定員内不合格の話。
ちょっと前ですがこのニュースが結構話題になりました。
高校の定員は地元にいる中学生の数を考慮して決定しています。
ただ、他地区から来ることもあるし、なんなら部活動などで県外から来ることもある。逆もまたしかり。私学に流れることもある。
なので、多少の幅を持たせて定員は設定しているので、少子化著しい地区は定員割れは当たり前の状況になっています。
上の記事にどのようにして合否が決まるのかは書いてあるので、読んでいただくこととして、定員割れでも不合格にしなければならないことは書かれている以外にもあります。
例えば、工業高校の場合。身体的な障害を抱えていると実習がそもそもできないことで、実習の授業の単位が取得できるのかという問題が発生します。また、発達障害などで指示を理解できなかったりその通りにできなかったりすることで、実習中に重大な事故につながる場合もあります。昔はそういう生徒には強く指導することでなんとかなっていた面もあるかもしれませんが(それを肯定するわけではありませんが…)、今はパワハラと受け取られると強い指導もできず…という状況もあります。
普通高校でも、5教科で450点とる生徒と100点しか取れない生徒が同じ教室で授業を受けるというのは中学校では当然ある光景ですが、中学校と違って点数が取れなければ単位が習得できない。そして進学校であれば大学進学に向けた授業内容になっていくので、ついていけない。
サポートすればいいじゃんと簡単には言いますが、それだって教員の数が充足していなければ無理だと思っています。小中は例えば学習支援員という人が授業中サポートしてくれたり、普通教科でもTTで先生が複数授業にいることが増えてきました。しかし高校に関しては、少なくとも本県ではそういうサポートはつきませんし、実業科目以外で複数授業に先生がつく人数的な余裕なんてありません。
最近よく耳にする「個別最適な学び」だって、準備に膨大な時間がかかるし、お金(設備投資)もかかります。
結局のところ「人」と「お金(環境)」がないと、さまざまな状況の人が同じ学舎で勉強するのは難しいのではと思います。
と、上の記事ではありますが、受け入れる場所はあります。
適切な受け入れる場所(その人に適した学校)を選択すればいいだけです。
例えば発達障害があり自立学習は困難な生徒が普通高校に行きたいという場合、雑感ですが本人の希望よりは保護者の希望の方が多いように感じますし、そうでなくても子供自身が学力がないのに背伸びをして、チャレンジングな選択をすることは年々少なっている印象です。
高校卒業時の進路に関しても同様です。「どうしてもこういう生徒は受け入れられません」と企業から言われても納得がいかないと言うのは、どちらかというと生徒よりも保護者です。そして、無理やり就職・進学したとしても結局続かなくて辞めてしまったという生徒をたくさん見聞きしています。
だから、その子のためにベストな会社選び・学校選びの情報を、生徒や保護者にいい感じに提供する必要がますます増えているなと感じています。
「楽な方楽な方に行こうとするからもっと目標を高く持て」と言ったり、「絶対に受からない成績だから別を考えろ(流石にそんな言い方はしませんが)」と進言したりすると、クレームの来る時代です。だから結局のところ自己責任になるわけですが、それじゃダメでしょと思う自分とそうやって経験しないとわからないんだろうなと思う自分がいていつも進路指導は揺らぎます。
ちょっと話はそれますが、ほんと難しい時代ですね…。