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『プリンタニア・ニッポン』という漫画を読んでほしい

『ほんわかして見えて仄暗い世界観』が好きなオタクには
2025年2月13日
最新5巻が発売される
「かわいい すこし ふしぎ。」な日常譚
『プリンタニア・ニッポン』を読んでほしい。

この記事はそういう内容です。

あの梶浦由記様も夢中なプリンタニア・ニッポンを好きにな~れ。


あらすじ

『生体プリンタ』によって、好きな生き物を自由に作れるくらい技術力のある近未来。
主人公の『佐藤46』柴犬を作ろうとしたところ、見たこともない不思議生物が出力される。

↑このイラストの、何体もいる白いもち

どうやら同じプリンタを使った人達は皆、共通のUI不備に悩まされているようで。
出力された「丸くてもちもちした生命体」『プリンタニア・ニッポン』と命名され、正式に新種登録された。

これは、そんな事故からプリンタニア・ニッポンを飼育することになった佐藤が、プリンタニア・ニッポン略してプリンタニアに関係したりしなかったりする大小さまざまな事件に、ゆる~っと巻き込まれちゃうお話。

オススメポイント

私が思う『プリンタニア・ニッポン』のオススメポイントは、

  • プリンタニアのかわいさ

  • 物語が進むにつれ徐々に開示されていく不穏な世界観

  • ほの暗い世界に生きる優しい人たち

この三点
以下、詳細について触れていきます。

プリンタニアのかわいさ

まずかわいい
ビジュアルがかわいい。
丸くてもちもちしててつぶらな目をした生命体、のつわた大好き。

めちゃめちゃぬいぐるみに適した造形をしている。

プリンタニアのかわいさはビジュアルだけではない
彼らは基本的に人類に対して友好的で、主人公:佐藤が飼育している『すあま』というプリンタニアは特に飼い主の佐藤が大好きで、彼の近くにいたがったり、彼のために行動したいと願ったりと、健気でいじらしい

画像に映っている人物が『佐藤』で、
膝の上に乗っているのが『すあま』

飼い主のことが大好き!な生き物は、どうしてこうかわいいのだろう。
そういう、かわいい生き物を愛でる癒し作品といういう観点でも、とてもオススメな漫画なのだ。

ちなみに佐藤は、これまた事故により『そらまめ』という別のプリンタニアも飼育することになるが、こちらは『すあま』とは打って変わって自由気ままな性格である。
すあまのような献身は一切見られず、自分の生きたいように生きている。
そういうゴーイングマイウェイなところも、それはそれでかわいい

真ん中のピューッと走ってる小さいのが『そらまめ』

また、プリンタニアには共通して『ストレス値が高い者の側に寄りたがる』性質がある。
目に見えて精神を高揚させるなどの特殊能力があるわけではなく、時として人間の暗い感情に同調してプリンタニア自身も元気を無くすこともある。
しかし、孤独を感じたり、深い絶望を感じている人間だからこそ、自分の弱さを認め寄り添ってくれるだけで心慰められるものだ。
そういった理由から、療養施設でのプリンタニア緩和ケアは人気を博している。

なお、私はこの毛の生えた大きなプリンタニア『もなか』も好きな物とする。
すみっコぐらしの推しキャラはとかげな私。あまりにもこの口の形に弱すぎる。

とにかくお伝えしたいことは。
プリンタニアは良いよプリンタニアは可愛いプリンタニアは良いよプリンタニアは可愛いプリンタニアは良いよプリンタニアは可愛いプリンタニアは

物語が進むにつれ開示されていく不穏な世界観

『気質』『評価』『貢献』『実績』etcにより管理された格差社会

その人物が元から持っている『気質』
人との交流で得る『評価』
社会的な功績から得る『貢献』『実績』、
などが積み上げ式で累計された『Lv』という物が存在し、毎月更新されるそれに伴い、生活レベルが変動する。

具体的に言うと、居住権、資格、情報へのアクセス権などは、Lvに伴い付与・剥奪される

個人用のそこそこ広い居住スペースを所有し、己の裁量で働いたり休んだりしている主人公:佐藤目線では気づきづらいが、中には『開拓』という業務に従事している人間もいる。
開拓に従事する人間は、業務内容に対する希望は出せるようだが、その日ごとにすることが決められており、居住スペースも狭い。不自由な生活を余儀なくされるのだ。
もっとも、「割り振られたことをやればいい」「この暮らしが性に合っている」という瀬田のような人物もいるので、開拓に従事している人間が全員、己の境遇に不満を抱いているわけではない。

