ワインのお話(Vol.2)
皆さんこんにちは、若者に色々役に立つ情報をたまに呟いているおじさんです。
Vol.1で僕がワインにはまった時の話をしましたが、そこから何年もワインを飲み続けていましたが、心に残るワインは意外と数が少なかったです。ワインにはビンテージとテロワールという要素がとても重要です。ヴィンテージは、ヴィンテージジーンズやアロハで使われる通り年代を表しています。同じような使い方でエイジングという言葉も使われるのですが、これは時間経過や時間経過による味わいの変化を表して使う場合が多いです。ワインは、樽の状態とボトルに移してからそれぞれ違ったエイジングを行います。オーク樽などで保存する場合、樽の保存期間が多いと樽由来の香り、バニラのような甘い香りがワインに移ります。最近はこの香りを付けないためにステンレスタンクを使う醸造所もあります。そしてボトリングを行ってからはワインに含まれるタンニンや酸がゆっくりと変化し、よく言うまろやかな舌触りになるのは、タンニンが落ち着くまでエイジングさせたものに現れる特徴です。そして酸も時間経過と供に穏やかになり、落ち着いた味わいに変化します。
しかしこのようなエレガントなエイジングを行うためには、テロワールとヴィンテージが重要になってきます。テロワールは、ワインのもとになっているブドウ畑の畑の特性とそのエリアの特性を表しています。粘土質の土、石灰岩質の土、水はけのよい土と悪い土、そしてブドウが育つまでの天候などが、テロワールの要素としてあります。昼夜の寒暖差、降雨量が多い少ない、夏の日照時間など、様々な要素でブドウの出来が変わってきます。土壌は持って生まれたもの、天候は毎年変わるもの、このような固定値と変動地の掛け合わせによってどのヴィンテージがワイン造りにとって、良い・悪いというのが決まってきます。僕の生まれ年は、とても残念な年で夏に長雨が続き、日照時間が少なかったため、十分にブドウが育たず、長期熟成するためのタンニンと酸、そしてアルコールのもとになる糖分が十分でなかったため、どこの醸造所もワイン造りに困った年でした。このようなヴィンテージのワインは、長期熟成が望めないことから、コレクション的に長期保有される方はいますが、美味しいワインという観点では、早飲みされてしまう運命です。
ではこのヴィンテージとエイジングが分かりやすく出るワインを一つ紹介したいと思います。カルフォルニアのワインでCaymusというワインがあります。ナパヴァレーと呼ばれるサンフランシスコから北へ1時間ほど車で行ったところにある町で、有名なオーパスワンなどもここの町のワイナリーで作られています。僕がこのCaymusの中でも最高のヴィンテージに出会ったのは2016年ころの出張だったと思います。この頃、カリフォルニアに行けば必ずワイン探しをしていたほど、ワインにのめりこんでいたのですが、このCaymusは偶然行ったレストランで同僚とオーダーしたことで出会いました。このレストランは、The Grandview Restaurantで現在も営業しています。サンノゼの丘の上にあって、夕方サンノゼ空港に着陸する飛行機と、町明かりを見ながらイタリアンとワインを楽しむお店です。もし行かれる方は予約をしていった方が良いと思います。また、同僚と行くよりは、大事な人とのデートに向いているお店だと思います。途中の道はだいぶ細く、断崖絶壁のようなところもあるため、ホテルからタクシーで向かうことをお勧めします。(ワインも飲むので)でこのワインですが2013年のヴィンテージでした。シルクのような滑らかな舌触りと、チョコレートを思わせる香り、まだ数年しかたっていないのに落ち着いたタンニン、2013年は暑い夏だったのでブドウがやや過熟気味の出来だったはずが、とてもエレガントで力強いワインに出来上がっていて、いっぺんでファンになり、帰りに何本か購入して日本に持ち帰りました。(買ったのは、サンノゼのダウンタウンのリカーショップです。)しかし、2020年ころこのワインを飲んでみると、あの時の感動は消えてしまっていました。酸が少なくやわらかなタンニンであったことで、わずか7年のエイジングでピークアウトしてしまっていました。しかもこれ以降何度か違うヴィンテージを飲んだのですが、2013年の感動を得られることはなく、ワインは一期一会という言葉の意味が本当によくわかる出来事でした。そうそう、Caymusも高いボトルと安いボトルがあって、高い方はクリーム色のエチケット、安い方はレモンイエローのエチケットです。
このCaymusから得られたインプレッションにより、僕の好みのワインのコアが完全に形成されました。もともとJordanで自分の好みが形成されていたところに、Caymusで完全な形が出来上がったという感じです。そして、ワインショップに行くたびに、「Caymusの2013年や2000年以前のJordanのようなワインを探している」と聞きまわって、発見したのがSilver Oakでした。ナパのさらに北にアレキサンダーヴァレーがありますが、ここの醸造所は、ナパとアレキサンダー両方に畑を持っています。やはり、チョコレートのような香りとシルキーな舌触りのリッチでエレガントなワインというのが、僕の好むワインの1つの形です。因みに、ワインのラベルのことをエチケットというのですが、エチケットが貼ってなく、ボトルに直接プリントしている方が、グレードの高いSilverOakになります。お値段も1.5倍ほど違っていて、高い方が1.8万円くらい、安い方が1.2万円くらいで今なら買えるでしょうか。昔は、円高ということもあって、安い方なら8000円くらいで手に入ったのに、そういう意味でも一期一会かもしれません。
このあたりから、僕はカリフォルニアワインにはまっていきました。現在は高すぎて買いませんが、カリフォルニアワインは、あまり超熟させて飲むのではなく、割と世に出てすぐ飲んでも美味しい造りを意図的にしているのと、当時は現在ほど高騰していなかったので、ますます僕を虜にしていきました。この頃は、海外出張も多かったため、マイルがたまっていたこともあって、フライトをビジネスクラスにアップグレードしていくことが多かったです。ある時ANAのビジネスクラスで飲んだのがStrikerというソノマカウンティーで作られたワインでした。ナパヴァレーの西側に位置するソノマもやはりカリフォルニアワインの有名生産地です。ビジネスクラスでたまたま隣に座った女性は、国際弁護士をされている方で過去にワインにかかわる仕事をされていたそうで、Strikerはレアなワインだから絶対飲んだ方が良いと勧められて飲みました。このワインは、値段はそれほど高くはない(多分40ドルくらい)のですが、カベルネソービニヨンというブドウ品種を使っていて、チョコやミントの香りが特徴的でほのかにスミレの香りがしているワインでした。CaymusやSilveOakと比べるとエレガントさに欠ける若干荒々しい造りですが、アフターに残るどことなくスパイシーな感じが、香辛料を使った料理にも合わせられ、最初に感じられる香りと相まって、独特の世界観を持っているワインでした。残念ながら日本にはインポーターがいないため、Strikerをこの後飲むのは、たまたまソノマに行った時に友人に無理を言ってシャトーに寄ってもらった時までずいぶん長い間お預けでした。日本で買おうとするとインポーターさんが仕入れてくれなければ手に入れられないので、やはりこの点からもワインは一期一会なのかもしれませんね。
このnoteでカリフォルニアワインのエリアの話が出てきたので、地図を張っておきます。皆さんも機会があれば是非カリフォルニアのワイナリーツアーに行ってみてください。サンフランシスコからでているワイントレインも楽しいかもしれません。
サムネの画像はAdobeのFirefly Betaで作成したAI画像「cheers with red wine in the beautiful island beach side with palm tree」
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