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舞台オタクがアイドルを応援しはじめるに至るまで

はじめに

脳内クラッシュ演劇「DRAMAtical Murder」フラッシュバックという舞台はご存知だろうか?
2023年のゴールデンウィークに品川ステラボールで上演されていた作品で、ニトロプラスキラル(現:ニトロキラル)の18禁BLゲーム「DRAMAtical Murder」を原作としている。
私は元々2014年に放映されていたアニメ版の「DRAMAtical Murder」でこの作品を知り、2019年に上演された初演・脳内クラッシュ演劇「DRAMAtical Murder」を観劇していたので、再演を心待ちにしていた。

なんてったって、映像商品がないのである。
ええ、なかったのである。
Blu-rayやDVD…いわゆる「円盤」もサブスクリプションによる「配信」も(一応期間限定ではあった)継続的に視聴出来る媒体がなかった…!!
定型文とまでは言わないが、終演後の挨拶で「DVDの発売が決定しました~!」という案内があるものだと思っていたので(少なからず私が観てきた舞台では大体そうだった)それなりに規模の大きい舞台で主催がネルケでそんなことあります…?!と思った。
内容が直接的ではないとはいえ、性行為を模した官能的なダンスシーンがあったりするので商品化が難しい?など考えたりもしたが、公式から何かしらの供給がない以上、視聴することが叶わなかった。

それが今年、再演として帰ってきた。
めちゃくちゃ朗報、2022年12月開催の「CHiRAL LIVE 2022 × スロウ・ダメージ」では何も告知がなかったので正直夢かと思った。(新作メインだったとも言う)
またあの舞台を拝むことが出来ることに心を踊らせ、日程発表されたらすぐに休暇確認してスケジュール押さえたりもした。
しかし、まぁ、初演時の口コミやキャスト陣の他作品での活躍もあってチケット戦争は惨敗した。
ギリギリ平日公演が取れたくらいで、内容の異なる6ルートは夢のまた夢だった。
作品に対する熱量は誰よりも負けていないと思っていたのでチケット運が味方してくれなかったのを恨み、チケットを高額で転売したり抱き合わせで余計なものを売り付けている害悪な人々を心底軽蔑した。
当時はかなり気分はどん底だった。
そんな時だった。

主役の降板・交代が発表された。

主人公・蒼葉はずっと出ずっぱりで一幕が共通ルート、二幕の各攻略対象のルート×6は素人目からしてもえげつない量のセリフ量、内容もBLなので愛し合う表現や暴力的で過激なシーンなど観ているだけでも気持ちが煽られるような作品。
正直、初演を見ているからこそまた『アレ』を味わいたいと思っていた。
私自身、作品は異なるが応援していた俳優が引退した時に彼が演じていた役だったキャラクターを別の役者が演じたことが過去にあり、作品自体が好きだったから観劇したのだが、「彼だったらここはこうしていた」「その感情の出し方はきっとこうだった」と無意識に居ないはずの面影を辿ってしまっていたことがある。
だから急遽決まった主役の交代、不安がなかったと言えば嘘になる。
主人公ともなれば物語の核だ。
交代によってもたらされる変化は、作品に多大なる影響を及ぼすことは分かった。
それもあって、公式からはチケットの払い戻しという措置が取られた。 
払い戻しとなった座席は再び販売されることになったのだが、それは喉から手が出るほど羨むくらいの良席と買えなかった公演の数々だった。

上記で書いた通り、役者変更での何か違和感を抱えてしまったら作品を楽しむことが出来ないのではないか?という不確定な感情が過ぎったりもした。
舞台は原作付きであれオリジナルであれ蓋を開けてみるまではどう転がるか分からない。
それでも私は観劇することを選択した。
手元にあったチケットだけでなく、さらに追加して全16公演、いわゆる全通をすることになった。

「ドマステ」という舞台

初日は攻略対象のひとりである主人公の幼馴染「紅雀」をメインとしたルートだった。
私は紅雀が作品の中で一番好きなキャラクターであり、気持ちも高揚していた。
それと同時に緊張していた、とてつもなく。
観劇する側であって、舞台上に立つ訳でもあるまいに何故かどんな舞台でもライブでも始まる前に緊張してしまう性分らしい。

今回に関しては主役交代とはなったものの、メインキャスト自体は概ね初演時の役者陣で構成されている。
再演までの3~4年ほどの間にそれぞれの活動の場でステップアップ、パワーアップしている役者陣。
そんな中、主役になった「土屋直武」さんなる人物はどんな方だろうと思っていた。