先述の通り、一度高い地位に上り詰めても不祥事を起こせば、ペナルティとして権利を剥奪されるし、逆に功績一つで一足飛びに高い階級に上り詰めることも可能。

人類を監視する存在

街中では自走式の機械:監視猫が闊歩しており、彼らによる管理・監視が行われている。

……とはいえ、彼らは監視『猫』と呼ばれる通り、デフォルメされた猫のようなビジュアルをしており、かわいい

This is『監視猫』

また、困った事態に陥った時に助けを求める存在でもあるので、感覚的には『警察官』みたいなものかもしれない。
「ごめんで済んだら監視猫はいらん」って佐藤も言ってたし、やっぱりそういうポジションなんじゃないかな。

現状、佐藤たちが社会に不利益をもたらす存在ではないので、猫たちとの関係は良好
それもあり、恐怖の対象というより、トラブルに巻き込まれやすい主人公達の境遇に呆れながらも、助けてくれたり、アドバイスしてくれたりする親切な隣人のようなポジションである。
今後どうなるか分からないけど……。

『夜時間』なる謎の時間帯

主人公たちの居住区画には『夜時間』というものがある。

『夜間行動』の許可がないものの出歩きは禁止されているようで、この時間になる前に、割り当てられた居住スペースに戻る必要がある。

現状、佐藤たちがこれを破ったことはなく、その時間に出歩いていたらどうなるのか、そもそも『夜時間』とは何か、ということには一切触れられていないが、後述の要素も含めると何ともきな臭い。

『外』と『残兵』

佐藤たちが住んでいる大雑把に『中』と呼ばれる居住区は、監視猫による監視があるとはいえまあ平和な物だが、『外』はまた雰囲気が異なる。

まず、空気汚染されているようで、防護服マスクなしでは人間は歩き回れない。

『外』に出る装備を整えた姿。

加えて、『残兵』という存在も徘徊している。
彼らは人間を発見すると『回収』するために襲い掛かってくる。
現に登場人物の一人:瀬田8は、残兵の襲撃により片腕を失った。正直、生きているだけ運が良かったのだが。

辛くも生還を果たした瀬田。

「『工場』の数が少なくなったなら残兵の数は減るはず」という論理が成り立つ以上、おそらく残兵は工場なる拠点で製造、あるいは管理されているようだが、詳細不明。

戦闘訓練は必須科目?

およそ戦闘能力が高そうには見えない佐藤や瀬田といった人物も、『近接』『銃』などの戦闘技術を学ぶ機会があったようだ。
何気ない日常会話の中で触れられているので、私達で言う学校で習った授業くらいの卑近な話だと思われる。

『外』での作業は、残兵により常に危険にさらされる。
己のLvいかんでは開拓業務により、での作業に従事する可能性もあるので、戦闘訓練が必修科目扱いされているのかもしれない。

死生観

私達の場合、肉体が滅びればそれでおしまい、二度とその人には会えなくなるが、この世界では異なる

【彼岸】肉体を失ったものが暮らす場所
【渡り】肉体を失った者を彼岸に送るお祭り期間

『プリンタニア・ニッポン』3巻 書き下ろし

此岸にいる生物の体内には、肉体が機能を停止しても個人の意識や記憶を保持する機関が埋められています。
肉体が機能を停止してから一定期間以内に処置を行えば、彼岸にその意識や記憶を移管させる事ができます。

『プリンタニア・ニッポン』3巻 書き下ろし

此岸肉体を持ち生きている人間も、特定の期間に彼岸に接続することで、肉体を失った人物に会うことができるのだ。

『旅行』と称して、己のデータをスキャンしたアバター仮想空間を動き回れるくらいの技術力を持つこの世界においては、死ぬということも文字通り『遠いところへ行った』くらいの感覚なのかもしれない。

ただし、上述した通り『一定期間以内に処置を行う』必要があり、行方不明や、残兵による回収肉体がロストした場合、彼岸への移管は不可能となる。

女性のいない世界

普通に読んでいる時には気にならなかったが、この作品には女性が登場しない

ネームドキャラクターだけがそうなら、作者の嗜好か、異性の存在が作品のメッセージに関わってこない、あるいは不要だからか、とも思えるが、モブとしても男性しか登場しない

