23時59分はもう今日中ではない!デザイン業界での時間管理の大切さ
デザインの世界では、時間管理・納期設定がクオリティやプロジェクトの成功に直結します。
つい先日、とあるクライアントよりこんな話を聞きました。最近デザインを始めたばかりの方とのやり取りで「今日中に提出します!」と提出された時間は23時59分。ギリギリセーフ…!ではありません。この、「今日中」という納期設定の仕方は、自分の作業工数を見積もれていないために出たと言っても過言ではありません。でも、気持ちは良く分かります。納期設定が適切にできないというのは、デザインを始めたばかりの人によくある事なのです。かくいう私も経験済みです。本記事では、デザイナー初心者の方々に向けて、時間管理の重要性と適切な納期設定について解説します。
1.デザイン業界における時間管理の重要性
デザイン業界では、納期に対する意識が非常に重要です。クライアントの要求に応え、プロジェクトを成功させるためには、時間をどのように管理するかが鍵となります。納期が厳しい場合でも、クオリティを保つためにどれだけ効率よく作業できるかが問われます。また、時間管理ができていないと余裕がなくなり、クリエイティビティにも悪影響を及ぼす可能性があります。
「今日中」という言葉の曖昧さ
「今日中に」という言葉は、多くの人が使いますが、その解釈は人それぞれです。クライアントが「今日中にデザインをください」と言った場合、デザイナーは23時59分までに提出すればいいと考えるかもしれません。しかし、クライアントは業務時間中(例えば17時まで)に受け取りたいと思っているかもしれません。このような認識の違いが、トラブルの原因になることがあります。したがって、納期についてはクライアントとしっかりと確認し、具体的な時間を明示することが重要です。
2.実践的な時間管理のコツ
納期を守りつつ、高いクオリティを保つためには、以下のような時間管理のコツがあります。
2.1 業務分解
まず、複数の小さなタスクに分け、それぞれに作業時間を設定することをお勧めします。最初のうちは、チラシやバナーなど数時間で終わるものでも必ず業務分解することで、下記のようなことが分かります。
実際にチラシA4片面を作成する際の業務分解例をご紹介します。
※ラフや素材は揃っている前提です。イチから制作する場合はデザインリサーチやラフ制作なども入れます。
私の場合ではありますが、少しでも参考になれば嬉しいです。
テキストや情報量が少ないチラシでしたので、レイアウト時間は短めにしています。
確認は落ち着いて行いたいタイプなので時間を少し長めに取っています。
上司や先輩がいる場合は、この業務分解を見てもらい、適切なフィードバックを受けるのも効果的です。
ちなみに私は新人の頃、この業務分解を先輩にチェックしてもらうまで、デザイン着手させてもらえませんでした。
この業務分解の作業は自分が設定した時間と実際にかかった時間の差が少なくなり、自分で自分の作業時間が把握できるようになるまで続けることをお勧めします。
業務分解はプロジェクトの大小に関わらず、とても役に立ちます。いわゆる、マイルストーンの設定と同じで、 大きなプロジェクトを複数の小さなタスクに分け、それぞれにマイルストーンを設定することで、進捗を確認しやすくなります。
2.2 作業時間のバッファを設ける
ギリギリの設定では、何かトラブルなどの際にリカバリーできませんので、多少のゆとりがある時間設定にすると品質を担保したり、心の余裕に繋がりミスが減ります。
2.3 適切なツールを活用する
自分でやらなくていい作業はなるべくツールを使うようにしましょう。日ごろから、便利なツールの活用を検討し、ストックしておくことをお勧めします。この作業ってどうにか効率的にできないかな?と思ったら、まずは自分でやる前に調べてみてください。
Photoshop(画像処理)
すべてのデザイナーにとって必須のツールですが、アクション機能やパッチ処理などの自動処理機能も充実しています。これにより、同じ条件で複数の画像を効率的に処理できます。複雑な切り抜きも一瞬で行える方法があります。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
同じ条件での複数の画像処理https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/kb/39.html
複雑な切り抜きを一瞬で行う方法
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/kb/39.html
Immerse Zone(画像検索)
グラフィックデザインに使用したい画像が著作権の問題で利用できない場合に役立ちます。このツールは、高度な画像検索機能により、オリジナルのイメージに似た著作権フリーの画像を見つけることができます。
Bigjpg(画像処理)
クライアントから受け取った画像のサイズが小さすぎたり、画質が不十分な場合に役立ちます。このツールを使用すれば、拡大すると荒くなってしまう低画質のイメージでも、シャープで高品質な画像として拡大することができます。
Krohma(配色)
配色パターン生成ツールの中でも、AIがデザイナーのパーソナル配色アシスタントとしてサポートする便利なツールです。まず、50色の好みの色を選択すると、AIがその好みを学習し、デザイナーのスタイルに合ったカラーパレットを生成してくれます。
Shodo(校正)
株式会社ゼンプロダクツが提供する日本語のAI文章校正ツールで、ビジネス文書やウェブコンテンツの校正やチェックに役立ちます。このツールはブラウザの拡張機能として利用でき、GmailやSNS(TwitterやFacebook)と連携することが可能です。また、文法や表現の改善提案により、より適切な文章作成をサポートします。無料で利用可能ですが、文字数制限を解除するには有料版へのアップグレードが必要です。
AI文章校正ツールの使用に際しては、プライバシーやセキュリティに関する注意が必要です。多くのAI文章校正ツールは厳格なプライバシーポリシーを掲げていますが、念のため、クライアントと相談の上、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認してから利用することが重要です。
まとめ
時間管理は、デザイナーにとって避けて通れない課題です。タイトルにもあるように、23時59分ならまだ今日中!という気持ちも分かるのですが、目的がいつの間にか「今日中に提出する」にすり替わり、結果として品質が低下し、深夜にデータを送られたクライアントからは不信感を抱かれてしまいます。また、無理な納期設定はデザイナー自身を疲弊させ、ミスを誘発し自信の低下につながります。
適切な作業時間、工数を把握することで、適切な納期設定が可能です。ここで勘違いをしてはいけないのが、あくまでクライアントから求められている品質に対しての適切な納期設定です。求められていないこと以上に工数をかけ、提出が遅くなることは望ましくありません。クライアントが求めている事を適切に把握し、納期内でベストなパフォーマンスを出せるような納期設定を行ったうえで、提案・交渉をしましょう。
そして、クライアントと良好な関係を作ることで、クリエティブの品質が向上します。結果、デザイナーの自信にも繋がるはずです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!この記事が、少しでもお役に立てたら幸いです。