公演期間前〜期間中には公式SNSに様々な形で土屋さんについて、人となりや舞台に対する姿勢が伝わるようなものが上記のように掲載された。

ちなみに代役発表された時の私はこうツイートしていたようだ。
発表された当時なので、まだ「後任の方」としか認識していなかった。
改めて考えても1ヶ月であの舞台を仕上げて来てるのかと思うと驚くばかりだ。
そして、舞台を観終わった後の感想がこれだ。 

語彙力がないのはさておき、観劇終わってからはあの観たかった作品をまた観れたことで大変満足していた。
舞台は自分の目でしかと確かめないと、その場にいる空気感や熱量はその時しか味わえない。
過ぎっていた不安はすぐに吹き飛び、むしろ今まで叶うことがなかった全通を選択して良かったと確信した。
作品が受け取り手によって解釈が異なるように、役者が変わればそれまでの経験や台本の読み方で違ったものになる。
永田聖一朗さんが演じていた蒼葉(せちゃ葉)と土屋直武さんの演じた蒼葉(なお葉)は同じキャラクター、シナリオの本筋は一緒であれど何かが違っていた。
これは決して嫌な意味ではなく、良い意味で違っていたのだ。
せちゃ葉は抱擁感とでもいうのだろうか、全てを包み込む…まるで聖母のような優しさで、初舞台の面々がいる中での受け容れてくれる安心感。
なお葉は溢れ出る元気とフレッシュさ、直情的なようでどこか冷静…でも瞬間的にとびきりの笑顔が出てくる。
原作付きの2.5次元舞台というものは、どうしても根本である『原作』と比べられがちだ。
ただ、蒼葉を演じた二人の芝居は確かに蒼葉であった。
原作には原作の良さが、アニメにはアニメの良さがあるように舞台でもそれぞれの蒼葉に良さがあった。
むしろ、一粒で二度美味しいみたいなお得感が勝っていた。

再演のみで語るとすれば、回を重ねるごとに成長が著しかった。
初日はかなり土屋さん本人の地声に近い声での演技だったのが蒼葉の声優さん(アニメ版で言えば私市淳さん)に近しい声に寄せられていったり、緊張やプレッシャーから来るどこか危なげな雰囲気は薄れていき、都度挟まるアドリブにも適応するようになっていった。
さらに再演ではバッドエンド、通称ウイトリルートが追加された。
観劇するまでは他のハッピーエンドであそこまで出来る舞台でバッドエンド?一体どうなってしまうのか分からない怖いもの見たさと限界までやってくれるだろうという期待感が混ざり合っていた。

観劇前→幕間→観劇後のツイート。
何を見せられたんだ…?と考えるも、絶望的で助けを乞うことも出来ないシナリオを観た衝撃は凄まじかった。
カーテンコールのダンスシーンではリングライトの使用が可能であったが、情緒はとてもそれどころではなかった。
後日「#絶望している蒼葉に向けてLIGHT_ON」なんてタグも生まれたくらいだ。
初日のウイトリルートはソワレ公演で翌日は休演日という誰が舞台スケジュールを考えたんだ、救いは無いのかと仕事中は頭から離れなくて品川ステラボールに想いを馳せていた。

ちなみに休演日と言えど土屋さんはNAOさんとして所属しているアイドルグループ・AVESTのリリースイベント日だったので、「さすがに休んで?!?!」と勝手に心配していた。
その時はまだアイドル活動されてらっしゃるのね、とさほど興味はなく、試しにYouTubeでMVを見てみるくらいだった。

千秋楽からの入り口

そんなこんなでついに千秋楽を迎えてしまった。

よく考えたら、別に全通特典などもなかったので、ただ本当に行きたいからドマステ再演を全通していた。
正直この時点で感覚は狂っていた。
「推しは推せる時に推せ」と昨今よく言われるが、それは本当にそうで私自身も推しが引退したり、もう逢えなくなってしまったりしたので後悔よりも多幸感で満ち足りていた。
だが、ぶっ通しで舞台を観ていたこともあり、突然なくなってしまった…無事閉幕した舞台はどうにも心にぽっかり穴を開けた。

そんな時だ。
大千秋楽の翌日にAVESTの「定期単独LIVE Vol.16」が開催されるというのだ。
また私は「だから休んで?!?!」と思いつつも、行けないことはないな…などと考えて、大千秋楽からの帰路でチケットを思わず購入していた。