過去回想ではネームドキャラ達の少年時代が描かれるし、実際に少年キャラも登場するが、彼らはどこから生まれてくるのか?
その辺りが全く不明瞭というのは、少し怖い。

ちなみに、誕生のメカニズムに関しては不明だが、人間の保護・養育『コンサル』というAIが担当している。

監視猫とは異なり、基本的には実体を持たず簡単な表情だけを浮かべるモニターと、接触可能簡易ハンドを用いて、音声通話で人間とコミュニケーションをとる。
不足な時は、オプションとして販売されている物理ボディに接続することで、実体を持つことも可能。

左上が『コンサル』本体。
右上が『簡易ハンド』。

監視猫はAIとは思えないほど人情味あふれる対応をするが、コンサルは個体差あるが基本的には融通の利かない『模範的なAI』
とはいえ、育てている人間への愛慕の情はあるようで、人間が不始末を起こせば叱り共に詫びに行ったり健康を気遣ったり成長を喜んだりする。
その様子はまるでのよう。

右側は塩野。
左側が『物理ボディ』。

補足として……。
この時点ではこんなこと言ってますが、5巻に収録されるだろう話で、誕生のメカニズムについて説明されてました。

ネタバレになるんで詳細は言いませんが

仄暗い世界に生きる優しい人たち

私は今作に登場する人間たちがみんな好き。
今のところ、根っからの悪人が存在しないからだ。
ある意味では、ブラックな労働環境だと従業員同士団結するから仲がいいみたいな生々しさも感じるが……。

また、心が弱った人間に寄り添わずにはいられないプリンタニアという生き物が物語の根幹を成す以上、登場する人物は佐藤をはじめ、どこかに痛み弱さ問題を抱えている。
プリンタニアという生き物同様に、この物語そのものにも、そうした弱った人間の心に寄り添ってくれる優しさがあるのだ。

以下、物語に大きく関わる人物達について、私の独断偏見で語っていきたいと思う。

佐藤が主人公じゃなきゃ『プリンタニア・ニッポン』じゃない!

そう成れなかったからとかじゃなくて…
ああなりたいって思えるようなもんがあるなら良かった

『プリンタニア・ニッポン』3巻 32話

佐藤という男も、彼が主人公だからこその『プリンタニア・ニッポン』というか、この作品のカラーを感じられて好き。

佐藤目線で話が進んでいくから、最初は塩野に振り回されがちな常識人なのかなと考えてた佐藤が、割とそうでもねえなこの兄ちゃんって気づくまでの過程が面白い。

おもしれー男……な佐藤だけど、単独だと自主的に人と関わらないので、自ら色んなことに首を突っ込みそうな塩野が近くに配置されていたり、プリンタニアを飼育することで黙ってても色んな人が寄ってくる状況に置かれていたりと、ちゃんと主人公として輝くための土台が用意されている。

そして、佐藤が主人公だからこそ、普通だと対処の難しい向井さんという人の背中を押せるし、そばにいる塩野や瀬田君がちゃんとツッコんでくれるから、限界コミュニケーションな二人だけで変な世界に突っ走っちゃうこともない。このバランス感がとてもいい。

塩野という人物の描き方

佐藤はちゃんと話聞いてくれるだろ
俺そんなに人の話じっと聞けないし
同じだったらこまるよー

『プリンタニア・ニッポン』1巻 おまけ2

この漫画には、プリンタニアによる癒しを必要としないように見える、行動的で明るい塩野という男が登場する。友人である佐藤から『やかましくて元気でうるさい』と形容される存在だ。そんなに?
私は、この塩野の描き方大好きだ。

塩野のキャラクター性は、よく言えば『明るいコミュ強』だけど、悪く言えば『考え無しのノンデリ』という面もあり。
フィクションにおけるこういうキャラって、本当にただの賑やかしとして描かれたり、逆にそう言う人間性を努力して見せかけているだけで、一人の時はローなギャップ持ちとして描かれることが多く、後者は私結構好きなんだけど、塩野はどっちでもないんすよね。

