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「プロジェクト発信型英語プログラム」(2ー1)....立命館大学生命科学部薬学部(在籍2008~2014)中間報告(2011)

「プロジェクト発信型英語プログラム....立命館大学生命科学部薬学部(筆者在籍2008~2014)中間報告(2011)」(1-1)(1-2)の続き(2-1)です。2011年掲載時そのままお届けします。



ライフサイエンスで活躍する人に必要な英語能力とは?

生命科学と薬学を含むライフサイエンスは、最もグローバル化された先端分野の ひとつです。グローバル規模で展開されるプロジェクトに参加し、様々な国の 人々と情報と意見を交換しながらリサーチを進め、その成果をプレゼンテーショ ンし、論文や報告書として発表しなければなりません。そこでの使用言語は、是 非はさておき、英語であることは言うまでもありません。立命館大学の生命科学 部・薬学部は、そうした英語能力を備えたライフサイエンスの専門家を養成すべ く、「プロジェクト発信型英語プログラム」を実践してまいりました。

プログラムの構成

プログラムはProjects (P) とSkill workshops (S)の2つのモジュールで構 成されています。前回解説したコミュニケーション活動を実現するために、前者 を中心に後者を支援システムとして連動させてあります。Projectsでは英語でプ ロジェクトを行い、討論し、成果を発信し、Skill workshopsでは、プロジェク トに必要な英語のスキルを磨きます。大学1年生から大学院までの一貫プログラ ムで、1年生より以下の要領で履修すると、大学院レベルで専門領域関連のグロ ーバル・プロジェクトに参加し、成果を英語で発表する能力がつくものと考えま す。数名の学生が3年生で国際学会に応募し採択されたとの報告を受けています が、そのことを考慮すると、それほど無理な期待ではないと考えています。な お、Projectsは、大学教員(専任、嘱託、非常勤)6名が担当し、Skill workshopsは、外部教育機関2社に業務委託をしています。


立命館大学生命科学薬学部プロジェクト発信型英語プログラム:黄色Projects,桃色Skill Wkshps,青色Onlineホームワーク(2011年4月)

Freshman English (1年生対象)
前期 Project 1 (P1) と Skill workshop 1(S1) の2コマを履修 必修 科目。
後期 Project 2 (P2) と Skill workshop 2(S2) の2コマを履修 必修 科目。

Sophomore English (2年生対象)
前期 Project 3 (P3) と Skill workshop 3(S3) の2コマを履修 必修 科目。
後期 Project 4 (P4) と Skill workshop 4(S4) の2コマを履修 必修 科目。

Junior English (3年生対象)
前期 Junior Project 1 (JP1) Project とSkill workshopが合体した専門英 語 必修科目。
後期 Junior Project 2 (JP2) Project とSkill workshopが合体した専門英 語 選択科目。

Senior English (4年生対象)
英語の授業としてではなく、卒業研究の一部。卒研のアブストラクトを英語で書 いて発表する。

Graduate English (大学院)
前期 Graduate Project 1 (GP 1) 大学院レベルの専門英語、各自の研究に ついて書き発表する。

生命科学部、薬学部とも実験など専門領域科目が多く、英語に割く時間が限られ ており、英語の必修コマ数は通常の2分の1から3分の2程度です。限られたコマ 数で最大限の効果を生むよう様々な工夫を凝らしました。その一環として、 ProjectsとSkill workshopsそれぞれの授業活動と到達目標を明確にしました。

Projectsの内容と到達目標

Project 1 (P1)
日常生活の関心事をテーマに、プロジェクトを組み、英語で 自己アピールをします。自分の身の回りの情報を英語で集め て英語で説明できるようにします。グローバル社会で求められる自己アピールができるよ うになり、英語の面接に対応できます。Coffee beans, Shinsengumi and Toshizo Hijikata, Great Barrier Reef, The terrific world of soccerな ど、毎年、400人余の新1年生がそれぞれの関心事につ いて調べて考えたことを世界に向けて発信していま す。テキスト Do your own project in English Vol l. (Yuji Suzuki) Part l (self-appeal, easy presentation)[*1]

P1 Presentation (2011)