事前情報などほぼ入れていない状態で向かったので、Wikipediaで得た薄い知識しかなかった。
そもそも、意識して男性アイドルグループを単独で見たことがなかった。
何かしらのフェスや対バンで見たことがあったかもしれないが、有象無象のひとつだった。
仕事を終えてからだったので、途中入場で後ろの方でひょっこり見た。
キラキラのメンバーカラーに光るペンライト、キレのあるフォーメーションダンス、それぞれの個性を生かした歌割り、などなど見るもの全てが初めてだった。
アイドルってこういう感じなんだ…!と肌で感じた。
音楽系の推しも他に何組かいるが、大概拳か手振り、クラップ主体だったのでライブハウスでのペンライトは新鮮に見えた。
アイドルらしいキラキラした曲、かっこいいダンスナンバー、その中でも一番印象が強くてなんで???と思ったのが「マスカレード」だ。

マスカレード、つまり仮面舞踏会だから仮面を付けるのはわかる。
歌詞も普通に聴いていればかっこいい。
だが、サビにラジオ体操を踊る。
なんでラジオ体操?????
率直な感想がそれだった。
ステージ上のAVESTはもちろんのこと、ファンもみんな当たり前のようにラジオ体操をしていた。
腕を上下に伸ばす運動、体をねじる運動、体を横に曲げる運動…。
大変めちゃくちゃ戸惑った。
意味わかん無さすぎて。
ただそれがちょっとだけ引っかかる一助になったのかもしれない。

ライブ終わりに特典会があるとのことで、ちゃっかり参加した。
私以外にもドマステから来たファンもちらほらいて自分もそうなのにすごいな〜と感心していた。
特典会に参加してみて、土屋直武さん…NAOさんの頭の回転の早さを改めて実感した。
ドマステではアフタートークショーが4回ほどあったのだが、丁寧な言葉選びで尚且つ瞬時にまとめて回答が出来ることは人生何回目ですか?と思うほどだった。
推しを目の前にすると緊張して何も話せなくなり、普段からも人と目線を合わせることが苦手なのに推しには逢いたいと相反した感情を持っている私にとっては、一言で二言三言返してくれたのでとても助かった。

さて、定期公演に行けた嬉しさもありつつ、何となしにTwitterで次の予定を確認してしまった。
次の日にもリリースイベントがあった。
いや流石に行かないやろ…と思っていたけど、気付けば向かっていた。
ある意味もう水辺でちゃぽちゃぽしていたところを沼に引きずり込まれた感じだ。

リリースイベント自体は別のバンドで何度か行ったことがあったのだが、特典会はシステムが独自のもので理解するまでに少し時間がかかった。

CDの予約内金1,000円分で特典券1枚。
1枚で各種特典のあるガラポン、2枚で好きなメンバーとトークありの写真撮影、3枚でグループ撮影。
さらにスタンプカードなるものがあり、来店と予約枚数が記録される。(その数によって追加特典が変動する)

まぁ、慣れてしまえばこっちの勝ちだ。
推し俳優の時がチェキ1枚で2,000円だったのを思うと特典があってCDも貰えるんですか?!と感覚が狂う。

リリースイベントのライブは大体5曲、または6曲で構成されていて内1曲が7月4日(火)に発売されるセカンドシングル「Lily Flower」だ。
こちらは撮影可能なので会場にいた各自がSNS等で「#AVEST」「#リリフラ」と動画をUPしているので見てみると面白いかもしれない。
会場によっては、オンライン配信をしている会場もあるのでリリースイベントの雰囲気も掴める。

個人的に驚いたのが、リリースイベントでも毎回セトリが違うこととイベント前にしっかりリハーサルをしていることだ。
それくらい当たり前なのかもしれないが、真剣に向き合っているんだなと改めて感じた。

メンバーも個性的で、まだ私は1ヶ月ほどしか彼らを知らないが個人それぞれもメンバー同士の掛け合いも知れば知るほど面白かった。

NAOさんは、グループのリーダー。メンバーカラーは赤。礼儀正しく、ライブ終わりには左右中央に必ずお辞儀をしている。かと思えば、ライブ中には綺麗な顔と茶目っ気のある顔のギャップがすごくて、時おり指ハートなどのファンサもかかせない。トークでは基本的に聞き手だが、いきなりボケを繰り出してくるから侮れない人。