自分が落ち着きのない存在だと自覚しており、落ち着いて話を聞けて物事を考えられる佐藤の『自分とは異なる良さ』理解しており、尊重できる。
また、塩野の後先考えない行動から『そらまめ』が迷子になってしまい叱られた時には「そらまめの身に何かが起きていたら、佐藤と友達ではいられなくなってしまうかもしれない」という仮定の話に対し「嫌だ」と泣き、素直な感情を吐露する。

私はおそらく、明るく善人で、でも押しつけがましいと思ってしまう直前の、ギリギリのラインで踏みとどまれるキャラが好きなのだと思う。ポケモンSVのセイジ先生とか、サイドMの舞田とか。

塩野はトラブルメーカーな側面もあるけれども、その辺りのバランス処理がしっかりしてるから、彼に対して嫌悪感を抱くことはない。
色々問題は起こすが、本人が反省した上で報いはしっかり受けるし、佐藤が消極的なキャラクターなので、塩野が無理やりにでも連れ出さないと話が始まらないという部分もある。
何より、塩野が大した根拠なく起こした行動がきっかけで状況が改善したりしているので、ひたすら内にこもってしまう佐藤や瀬田君だけでは解決しない問題も、とにかく行動!!な塩野をブチ込むことで何とかなったりする。
この作品において塩野は重要な存在なのだ。

なお、こんな脳筋キャラみたいな書き方してるけど、実は塩野は頭脳キャラだったりする。

こんなこと言われちゃうくらい。

私自身、自己肯定感が低い人間だから瀬田君がいとしい

俺本当に頭悪くて
スクールでも自分なりには必死でした
でも全然駄目で
結局、開拓で
けどちょっとほっとしてたんです
もう期待しなくていいって
……
また駄目だったら
また自分にガッカリしなきゃいけないのかと思うと…

『プリンタニア・ニッポン』1巻 第13話

瀬田君という存在も愛しい。

表面的に彼と関わるだけだと、人当たりがいい、悪く行っちゃえば『都合のいいひと』と思われて利用される面もありつつ、実際のところかなりナイーブで面倒くさい性格の持ち主なんだけど、パニックに陥り目がグルグルしだした時に佐藤と塩野がフォローしてくれる関係性、愛せる。

また、自分に自信がない、自分に期待して裏切られたくないからあまり多くを望まない、という人間性は、すごく自分にも突き刺さる部分があり、プリンタニアキャラの中でも、彼にはすごく共感してしまう。

そんな彼だからこそ、プリンタニアと関わる仕事に従事する中で、『好きなプリンタニアに関わる仕事をしている自分』と言う形で己を肯定する強さを手に入れた、という成長の描かれ方にカタルシスを感じるのである。

頑張れ瀬田君、負けるな瀬田君。
私も頑張る!!

遠野さんと向井さん……一生プリキュアでいてくれ(?)

「……
また明日来ていい?」
「…いいけど
何もないし…つまんないよ?」
「あ…
さっきのハリスの話…
よく知らないから……」
「…続きが聞きたいの」
「ん
うん
遠野が、嫌じゃなかったら…」
「いいよ
また明日ね!」

『プリンタニア・ニッポン』3巻 おまけ2

遠野さんと向井さんの関係性も好き。

昔は仲のいい、大切な友達だったのに。
大切だからこそ向井さんは距離を置いて、怒った遠野さんと疎遠になってしまい……という過去と。
佐藤の声かけにより少しずつ雪解けしていく、今!まさにその過程のグラデーションを見られているところが。

人間性人間関係も、固定されることはない。
人が生きる以上変動し続けるもので、物語を通して人が変わっていく様、関係性が変わっていく過程が感じられる作品は、やっぱり好きだなあと思う。

これからも、二人の不器用な歩みを見守りたい所存。

いやもうだいぶ仲良しだな??

永淵という存在そのものがズルなキャラ

真理は我らを自由にする
知ることで
広がることもあるし
省みることもできる
それは確かだ
…けど
囚われすぎないようにね
昔の話なんだ
もう どうしようもないことさ

『プリンタニア・ニッポン』4巻 59話

いや、永淵……永淵。
こいつぁズリィよ。飛び道具だよ。

作者さんに向けて「永淵みたいなキャラ好きだけどこんなのいるなんて知らなかった」という感想が流れてくるくらいやべーやつだよ。

永淵に関しては、『フリーダムで適当なことばっか言う』『よほどの変わり者じゃないと務まらない彼岸の管理をしている』というA面だけで十分おもしれー男……なんですけど。
4巻単行本収録「深掘りのおまけ」で永淵真実というB面を知ると、もう……やばいんですよ。

私が悔しいなと思ってるのは、永淵のような男は性癖に覚えがあるから、本編での本人+コンサルの話から感じた違和感を突き詰めて考えてれば自ずと真相にたどり着けたのでは?となるのに、実際読んでた時の私は深く考えずおまけを読んで死んだので……。
あの時! もっと思考を巡らせていれば……!!

