転売品は中古品なのか
弊社のメイン事業はAmazonコンサルティングなのですが、今回のnoteはそれに関する内容です。
Amazonでビジネスをするというと、特に個人事業や副業界隈では転売や輸入商材に関するビジネスの話がメインになると思いますが、弊社のクライアントは国内外のメーカーがほとんどなので、Amazonでビジネスをするメーカー視点での話になります。
転売品は法律上中古扱いになる
新品を海外から輸入して国内で販売する場合、新品になるのか中古になるのかについては、ちょっと調べた限りでは情報がなかったので、もし詳しいかたがいたら教えていただきたいです。
一方の、転売は新品なのか中古なのかですが、これはAmazonを含む国内の一般的な小売店(リアル・EC問わず)で新品を購入し、それを別の小売店で販売する場合を前提として調べました。
そして、こちらの記事を読む限りでは、それは「中古」となるようです。
新品で購入した物品は古物営業法第2条第1項の「古物」に該当する?
なぜこのようなことを調べたのかというと、弊社クライアントがPrime DayやCyber MondayなどのAmazonでの大規模なセールに参加すると、セール時の売上は大幅に増加するのですが、セール終了後の一定期間、Amazonでの売上が落ちてしまい困っていたからです。
Amazonの商品ページの仕組み
Amazonの商品ページはシングルディテールページと呼ばれる仕組みになっています。これは、Amazonサイト内では原則1商品につき1つの商品ページしか存在させない、という考えを元に考え出された仕組みです。
Amazonがマーケットプレイスビジネスをはじめる際に、この仕組によってUXが向上するとAmazonは考えたのです。この仕組によって、Amazonに出品する際は基本的にJANやUPCのような固有のIDの入力が必要となり、IDが一致するとそのIDに紐付いた商品ページに相乗りで出品することになるのです。
※相乗り出品になっている商品ページの例
・大きなボタンの「カートに入れる」の枠を取得できるのは、一番いい条件で販売している出品者になる
・「こちらからもご購入いただけます」の枠に表示された出品者からも購入できるが、そこから購入される割合は限りなく低い
楽天などの出品型ECでは、Aという商品を複数の出品者が販売する場合、出品者ごとに商品ページを作成することになるので、同じ商品を異なるページを閲覧して比べる必要があります。
つまり、Amazonは商品に出品者をぶら下げるようにし、楽天は出品者に商品をぶら下げるようにしている、ということです。
どちらのほうがストレスなく買い物できるかは、それを使う人によって異なるとは思いますが、とにかくAmazonはシングルディテールページを採用している、ということです。
セール後に売上が減少するのはなぜか
大きなボタンの「カートに入れる」の枠を取得できるのは、一番いい条件で販売している出品者と書きましたが、その「条件」で大きなウエイトを占めるのが販売価格です。この大きなボタンの「カートに入れる」の枠を取得することを、Amazon界隈では「カートを取る」といいます。逆にその場所を他の出品者に取得されてしまうことを「カートを取られる」ともいいます。
通常の販売時にはメーカーがカートを取っていたとしても、セールなどで大幅な値引きをして販売している商品を転売屋が購入して、通常時より少し安い価格でまたAmazonで販売することで、その商品ページのカートを転売屋が取ってしまうのです。
その時、値引きされた金額分がAmazonの出品手数料を上回っていれば、転売屋としてはその分の利益を得られるわけです。
このようなことが起きることによって、セール直後にメーカーの売上が落ちてしまっています。
安く商品を購入できるのであれば、この流れは特に問題ないのではないかと考えるかたもいらっしゃると思います。
ただ、転売屋が自分の利益を得ることで、Prime Dayなどのセールで本来もっと安く購入できたかもしれない人が、転売屋の利益分を多く支払わなければならないというのは少しモヤッとします。
※Prime Dayなどのセールではほとんどが数量限定のタイムセールなので、転売屋が買い占めると本当に必要としている人が安く購入できないことがある。
モヤッとポイントはこれだけではありません。転売の場合は、そもそもカートを取れないかもしれないのです。
中古品はカートを取れない
ほとんどのユーザーが大きな「カートに入れる」ボタンをクリックして商品を購入することから、カートを取っている出品者がその商品の売上のほとんどを占めることになります。
仮に転売屋がカートを取っていれば、その間は転売屋が売上を獲得できるのです。しかしそれは、その商品が新品の場合に限ります。
Amazonでは中古品も出品することができますが、その場合上部の画像でいうと「新品&中古品(10)点」の場所をクリックしてその先のページに行き、そこにリストアップされるかたちで販売することになります。
この仕組みにより、どんなに安い価格で、どんなに状態のいい商品でも、中古品はカートを取ることはできないのです。
転売屋がそれを生業にしている事自体は(倫理的な観点を除き)特に問題ないと思います。
しかし、Amazonというプラットフォームを利用して、メーカーを含む他の出品者と同じ土俵で商売をするのであれば、フェアな競争であって欲しいと思います。
Amazonコンディションガイドラインを読む限りでは、小売店から新品を購入してAmazonに出品する場合、それが中古品になると明記はされてないように見えます。
一応下記のような記載もあり、転売屋が新品で購入してもメーカー保証を提供できなければ中古品扱いとなるようですが、これを遵守している出品者がどれほどいるでしょうか。
メーカー保証がある場合、購入者がメーカーの正規販売代理店から販売された商品と同等の保証(保証期間など)を得られない商品(例えば、メーカー保証がある場合に、すでにメーカーが定める保証期間が始まっている、または保証期限が切れている商品など)。
Amazonにもこの件で問い合わせをしてみたいとは思いますが、貴重なご意見ありがとうございます、という返信以外の何らかのアクションがあることを祈ります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?