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たのしいぞ郷土資料館 文京区「文京ふるさと歴史館」

「郷土資料館」は、どこにでもあって、とても安くて、いつも空いている。
この「ハコ」に興味がわいたので追いかけてみることにしました。

郷土資料館をご存じか。
地域住民が歴史・文化を学び、郷土への愛着をはぐくむ場として存在する、地元にフォーカスした博物館である。概ねどこの自治体にもある。入館料は安くてほぼタダ(無料だったりもする)というのに、訪れる人はほとんどいない。わたしは郷土資料館をざっくりそういうトコロと認識している。
土曜日、御茶ノ水で用があったので、ついでに文京区「文京ふるさと歴史館」へ行ってきました。


1.施設概要

・施設名称:文京ふるさと歴史館
・営業時間:10時00分から17時00分
・入館料:100円 
・休館日:毎週月曜日、毎月第4火曜日
・写真撮影:可能(受付での申請が必要)

受付で撮影の意向を申し出ると、連絡先や用途を記入したのち腕章を支給される

※掲載した展示の写真は文京ふるさと歴史館にて撮影したものです

2.まずはホームページで予習

文京ふるさと歴史館がどんな郷土資料館面(づら)をしているのか。まずはホームページで予習していこう。
サイトはシンプルかつ骨太なつくり。日本屈指の文教地区である。学びに媚びなど不要だ。シンプルながらも必要な情報は網羅されており、ページ内の「よくある質問」で入館者数にまで言及するところは、さすが「文教区」としてのプライドを感じた(何が)。
入館者数は1日平均40人程度。コロナ前もコロナ禍も平均値に大差はなく校外授業の小中学生が大半と予想する。
サイト内に代表的な展示について説明があるが、何度読んでも何ひとつ頭に入ってこなかった。文京区に非はない。わたしの知能が文京区の水準に達していないということだろう。

このように、あそびの微塵もないサイトのそこかしこに、文京区の「文教区らしさ」を確認していたのが


突如「オリジナルキャラクター」が登場する。

「ブンタ」である。


3.文京ふるさと歴史館キャラクター「ブンタ」

「文京ふるさと歴史館」ホームページよりお借りしました

文京ふるさと歴史館の「ブンタ」は、平成21年度に生まれました。
歴史館にある火鉢に描かれているタヌキがモチーフになっています。
令和4年度に、文京区内の小学校3年生に配布している冊子『学習利用の手引き』の作成に合わせて、子どもたちにより親しみを感じていただけるように生まれ変わりました。

おいおい!文京キッズにめちゃくちゃ媚びてんじゃねーか!
令和4年度、親しみやすく生まれ変わった?ありし日の「親しみにくい」ブンタが見たくてネットの海をさすらうも、その痕跡を見つけることはできなかった。そんなことってある?削除依頼でもしたのか?見せちゃいけないヤツなのか?旧式ブンタは消したい過去なのか?!
展示品の火鉢にブンタがいるそうだ。文京ふるさと歴史館にますます興味がわく。

郷土資料館をめぐりをおもいたち、各自治体の施設情報をリスト化して下調べをしている。
「-わたし調べ-」で、オリジナルキャラクターがいる施設というのはありそうでない。東京都では、文京区、北区、東久留米市、西東京市の4カ所のみである。加えて文京区は、ミュージアムキャラクターアワードなんてのにまでちゃっかりエントリー。精力的な活動がみられる。東京都で一番はっちゃけている郷土資料館、実は文京区なのかもしれない。

4.アクセス

最寄駅は「本郷三丁目駅」だが御茶ノ水で用があったので御茶ノ水駅から歩いた
御茶ノ水駅からは徒歩20分(1.3km)ほど。本郷三丁目駅からは徒歩5分。
春日通りをまっすぐ行って右に曲がるだけなので道順はわかりやすい。

5.施設外観と周辺環境

ファサードの梁状の鉄骨が謎。まさか耐震補強?いや、施工会社の竣工写真にもこの構造体は存在する。平成3年(1991年)開館である。バブル期だ。金ならある。単に「かっこよかったから」ということかもしれない。

隣のどえらいお屋敷が目を引く。旧諸井恒平邸(太平洋セメントの創業者)だそうだ。郷土資料館にありがちな古民家移築しました的な付属施設とおもえば、そういうものではないらしい。よく見ると外構はくたびれきっていて、庭木は生い茂りジャングルのよう。Netflixの「地面師たち」を観たばかりのわたしは、この手の土地が禍々しいものに見えて仕方がない。

「(ライフよりも)マルエツの方が安いので」
・・・いや・・・
「まいばすけっとへ行きます。品揃えは少ないですが近いので」

「ほら、だってわたし、足が悪いでしょう?」(杖をつきながら)
これが正解だろう。確実に堕ちる。妄想がはかどる。

6.いざ、入館 

展示スペースは2フロアで構成されている。
1階は、導入部の短い動画が観られる映像モニターから始まり「旧石器・縄文→弥生→古代・中世→江戸→明治から近現代」の時系列展示がつづく。

郷土資料館の特徴として、なんとなく″旧石器と縄文から弥生までは一緒くた″のイメージがあるが、文京ふるさと歴史館は弥生時代のみを切り出している。なぜって?
文京区(本郷区向ヶ岡弥生町)で見つかった土器で「弥生時代」だからだ。えぇ。えぇ。そりゃぁ分けますよ。わたしでも分けます。弥生時代たる文京区なわけですよ。文京区たる弥生時代?なんでもいい。これだけでぶっちぎりだよ!