それはそれとして踊る永淵を見てくれ。

日記からの転載

以下は、個人でつけている感想日記からコピペしてきた文章です。
ここまでの文章は自分なりにきれいにまとめたつもりだけど、ここからは割と日記のままなんでカオスです。

あと、ここまでの中ではぼかしたこともハッキリネタバレしているので、まっさらな状態でプリンタニアワールドに飛び込みたい人は読まない方がいいかも。今さら~。

遠野さんが好きだと自覚した自分の感情の整理過程

3巻のおまけ2やら、ネットで公開されていた描きおろしやらを見て、遠野さんすげー好きになったんですけど、私がこんなに心奪われた理由についても、今度深く考えたい所存。

今私が分かる限りだと、すあまに注射を打った時の「私もあんまり好きじゃあなかった」発言が、予防接種で打った程度のものだと思ってたのが、実際にはそれが日常だったんだな……と気づいた時の重みとか。

あとは、周囲とうまく馴染めなくて自ら望んで一人になっていこうとした向井さんと、望まないままに一人病院に閉じ込められて、やっと出会えた向井さんに心を開いた遠野さん、という対比のきいた組み合わせがすごい好きだなあと思うので、その辺りですかね。

そうした関係性を構築したうえで、でも大切に思うからこそ向井さんは遠野さんを遠ざけて、遠野さんを怒らせてしまったという未来を思うと、余計に美味しいですね。
もちろん、その後佐藤と向井さんが接触することで、二人の関係が少しずつ改善されることも含めたうえで話してますよ!? じゃなきゃあまりに人の心がない。

どの道人の心はないよ

47話読んだ後、改めて塩野が好きになる

改めて私、塩野という男が好きだなと思いました。

今回の話だと、ピザ食ってる最中に話そうとして、佐藤に「食うか喋るか決めろ」って言われて、素直に黙ってもぐもぐしてから話し出すっていう流れが一つ。

そこから切り出す話題が「向井さん、俺とも友人登録……しない?」で。
限界コミュニケーションな向井さんは以前「自分は友人登録を免除されているから」って断ったけど、登録すること自体はできるので嘘ついてすまない……と謝る向井さんに、
「嘘ってか、あの時はムリな感じだったんでしょ? あっ今もムリそなら全然!(断ってもいいよ)」
と言える塩野のバランス感覚、愛したい。

あと、コンサルに過保護な干渉を受ける向井さんに佐藤が言った
「今度コンサルからの要求を有耶無耶にする為の必勝法を共有しますね…!」
に対する「結託しないの!」も好きですね。

全力で有耶無耶にする姿勢の佐藤も好き

あと今回の話、塩野が「新しいレシピだって!」って言ってピザ買ってくるじゃないですか。
食いしん坊で好奇心旺盛で行動力抜群なそらまめが真っ先に寄ってきて、そんなそらまめに向井さんが食べやすいサイズに取り分けてあげて。
すあまは後から佐藤の元にのんびりやってきて、食べている物を分けてもらう、っていう。
一緒に生活しているプリ同士の個体差みたいのが表現されていて、最高にかわいかった。

瀬田君の変化予想

瀬田くんも、もっとLvが上がったら自分だけのプリンタニアをお迎えするのかな、と考えたけど。
この子だけって決めるんじゃなくて、この子たちみんなをお世話するのが好きだから、俺はこのままでいいかなって答えそうな気もした。

でも分からない。
瀬田くんは特にだけど、プリンタニアのキャラクターって変化していくから。
いつかは職場の子たちにも家の子にも、変わらぬ愛を注ぐ瀬田8がいるかもしれない。

58話読んだ後、も~っと塩野が好きになる

善良であるゆえに今回の件で蚊帳の外になってしまい、己では力不足だったと泣く塩野が好き。
いいやつだなお前は。

60話で色々明かされた

長らく謎だった『マリヤ』『ハリス』について、おとぎ話のような話だけどアンサーが出ましたね。

マリヤ、胸ある? 女性だよね??
旧人類は、=私達だから両性。現行人類は男性だけ、とかある?

