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米大学「留学生諸君!1月20日大統領就任式前にキャンパスに戻るように!」と異例の注意喚起

表紙写真:Travel Ban survey-IABAより

Schools caution international students: Get back to campus before Trump's inauguration(NBC News, Asian American, 12/17/2024)によると、コロンビア大学、 南カリフォルニア大学、 コーネル大学、ハーバード大学、マサチュセット工科大学は、トランプ氏が大統領に就任するや渡航禁止令を出す可能性が高いと予測し、留学生に対し1月20日以前にキャンパスへ戻るよう注意を促したそうです。

年末年始を家族と一緒に過ごそうと楽しみにしていた留学生にとっては水を差された感じですが航空券を変更すれば済むこと、それよりも就任式後に起こる移民政策が心配になると言う声を寄せています。渡航禁止令とともにより厳しい移民法が施行されるのではないかとの恐怖を拭い去れないと吐露しています。

大学側は様々なソースを提供し、緊急時には移動の手助けをすると言っていますが、University of Massachusetts AmherstのGlobal Affair課の注意勧告が物語るように、今回制定された場合にどのような渡航禁止令になるか、どの国どの地域が影響を受けるかは皆目見当がつかないというのが現状です。

Harvard Universityも移民政策を綿密に注視していると述べていますが、大統領就任式には直接触れずに、留学生に新学期開始前に余裕をもち戻るようにとのあいまいな注意に留めているだけです。

他方、Cornell Universityは、2017年トランプ大統領一期目の就任式の数日後に渡航禁止令が施行されたことを参考に、旅行する際にはビザ、パスポート、勉学目的を証明する書類を携帯するよう注意を促しています

トランプ大統領は前回就任1週間後に渡航禁止令を出し、90日に亙りイスラム主義7カ国からの渡航者を締め出し、旅行中の学生と教員が空港で足止めされました。自身も移民であるカリフォルニア大学サンディエゴ校経済学准教授Gaurav Khanna氏は、学生の殆どが搭乗できず、多くが拘留されたと報告しています。

禁止令は憲法違反とされましたが、2018年最高裁によって支持され復活し、2021年にバイデン大統領が廃止しました。しかし、トランプ次期大統領がまた復活させる可能性があり留学生にとって不安が残ります。トランプ氏は「暴力的ラジカルの大学占拠は許さない、外国からきてジハード、反アメリカ主義、反ユダヤ主義の動きを見つけたらすぐ国外追放する」と選挙期間中New Jerseyで公言しています。(Trump cheered by thousands in big rally at the Jersey Shore - nj.com

2022/23 | Statista によると、現在アメリカの大学にいる留学生の大部分はインド人(268, 923人)と中国人(289,526人)ですが、専門家はこの禁止令が大学の学生募集に与える影響を懸念しています。COVID-19の後、中国人留学生は減少しており、2024年の全米大学新入生総数5%減の一因であるともささやかれています。中国との緊張が続く中で更に減少するであろうと危惧されています。そうするとその影響は留学生に留まらず大学にも及ぶであろうと警告しています。

筆者は、アメリカの大学が世界的名声を築いた一因は世界各国から優秀な学生が集まったからだと思います。ハーバード大学を例にとれば、留学生は全学生18%を占めています。慶應義塾大学SFC在任中に400年の歴史を誇るCollege of William & Maryで夏季研修プログラムを開発し毎年40名の学生さんを連れて行きました。アメリカ最初の植民地のJames Townの視察に行った時のことです。

A Tour of Virginia's Historic Settlement Jamestown

そこへポカホンタス - Wikipediaが属した先住民ボウハタン族の末裔が講師として参加し、同族の歴史・文化を語り意見交換の場が持たれました。

Historic Sites In Virginia (Expert Guide + Photos)

彼は一族の置かれてきた厳しい状況をこんこんと語った後、最後にぽつりと付け加えました。

"Now you've heard me criticizing America a lot, but I tell you this is a great country, 'cause I've never been put in jail for that." (僕は結構アメリカ批判したけど、この国はいい国だよ、だって批判しても監獄に入れられたことなんか一度も無いからね。)

印象的な一言でした。アメリカの大学には学の自由、学の独立、言論の自由があってほしいと願います。そこから光る知が生まれるからです。アメリカに留学できたこと、アメリカが受け入れてくれたこと、学ぶ機会を与えてくれたことを本当に感謝しています。(2024年12月17日記)


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鈴木佑治
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