Project 2 (P2)
リサーチとプレゼンテーションの基本スキルを学びま す。学生各自がテーマを立て、それに関連する英語の 文献を集め、読み、サマリーの書き方を学び、文献リ サーチを行います。また、英語のアンケート(questionnaires)やインタビューを通してデータを 集めます。序論、本論、結論、参考文献・資料が明示 されたアウトラインに沿ってリサーチの成果をプレゼ ンテーションし、レポートを書いて提出します。scuba diving, early education, Ghibliなど、趣味から社会問題までの関心事をテーマに、内容の濃 い発表を行っております。将来配属されるであろう企業や研究室の紹介、商品の 説明、接客に必要な英語力を養います。テキスト Do your own project in English Vol l. Part ll. (research, discussion, presentation)[*1]


Project 3 (P3)
アカデミック・セッティングのプロジェクトに移行します。デ ィベートとパネル・ディスカッションの方法を学び、4~5名 のグループでテーマを立てリサーチを行い、英語でディベート とパネル・ディスカッションをします。 また、グループごとに、ディベートやパネル・ディスカ ッションを踏まえてペーパーを書いて提出します。 good or bad effects of games, imported food, microbes, eating habitsなど、種々雑多なテーマをめ ぐり活発なディベートやパネル・ディスカッションが披 露されました。アカデミックなテーマについて討論・交渉する英語力をつけま す。Do your own project in English Vol ll. (Yuji Suzuki, et al.) Part lll. (group research, debate, panel discussion)[*1]

P3 Debate (2011)

Project 4 (P4)
アカデミック・ライティングの手法を学びながらプロジェクトを進め、2000語 程度のlong-term paperを書いてプレゼンテーションします。学術学会における 論文発表を想定し、リサーチ・ペーパーを書きプレゼンテーションする英語能力 を目指します。 このレベルまでくると、”Ideal sleep,” “How should we cut CO2 emissions?” “Guide dogs”など、ライフ・サイ エンス関連のテーマが林立します。テキスト Do your own project in English Vol ll. (Yuji Suzuki, et al.) Part lV. (advanced research, academic writing)[*1]


P4 提出されたAcademic Paper 5 pages with References サンプル(2011) 

Junior Project 1 (JP1)
Nature誌に掲載された記事を集めたテキストScience Reader ll (Yuji Suzuki, et al.Mcmillan Language House)を使い 、[*2] 諸科学の著名な研究者の研究内 容を読み、科学用語・表現を学びます。 同時に、読んだ記事に関連するテーマを基に、グルー プ・プロジェクトを行い、その成果をプレゼンテーシ ョンし、1500語のアカデミック・ペーパーを書き、提 出します。専門英語科目であることから、英語教員と 専門科目の教員がチームで担当し、専門科目の教員は プレゼンテーションを聞いてその内容を評価します。

JP1 Final Poster Presentation (2011)

Junior Project 2 (JP2)
学生各自が、海外の大学や研究機関がインターネット で配信している専門領域の講義を聴き、その内容をプ レゼンテーションします。そして、講義に関連するテ ーマを見つけプロジェクトを組み、long-term paper を書いて要点をまとめてポスター・プレゼンテーショ ンをします。 専門科目の教員も参加し内容を評価します。国内外の学術学 会や企業発表会でポスター・プレゼンテーションをする英語 力をつけます。

Graduate Project 1 (GP1)
2012年4月開講 Junior Project 2の続き。学生は学部で書いた卒業論文について発表し、大学院 での研究に関する計画書をプレゼンテーションし、研究室で同時に進行している 各自の研究についてアカデミック・ペーパーを書き、ポスターセッションでプレ ゼンテーションします。ポスターセッションには学内外の専門家を招き評価して もらいます。海外の学術学会のポスターセッションで自分の研究成果を発表する 英語力をつけます。海外学術学会用の論文を書き、発表する英語力を目指しま す。

GP1 Class Room Discussion (2011)

(2-2)へ続く(Skill Workshop, TOEIC成果など)



[*1]郁文堂版テキスト絶版に伴い南雲堂版テキストへ移行

Do Your Own Project in English Volume 1 & Volume 2 (鈴木佑治,郁文堂,絶版)
「プロジェクト発信型英語」Do Your Own Project in English Volume1&Volume2(鈴木佑治,南雲堂)

[*2] Science Reader llの絶版に伴いReadings in Scienceへ移行

Science Reader ll (Yuji Suzuki, et al.Mcmillan Language House)絶版
Readings in Science in Association with Nature (Yuji Suzuki, Nanundo)


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鈴木佑治
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