進むことが私達の償い……。
いつぞやかの遠野さんのお言葉、ここからの引用だったんだ。さすがファン。

マリヤは連れ去られ、ハリスは壊れ、後には猫と人だけが残された、か。
マリヤさあ……もし見つかったとしても、絶対無事じゃなくない?
いや、分からん。プリンタニアだから案外『ぱやっぱ!』って効果音付きで普通に生還するかも。

『物語』って語るための対象がいて初めて成り立つもので、その人にどんな感情を付与するか考えながら編まれ受け継がれるじゃない?
現行人類になにがしかの示唆を含んでいるのなら、あの話が全て真実とは言い難いよね。

つまり、いかにも聖人というか、英雄視されがちなマリヤは、実際『ぱやっぱ〜!』な感じのアクティブ愉快なねーちゃんだったりしない?。
なんか私には、そういう胡乱時空マリヤが既に目に浮かぶんだが。

というか猫、今どんな気持ちで現行人類と共にいるの……? そこが分からない。
私が猫なら、ただ一人の旧人類であり、大切なマリヤを失うきっかけを作った存在なんて許せんけど。
ただ、その原因となったのも、猫自身の『これ以上失いたくない』というエゴだった、という自責もあるのやも……。

この流れで荒期突入ーは、何かあるやつじゃん……。
しかも、プリンタニア揃って何かくるゆうてますやん。
何かくるやつやん!!

向井さん大丈夫!?
仲違いしてた二人が和解するのはもうそういうフラグでしかないよ!?
マリヤとハリスが縁で親しくなった二人が、そのおとぎ話の延長線で死別するとか、美しい流れだけど美しくないよ〜!!

勝手に向井さんを殺すな

永淵真実(この時私はまだ永淵『さん』ゆうてた)

プリンタニア4巻買ってきました。
4巻の話の中で永淵さんの意味深長台詞が留まることを知らなかったから、この人何を抱えてるのかと恐々としながらおまけを読んだんだだけど。
正直これ気づけたよなあ! 本編中のやりとりで十分察せたやつだこれ!!

うわ、『永淵』はもういないんだ!
いない存在に成り代わってるんだ!
託された命なんだ!!

現在『永淵』を名乗る何者かは、元々は「私」って言ってたのに、永淵を名乗るようになってからは「僕」に変えたんだな……。
「この声こっちにいた頃そのままじゃない?」っていう現在の永淵さんの発言に、コンサルも「永淵の声に近いですね」と返すんだよね……。

物理ボディに関しては、現在明かされている情報だけではどんな思い出があるのかは分からない感じよね。
ポペも。

永淵さんと瀬田君は、命を助けられた者と、己を犠牲にしてでも助けた者の対比?
瀬田君が気づかない内に永淵さんから巨大感情を向けられてしまう??
さりげなく友人登録してたし……。

永淵さん、脅すようなことや試すようなことも言うけど、それで怖がらせたり素直に受け止められたりしたら、すぐに謝ったり反省したりできるあたり、根っこは善良なんだろうなあと言う感じがする。
プリンタニア、人物の描き方に信頼がおける。

今後の展開を想像、もとい妄想

リアルタイムに読んでた時は気づかなかったけど、ハリスの最後の発言を繋ぎ合わせると、
「マリヤにパーツ(発信機的な物?)をセットしたから、それを手がかりにして見つけてほしい」
と言ってるように思える。

マリヤの捜索に関してはこれまでの話のどこにも出てきてないから、私の知らんとこで開拓業務の一環として行われているのか、あるいは断片的すぎて言葉の意味が正しく伝わっておらず放置されているのか。
後者だとしたらそりゃハリスもふて寝するわな。

どの道、これでマリヤ発見フラグは立ってるように思える。
おあつらえ向きに塩野が外に出たしな。

マリヤ……生きてるのかな〜?とは思いつつ、プリンタニア世界における生き死にの概念、旧人類の私からすればわやわやだからな。
永淵さんをも生きてると形容できるし、腕を失った瀬田くん、目を失った向井さんとかもいるし。

