続させるためというものだ。プレイヤーがゲームを辞めてしまうのはどんなときだろう?新シーズンが始まって喜び勇んでプレイしたら、負けがこんでランクがリセット後のランクから更に下がってしまったら辞めたいと思う人もいるのではないだろうか。また前シーズンにはインフィニティランクに到達できたのに、次シーズンでは頑張っても到達できなかったときはどうだろう。
私は、MARVEL SNAPの運営が、なるべく多くのプレイヤーにプレイを継続させるために、新シーズン開始直後やシーズン終了間際にマッチングにおけるBOT比率を増やしているのではないかと疑っている。もしかすると、プレイヤーのランク分布などを見ながら、もっと柔軟にコントロールしているかもしれない。こう考えると、TLにおけるインフィニティランク到達報告や、同じようにプレイしていてもランクがするする上がるときがあることの説明がつくのだ。もちろん、運営側がこれを確認する方法を提供していないから確認することはできないし、確認できない仕様もこれをうまく隠すためじゃないかと思う。念のためもう一度言っておくが、これは全て私の仮説だ。
まとめ
改めて振り返ってもMARVEL SNAPの運営はクレバーだ。これほど上手くメタをコントロールしているのなら、プレイヤーもコントロールしているのではないかと思うほどに。もしかすると、「新シーズン開始から3日でイニフィニティ到達できました!」という報告も、「シーズン終了間際に駆け込みでインフィニティランク到達できました!」という報告も、MARVEL SNAP運営の掌の上なのかもしれない。それでも、気持ちよく踊れる掌の上なら、踊るのもまた一興か。