MASAYAさんは、グループの最年長。メンバーカラーは青。最年長とは思わせないほど可愛らしい顔立ち。だが、告知などは大体彼が担当しているのでしっかり者なのだと思う。個人的に推したいのが「Really Wanna」の「君を独り占めしたい」という歌詞のところでのダンスパートでKOHEIさんに抱き留められて離れていくシーンがあるのがめちゃくちゃ萌える。

KEITOさんは、歌唱担当。メンバーカラーは紫。MCパートではKOHEIさんと盛り上げることが多い。セットリストを決めているのは彼であり、音楽に対する意識が一番高いと感じる。歌はNAOさんと双璧を成しており、「New World」では「繋いだ手は離したけど」でNAOさんとKEITOさんが文字通り手を繋いで離すのがとても尊い。

KOHEIさんは、ラップ担当。メンバーカラーは緑。MCパートではKEITOさんと軽快にトークを回す。自分がカッコイイのを分かっている=自分の武器は何かを理解しているので、自己アピールも欠かさない。ラップはもちろんバチバチにキメるし、会場を盛り上げることに余念が無い。自己愛だけでなくグループ愛も人一倍強い。

RYOさんは、グループの最年少、でも一番背が高い。メンバーカラーは黄色。正直、一番掴めない不思議な性格をしている。だが、話してみると「おもしれー男」である。ちゃんと等身大の青年らしい一面もあり、沼に落ちたらヤバそう、ヤバい。(確信)ボルテージが上がるとシャウトしている感じの歌声になるので目が離せない。

…とつらつらと紹介を書いたが、魅力は書ききれないくらいあるし、まだ私が知らない一面がたくさんあるのだと思うともっと知りたくなり、リリース前で頻繁にイベントやライブが詰まっているので通ってしまうのだ。
無限ループの推し活の始まりである。

考えてみるに定期公演の1回だけでは朧気だったので、どこで沼に落ちたのかが定かでは無いが、積み重ねで好きになったのだと思う。
1ジャンルに1推ししかいないくらい偏食な私でもハマったので、音楽性のフィーリングが合致したのもある。
配信されていない楽曲もあるので、まだまだ勉強中ではあるが、またとない出逢いの幸運に感謝したい。

AVESTはいいぞ!(宣伝)

知りたてほやほやが何を言うと思われそうだが、布教したい!
と言うことで、もし気になってる方はお好みのものをぜひ見てほしい。

各種公式SNS

リットリンク / 公式Twitter / 公式Instagram

リットリンクに一括でスケジュールが載っていて見やすいので、いつ何があるかはチェックしてみてほしい。
また、ライブやリリースイベント、特典会の参加方法やルールが詳しく書いてあるのでもし参加する場合は必ず一度目を通そう。
公式Twitterと公式Instagramのフォロー欄には各メンバーの個人アカウントがまとまっているので、気になるメンバーを確認してみよう。
※上記のメンバー紹介の名前はそれぞれのTwitterアカウントをリンクしている。

Music Video

公式YouTubeには、他にもMVやレコーディング風景の動画やメンバー5人で会話したりゲームしたりするライブ配信もあるのでオススメだ。
また、上記にも書いたがタワーレコード渋谷店ヴィレッジヴァンガード渋谷本店などリリースイベント会場でオンライン配信をしている回もあるので見てみてほしい。

リリースパーティ

7月15日(土)には横浜みなとみらいブロンテでの「Lily Flower Release Party」の開催が決定している。優先チケットは既に締め切られているが、フリー入場もあるので興味のある人はぜひ参加してほしい。
新曲披露もあるとのことなのでとても楽しみなイベントのひとつだ。
詳しくは以下のリンクを参照。

最後に

ハマりたくなかった年下のアイドル〜!!!!!
…というのは半分冗談で、巡り合わせがなかったら絶対に踏み入れなかった領域だったので、人生って何があるか分からない。
私が舞台にはまったきっかけは舞台「アルカナ・ファミリア valentino」と劇団M.M.C ミュージカル「ホス探へようこそ The Last Valentine」に出演されていた大島崚さん(橘りょうさん)なのだが、何の因果か彼もエーライツ所属の時期があったので個人的には少し不思議な気持ちだ。
そんなこんなでとても長く書いたが、願わくはドマステの再々演(出来ればせちゃ葉となお葉のダブルキャストで)と円盤化とAVESTがさらなる飛躍を成せますように。
ここまで読んで下さりありがとうございました。

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