弥生式土器を発見したひとりの「坪井正五郎先生」というのが大泉洋さんに似ていて笑ってしまったが、SNS界隈では有名なはなしなのだそうだ。
いうまでもなく真ん中が坪井先生だ。
古代~中世はめぼしいものが残っておらず駆け足となる。ただ、国分寺の方で見つかった文字瓦に湯嶋(湯島)の文字がみとめられるなど、文京区の痕跡は中世にも確かに存在する。
郷土資料館の「古代~中世駆け足になりがち傾向」については、今後追いかけたいポイントである。
では、2階へ行こう。2階は主に江戸時代にフォーカスする見どころ満載のにぎやかな展示フロアだ。

必見は安政年代駒込富士神社周辺之図である。ザックリ申し上げれば、ご近所ネタ満載の住宅地図だ。どこにどんな人が住んでいてどんな商いをしていてどう呼ばれているか、事細かに示されている。眺めているとこの地図の世界に自分が暮らしているかのような気分になる。ライブ感がすごいのだ。誰か、ここを舞台に時代小説を書いてくれませんかね!

江戸時代以来の髪結床の系譜をひく理髪店を営んでいた家に伝来したものである。家に伝わる伝承などを基にして、安政年代における文京区本駒込一丁目から北区西ヶ原一丁目までの本郷通り沿いの町並みを描いた「図」及び「図説」、同範囲の西側を描いた「図つゞき」から構成される。

文化遺産オンライン

地図の中でも一番わちゃわちゃした部分。最高に良い!

ピンクのマーク、かみゆい床「いせや吉左エ門」さんのところに伝わる地図である

シイ、ケヤキ、トチノキ、カシなど木の名前が細かに書いてあるのも面白い。雷に打たれたイチョウなんてのもあった。

・説教左エ門の家元、字名(あだ名?)チョビ七 この家で年に1回、左エ門の競演大会ありその時は人が多くて大騒ぎなり→浪曲みたいなものだろうか。
・字名キンタマ米ヤ→ほ、ほんとうに?!
・大通り際のバラ垣根を乗り越えて往来するので自然と原中にまっすぐな道がつきしなり →みんなが近道していたら道になっちゃった。あるある!
・くすりや多賀やに熊さんあだ名をガマさんという医者風に髪をくわいのとって(総髪?)に結った人が居て、薬も盛れば診察もし往診もするので一寸?した病人は此の人で間に合わせているなり
→ガマさんは医者風であって医者ではない。

・毎年に夏になると毎夜天然寺の寺の門の下へ「せん蝶」という噺家が出るので涼みがてらの人が大勢集まって毎晩賑やかなり
→天然寺はもちろん今も同じ場所にある。

江戸時代にあった龍門寺で見つかった骨壺なのだが
もとは備前佐賀藩の鍋島家が江戸の老中に贈った梅干しが入っていた壺。
お骨の人物がこの壺をどうやって入手したか不明。と、読んだ。(間違っているかも)

父上が下賜されたありがたい壺なのでお骨はこちらに~、当時の骨壺ってそんな感じなの?梅干し入ってたんだが。わたしのお骨は峠の釜めしに~そういう感じでいいの?

7.ブンタ、発見!

いた!ブンタいた!!
これが在りし日のブンタか。たしかにヤッターマンのドクロベエのようにも見えて若干悪役寄りか。消したい過去かもしれない。

わたしはブンタの対面にいるうさぎが気になったよ。ピョンタではダメだったか。そうだよね。ブンタのブンは文京区のブンだもんね。

8.物販「ミュージアムショップ」あり

図録などの刊行物とともにオリジナルグッズの販売がある。
ブンタグッズに期待したがさすがに取り扱いはなし。「しん板猫づくし」のクリアファイルを買った。かわいい。お値段税込み100円。安い。ほとんどタダだ。

9.キャッシュレス決済対応!

なんと2024年6月からキャッシュレス決済サービスを開始。クレジットカード、交通系含む各種電子マネー、QRコードが使える。せっかくなのでSuicaで支払いしてみた。んま、入館料は100円ぽっちなんですけど。
利用者の利便性について真摯に取り組まれている姿勢が素敵!
今後めぐる施設でキャッシュレス決済対応が出てくるか、興味がある。

10.最後に

郷土資料館と近所のおやつ屋巡りをセットにしようと計画。
目星をつけていた「御菓子司 㐂久月」はざんねんながらお休みでした。
近所の櫻木神社がお祭りをしていたからかもしれない。

文京区を歩いてみたくなるわたしがいて、遠回りをして水道橋駅まで歩いて帰った。そうそう文京区ってのは坂が多いんですよ、台地があるからね!とか、水戸様がラクーア(後楽園)の遊具にあがる嬌声を聞いたらさぞかし驚くだろうなど、文京区への愛着が沸く。

土曜日、13時。
入館者はわたしを含めて4,5人居ただろうか。誰に邪魔されることもなく、こころおきなく自由に、好きなだけ見ることができた。最高だ。
だが、施設的には空いていては困る。もっともっとたくさんのひとが訪れますように。
文京ふるさと歴史館、たのしいよ。是非!

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