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編み物は魔法みたいだ

"編み物は魔法みたいだ"
と聞いたことがある。

1本の毛糸を使って手を動かしているだけで物が出来上がっていくその様が魔法に見えるそう。
その言葉を聞いてから、もしかして私は魔法使いだったのかも!なんて思ったりする。

友人とお喋りをしながら、竹製の針をカチカチ言わせながら少しづつ伸びていく、いづれ帽子になるその輪が確かに魔法のようでなんとも不思議な感覚に襲われる。
編み物を初めてまだ半年程度の私でもこんな風に人に贈ることの出来るものを編み出せるのなら、何年も何十年もやっている熟練の方々は余程すごい魔法使いなんだろうと思う。

今はマフラーを編んでいる。
目的なんてない、ただ長く長く編み続けるだけの気楽な作業。ちょっと背伸びがしてみたくってストライプの柄にしてみた。素敵に出来たら、冬のうちに出来たらそれをつけて学校に行きたいな、なんて考えながら。

編んでいる時は冬に突然現れる孤独感から離れられるので心が落ち着いている、気がする。
目の前のことにだけ集中して、これからどうする、寒い、寂しい。そんなネガティブな感情からちょっとだけ距離をおける。
ネガティブな私自身にに編み物という形で魔法をかける。

ハリーポッターの映画の中で、ロンの母のモリーが編み物魔法を使って子供たちへのセーターを編んでいるシーンがある。
たった5秒程度のシーン、その手で紡がずとも込められた母の愛が毛糸を伝ってセーターになっていくのが愛おしくてたまらない。

本当に編み物が魔法なら、私もそんな体も心も芯から温まるような魔法を使えるようになりたいと切に願う。
そうでなくとも、私にも毛糸にも魔法をかけるようなそんな編み物を、まだまだ続く長い人生で使えるようになりたいと思う。


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