最初からある程度Lvが高いであろう塩野と佐藤、遠野さんは見る限り五体満足だけど、開拓行ってた瀬田くん、未だに外での仕事を主に請け負う向井さんが欠損してるのも世知辛い話。
ただ、向井さんの義眼は生まれ持った目より便利な性能を備えてるし、瀬田くんもプリンタニアのお世話には現在のハンドの方が便利。その辺り、あまり悲観的ではないよね。残兵に回収されたり行方不明にならなきゃ彼岸で会えるってのもあって、生き死にもそうだし。

一旦もちの話挟んどきます

関係ない話。
すあま、佐藤本人以外の呼称は佐藤にならってるの、かわいい。
せたくん、むかいさん……。

ここから更にヘビーな話になるからと、もちを挿入してしまった。もちもち

ここからさらに妄想全開~リアルタイムに物語を追う醍醐味~

永淵さんと瀬田くんの関係。もっと言えば、新人類の在り方。
4巻おまけで、この二人は『体を張って(オリジナル永淵さんは命をも賭して?)他者を守った』『守られた』対称的な二人として描かれるけど。

ここで考察という名の妄想好きな私は考える。
現在永淵を名乗ってる存在=瀬田くんの前世説ない?
だからビジュアルも名前も秘匿されている。

で、ここから先もっと妄想なんだけど。
プリンタニア世界の子どもの扱いが、私はずっと不思議だった。
見る限り男しかいない世界で、どのように繁殖しているのか?
歳をとらない人間たちだけ運用してるならともかく、主人公たちには子ども時代があるし、大人とは隔離された環境=スクールには子どももいる。
子どもはどこから来るのか?

私はこれに対し、プリンタニア世界の彼岸接続などの設定も鑑みて、肉体が死んだらそれを再利用して新しい生命体に転用してるのでは?と考えた。
だから、現在永淵を名乗る何者かが肉体的な死を迎えたとき、その体は回収され修繕を施され、現在では瀬田8の体として運用されてるのかな……と。

ここまで考えた根拠と言えるのは、彼岸の奥に現れた顔のない瀬田くんによる「自分がこうなれば良かったね」という発言に似た言葉(君がこうなればよかったね)を、永淵さんもまた聞いていた、というだけなんですがね。
あれが彼岸の典型的なやり口と言われればそれまでだし、プリンタニア世界の出生の秘密とか出されればそれまでですね!
というか、動物をプリンタで出力する世界なんだから、人間もプリンタから生まれてそうな気もする。

リアルタイムで追う楽しみって、こういう途中経過でアレコレ思いを巡らせるところにあると思う。
羽生氏の試合やショーも、この試合がどんな結果で終わるのか……ハラハラ、とか、どんなことしてくれるんだろ〜ワクワク、とか。先を知らないからこそ楽しめるわけで。
ここで伝説の名演技! 登場早々空飛ぶ氏!!とか知ってる状態で後から見たら、楽しいは楽しいけど、事前に空想を巡らせる楽しみはないわけで。

後から作品を知った時、自分の意思で意図的に「今日はここまで!」みたいに情報をせき止めるのって難しいじゃん。あればあるだけ読んじゃうじゃん。私はそういう人間。
だとすると、リアルタイムでヤキモキしながら次の話を待って読んだ人達よりも、感動は薄れるよなあと。
脇下一族列伝もそんな感じだったな。リアルタイムで追えて良かった。

プリンタニアは今まさにリアルタイムで進行している物語だから、そういう楽しさを享受して最後まで見守りたいものだと思った。
最後とか言っちゃったけど、終わらないでほしいけどな! 私と”永遠”を共に生きてくれ……。

まとめ

  • かわいくてもちもちで飼い主のことが大好きな生き物を愛でずにはいられない人!

  • AIにより管理された格差社会が好きな人!(なおそのAIはネコチャン型とする!)

  • 徐々に開示されていく不穏な設定を見て、過去に何があったのか、今どうなっているのかについて思いを馳せたい人!

  • その中で生きる人たちの緩やかで優しい交流を見守りたい人!

そんな人に、プリンタニア・ニッポンはピッタリです。

かわいいマスコット仄暗世界観のギャップが魅力なこの作品は、web連載されてます。
最新話無料!(+何話か無料で読めるはず)

今から読んで、もちの沼にハマろう!

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