多文化共生社会の実現へ向けてー各地で活躍する仲間と共に歩みを進める卒業生
「輝く名大アラムナイ」第2回目は、国際開発研究科をご卒業(2009)で通訳や多文化ソーシャルワーカーとして、多文化共生社会の実現に向けて活動されている、神田すみれさんにお話をお伺いしました。
人前で話すことが苦手 ―国際開発棟の大講義室での思い出
多文化共生に取り組む現場に足を運び、通訳業務や、就労支援、さらに研究や講演等幅広い業務に携わる神田さん。
講演会やシンポジウムでお話される現在の姿からは想像できませんが、人前で話すことが苦手だったそう。国際開発研究棟の大講義室に行くと、今でも人前で話すことを迫られ、「どうしよう」と困っていたことを思い出すのだそうです。
そんな神田さんが人前で話すことが怖くなくなった背景には、国際開発研究科在学中に市民活動の現場に積極的に足を運んだ経験がありました。
名古屋大学での理論・研究と市民活動での実践
元々携わっていたお仕事を一旦辞めて、進学された神田さん。学部時代に通っていたアメリカの大学では、取得単位数によって学費が変動する仕組みだったこともあり、日本の大学はどれだけ授業を取っても学費が変わらないことに驚いたのだそう。そこで、修士1年次に関心のある授業はコースの垣根を超えて沢山受講しました。
その一方で、「NGOのたまご(通称Nたま)」という名古屋NGOセンターが提供する、NGO活動を推進していく人材の育成を目的としたプログラムも並行して受講。このプログラムをとおして市民活動団体の活動現場にたくさん足を運んだり、NGOの活動について学んだりと市民活動についてのネットワークを広げ、実践を積んでいきました。
名古屋大学での理論・研究をベースにNたまでの実践を行うという好循環ができ、理論と実践の両面から得られたものは神田さんの現在の活動の基礎になっているようです。
学生と教員、両方の立場で参加した海外実地研修
国際開発研究科には、途上国が直面する課題を直接見分することなどを目的とした海外実地研修があります。留学生と国内学生が教育・経済などのグループに分かれて共同で現地調査を行い、帰国後まとめを行うというものですが、神田さんの在学中には2週間カンボジアでのフィールドワークに参加されたとのこと。カンボジアからの留学生が現地での通訳を務めるなど、留学生が活躍していた姿も印象的だったそうです。
そしてなんと、神田さんは7年ほど前に国際開発研究科で助教をされていたそうですが、今度は引率教員としてこの研修に参加。行先も同じカンボジアだったとのこと!学生の立場と教員の立場、両方から参加できたこともあり、とても印象深いプログラムだったようです。
国際開発研究科同窓会長として
実は、研究科の同窓会長も務められていた神田さん。会長時代には、同窓会体制を整備していきました。2年の任期の間に、同窓会助成金制度を立ち上げ、イベント実施などを支援する体制を整えました。また、名古屋と東京で交互に同窓会を開催し、同窓会役員の年齢を多世代化して様々な年代の同窓生が集まれるように工夫。感染症拡大前には40-60名くらいが集まっていたそう。
国際開発研究科の同窓生は、神田さんも含め、とてもアクティブでご自身の活動を持っている方が多いのだそう。そうした同窓生が集まる同窓会は、ネットワーキングの場でもあるようです!ここ2年はオンラインでの開催となり、海外からも参加ができるようになりましたが、対面とオンラインのハイブリッド開催になってほしい、とおっしゃっていました。
国際開発研究科のネットワークを生かして
各フィールドで活躍する同窓生とは、「国際開発研究科」という共通項をとおして、一緒に仕事をしたり、活躍の様子を見守ったり、時には「国際開発研究科にいた方なら!」と依頼を引き受けてくださったりすることも。「国際開発研究科」という同じ空間で学んだという結びつきはとても強いということがうかがえました。
この4月から、博士後期課程(※他大学)に進学された神田さん。今後も国際開発研究科のネットワークや在学中、修了後に広がっていったつながりを生かして活躍される神田さんから目が離せません!