ロリエ『せいりはこせい』の『個性』とは
時間の隙間にSNSを眺めていたら、話題になっていた、花王ロリエの広告をやっとちゃんと見ました。
企業の営利をそれっぽい包装紙に包んで、時流に乗ったキーワードをなんとなく散りばめてみました風のやつ。
この企画の決定権者、男だろ。
手持ちの広辞苑(第六版)を引くと
【個性】①個人に具わり、他人とは違う、その個人にしかない性格・性質。「——を伸ばす」②個物または個体に特有な特徴あるいは性格。
で、
【性質】①持って生まれた気質・天性。資性。②物事がもっている特色
とあります。
個性の意味の捉え方違うくね?ってなりませんか。
この広告の何が凄いって、悉く当事者の感情を逆撫でしてくるところですね。大多数の企業のえらいひとはおっさんだけど、この企画を通したのおっさんだろうな~っていう。理解と共感を得ようという方向で制作したものが、当事者からは全然違うとダメ出しをされている。
仕事に行けない程しんどい生理は治療対象だったりします。治療方法のある病気なので、『個性』の意からは外れるんですよね。治療法がなかったら近いのは『障害』と形容されるのかなあ。
頭痛持ちのひとに、頭痛は個性です、上手く付き合って生きていきましょうなんて云わないでしょ。花粉症の人にアレルギー反応の出方は個性ですなんて云わないでしょ。病院行きなよ治療しなよ、ってなる。
確かに現実問題として、苦しみの程度は人によって異なるので、生理での負荷が軽いもしくはないと、生理休暇を取得するのに眉を顰めるひとはいらっしゃいます。そういうひとは他の病気で休んでも自己管理が出来ていないという考えでいるので生理だけの問題じゃないです。自分が我慢しているから我慢しろよっていう抑圧された女性同士の許容のはなしでも女同士助け合いましょうという自助相互扶助のはなしでもないんですよね。我慢しなと云ってくる人はいるけど(ていうか云われたことある)、それは抑圧された故の思考回路なので、そう洗脳してくる社会が問題。自分が我慢しているからと相手にも我慢を強いるのは、悪でしかない。強度と耐久性はひとによって異なりますし。
生理休暇を取ったことにより、仕事に支障が出るとしたら、それは休暇をとった人が悪いのではなく、そういう体制の社会が悪いんです。休暇を許容する=個性を認めるという図式ではなく、休暇を許容できる余裕がない状態は組織の問題です。給料によるけれど、ギリギリの体制でやってるとしても、サラリーマンの給料で毎日這ってでも来いってのは、そこまでの給料貰ってないですからってなりませんか。わたしはなる。自営業とか経営者はまた違いますけれど。
女同士の問題にすり替えたのと、個性で括るものじゃないのに、流行っているからといってなんでもかんでも個性で片づけて美化させるのには、まじ本質になんも触れてないですね。
この広告の価値観だと、生理休暇取るの申し訳ないな、と思っちゃうじゃん。許容してもらっている助けてもらっている=相手に負担をかけているだから。世の常識として、辛かったら休んで当然という認識でいれる世界で過ごしたい。いまの社会が休んで当然ではないので、その価値観に染まっているから自分も休むと申し訳ないなと思ってしまうんですが、思うけれど、身体が無理なんで(無理して出勤してもいるだけで精一杯かつ無理した分だけ不調が長引く)、割り切って休暇をいただいている。
自分は、虚弱体質で、生理も年々重くなっていっていて、ここ数年は生理が来るたびに最低2.3日は寝込む生活をしていまして、まあ結果としてミレーナ入れたんだけれど、この毎月の屍期間を「個性だよね☆」とかキラキラ装飾されると非常にイラっとする。治療(ミレーナ装着)で屍から脱っせられた。具えていなくていい。
理解などいらん、共感もいらん、知識を与え治療を奨めてやれ。
そっちの方が生きやすい。
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