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『花の雨が振る』は 最高のロマンシス作品でした。


今回はガネクラ漫画家こと、いしいひさいち先生の作品

「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」

「花の雨が降る」

を読んだ感想をだらだらと書きながら紹介していく回。


※なるべく核心には触れませんがほんの〜〜りネタバレっぽさもあるのでご注意ください。


いしいひさいち先生とは、ここで説明するまでもないかもしれないが代表作は「となりの山田くん」「ののちゃん」等。
特に朝日新聞で連載されていた四コマ漫画「ののちゃん」にはGARNET CROWの歌詞が登場する回がいくつも存在していることはガネクラ内でも有名で(たぶん)、「ののちゃん GARNET CROW」とGoogle検索でもすれば大量に画像が見つかる。そちらは今回は省略。

いしいひさいち先生の作業中BGMはGARNET CROWほぼ一本という情報もどこかで見た気がするレベルで、筋金入りのガネクラのようだ。

そんな「ののちゃん」の作中に登場するキャラクターには「吉川 露花(きっかわ ろか)」というファド歌手の歌姫が存在する。
(※ファド……ポルトガルで生まれた民族歌謡。ファドとは運命、または宿命を意味する)

その吉川露花のモデルとなっているのがGARNET CROWのボーカル中村由利と、ファド歌手マリーザとのことである。

今回読んだ2本の漫画は、「ののちゃん」本編に登場する吉川露花(以下ロカと呼ぶ)が主人公のスピンオフ作品。

ゆりっぺに似ている
表紙が美しい

読む順番はROCA→花の雨が降る
となっている。

タイトルの「花の雨が降る」は言わずもがな、GARNET CROWの代表曲である「夢みたあとで」のサビに綴られている歌詞。



以下、登場人物とあらすじを簡単に説明。

・吉川露花(きっかわろか)
歌唱力以外はごく平凡な女子高生であり、ファド歌手を目指す。
小さい頃に船の海難事故で母親と姉を亡くしている。
ポニーテールや三つ編みおさげの髪型が特徴であり、やや虚弱体質。歌詞をよく間違うらしい。

・柴島美乃(くにじまみの)
2回留年しているロカの同級生。「連れ込まれたら帰ってきた者はいない」とされる闇商会の娘で、目付きが悪く荒くれ者。ロカの家族と同じ船での海難事故で自らも母を亡くしている。

この2人がメインでストーリーが進行していくことになる。

ここで、歌以外は平凡とされるロカの歌声が作中でどう評されているのかを少し紹介してみる。
以下はロカの歌声を聴いた登場人物達のセリフである。



・見事なアルトとヘンな歌い回しのミスマッチ。

・ロングトーンは羽根がはえたようにどこまでも伸びるし、低音は地を這う霧のように深い。でも歌い回しがナマ硬い。滑舌が悪いのかしら。

・その細い体からよく出るわねぇ、あんな太いコントラルトが。

・可憐な容姿と暗く美しいアルトのアンバランスが魅力。

・ほんとうに妙な歌手だと思います。デモCDを繰り返し聴いてもいつもどこかが気になって、常に何かが新しい。

・金曜礼拝のアッザーンのようだ。ファンタスティックでドラマティックでミステリアス。

・すべて一級品なのに素人っぽい。この謎が聴く者を魅了する。

めちゃくちゃゆりっぺっぽい。

漫画なのに完全にゆりっぺの歌声で脳内再生されてしまう。

作中ではロカの歌声のみを聴いたリスナーが男性ボーカルだと勘違いした描写や、


「会いたくてー」「会いたくてィェー」となってしまう描写などがある。

これはもう完全にゆりっぺである。

ゆりっぺをモデルにしているという言質があるから当たり前なのだが。
それにしてもゆりっぺすぎる。

※ただしあくまで外見や歌声をモデルにしただけであって、性格や生い立ち等はまったく異なっており、決して中村由利本人の二次創作ではないということについては留意しなければならない。

ちょっと紹介。
↓GARNET CROWファンには嬉しい小ネタ↓

AZUKI七さんっぽい?


←古井さんっぽい?


出前の岡持ちをオカモチとカタカナ表記。
オカモッチ?深読みしすぎ?笑


ロカのライブのセットリスト。
ニヤリとしてしまう曲名がちらほらと。



他にも沢山のGARNET CROW小ネタが散りばめられているので、もし読む機会があったら探してみると面白いかも。

普段のロカは声も小さくこれといった特技も無い地味な女の子。
しかし、ひとたび歌えば並外れた声量と歌唱力と表現力で人々を圧倒するとんでもない力を持っており、後々その能力を見出されてデビューへの道を歩むことになっていく。
また、美乃はその面倒見の良さによるサポートでロカの心の支えとなり、いつしか2人は親友と呼べる仲となる。

そう、これは歌以外は何もかも平凡である普通の女の子ロカが、ファド歌手デビューを目指して少しずつ成長していく心温まる物語。

……だと思っていた。最後まで読むまでは。
少なくとも「ののちゃん」のようなゆるいノリが続くのだと思っていた。

今回はなるべくネタバレ無し感想にしたいので結末までは詳しく書けないのだが、やはりガネクラ作者、ただでは終わらせない。
GARNET CROWの世界観の要素である「無常観」「儚さ」を絶妙なバランスで織り交ぜた終わり方となっている。

「どんな幸福にも悲しみは混ざる」
を地で行く作風というか、このあたりのGARNET CROW特有のフレーズをあまりにも"わかりすぎている"。
少なくとも「ののちゃん」だと思って読んでいたら大火傷してしまう。

しかし、物語全体を通して見るとロカと美乃の良質なロマンシス作品であることに間違いはない。
二人の関係は決して百合までとはいかずとも、非常に栄養価の高い良質なロマンシスとなっている。

GARNET CROWファンだけではなく、女子高生同士の友情や強い絆が好きな層には深く刺さること間違いなし。


ところで露花(ロカ)って名前、ちょっと変わってるなぁって最初は思ってたけど

花の雨 の漢字の組み合わせ?ということに気が付いた。

「花の雨が降るこの道は変わらず」
の"道"は別の漢字にすると路(みち)にもなるので、露花っていう名前にしたのかなぁ……と。

たぶん。


それにしても2本続けて読んだあとに「夢みたあとで」を聴くと、なんだかロカと美乃の2人の関係のようにも思えてきてちょっと胸がギュゥンとなった。

最初はGARNET CROW目的で読もうと思ってたけどそんなのどうでもよくなるくらい、良い意味で期待を裏切られることとなったとても素晴らしい漫画でした。

みんな、「花の雨が降る」を読み終わったあと絶対にカバー外してみてーーー!!


おしまい❀.*・゚





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