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羽生結弦を『表現が上手い』と乱暴に形容してしまうことに対する戒め
元々私は、羽生結弦氏に対して「スケートの上手い人だなあ」などとボンヤリ思いながら推していたのだが。
プロに転向してからの羽生氏は、『フィギュアスケート』というスポーツの枠組を飛び越えて、『表現者』として桁外れの才覚を発揮し続けている。
しかも、「すげえもの見た……」と茫然自失となった“GIFT”の時も、「まだこんな可能性をお見せしてくれるのか」と唸った“RE_PRAY”の時も、心のどこかで(これ以上はないのではないか)と勝手に思ってしまっていたのに、“Echoes of Life”ではさらにそれらをも超越した物を目撃してしまった。
オーサーから「ユヅルをみくびるな」と言われていたのになあ!!
ついつい自分と同じ物差しで、この規格外の存在を測ろうとしてしまうのだ。
恐ろしいことに、羽生結弦においてここは限界ではない。まだまだポテンシャルを秘めているのだ。こわい、こわすぎる。まんじゅうこわい。
そんな、いち表現者として尊敬しており、時に「羽生先生」と呼ぶこともある羽生結弦なのに、私が氏を褒める時に真っ先に出てくる形容が、
「羽生結弦、表現が上手い」
という、貧困なボキャブラリーを露呈するような残念な代物なのだ。
これでは羽生先生があまりに浮かばれなさすぎる。
なので、自らを戒めるために、今一度羽生先生の凄さについて考えてみることにした。
『表現者』としての羽生結弦の強み
羽生結弦先生におかれましては、
そもそもスケートが上手い
踊りも上手い
というフィジカル面と、
顔がきれい
スタイルがいい(小顔・細身・脚長)
というビジュアル面、
独自の哲学をお持ち
独特な言語センスもお持ち
知識も豊富(好奇心が強いからか?)
というスキル面に加えて、
己の内面世界を見つめ返し、外界に表現することに対し恐怖感はあれどやり抜く芯の強さ
自らがオタクだからオタクが喜ぶことが『理解』でき、それを実行に移せる共感力の高さ
誰も歩いた人のいない道を最先端で歩いていく勇気の持ち主
というメンタル面まで兼ね備えているのである。
こう改めて列挙すると、やべえクリエイターだな……。
正直、この中の一つあれば、普通の人間なら十分誇りを持って生きていけるよ。これら全部完備してるんだから、恐ろしい存在すぎるんよ。
以下、各項目を掘り下げていきます。
フィジカル面
スケートが上手い・踊りも上手い
正直これに関しては、
実際に見てもらった方が
早いと思います。
ビジュアル面
顔がきれい・スタイルがいい
これもまあ~
羽生結弦さんの特大写真パネルが展示中です。
— 東京写真記者協会 (@tokyoshakyo) December 22, 2024
東京写真記者協会加盟各社の
カメラマン撮影の力作が並んでいます。
皆様、是非ご来場下さい🔥🔥#報道写真展#日本橋三越本店#羽生結弦さん pic.twitter.com/gokJcB4v40
言葉を尽くすより
【ポスター画像公開】8/29発売のFS Life Extra『羽生結弦 PROFESSIONAL Season2』は両面ポスター2枚付き。本日はその一部を公開します!
— フィギュアスケートLife (@fskating_Life) August 21, 2024
矢口亨 @yaguchi_toru さんの撮影はこちらを含めて計52カット。 #羽生結弦 さんの表情の深淵と、きめ細やかな写真の陰影美をご堪能ください。#YuzuruHanyuPRO2 pic.twitter.com/egID3INyQb
本人の姿を見てもらった方が
羽生結弦さんと〈グッチ〉が登場したGINZA330号はチェックした? なんと今回、GINZAとBRUTUSがタッグを組み制作するスペシャル写真集ボックス『a full filling time』が発売決定!誌面では見られなかった貴重な写真を多数収録。ここでは、発売前に一部カットを特別公開!@YUZURUofficial_… pic.twitter.com/s9MuoGo3Mj
— GINZA (@GINZA_magazine) January 3, 2025
早いよね!
スキル面
独自の哲学をお持ち
幼い頃から地元のテレビ局などからのインタビューを受けてきたからか、メディア対応をそつなくこなす羽生氏。
だからか、己を振り返りそれを発信する能力に長けているとは分かっていた。
分かっていたはずなのに。
“GIFT”で『ICE STORY』と銘打たれた作品をお出しされた時、濃密な羽生哲学の原液を「くらえ!」されて初めて、これまでインタビューなどでお出しされていた思考が本当に氷山の一角でしかないと思い知らされたんですよねえ。
いやあ、ギフト、ギフト……本当に、アレに関しては初回見た時、衝撃的すぎてなかなか噛み砕けませんでしたもの。
次の日には、たまらんほどの中毒性を発揮して、「もっと見たい! もっともっと!!」となってましたけど。
独特な言語センスもお持ち
『ICE STORY』というように、羽生先生がリンク上で滑っている時以外は、羽生先生が書いた文章を羽生先生ご本人が朗読する形で展開される、羽生先生のショー。
(エコーズは滑ってる時も、所により流れてたけど)
それでよく分かったんですけど。
羽生先生って言語センスが独特なんですよね。
そこでその言葉を使う?という単語チョイス。
そこでそう飛躍させる?という論理。
自分のような凡百の人間には決して真似できない独特の表現。
だからこそ、そこに引っかかりが生まれ、クセになり、前述したような中毒性が生まれるのだろうな。
羽生氏の朗読聴いてる時にしか分泌されない類の幸福物質、何かしら出てるもん。
知識も豊富
これは色んなテレビ番組出た時なんかに思い知らされるけど、羽生氏って出る番組に応じてちゃんと下調べと言うか事前準備して臨むから、パッと話題を振られて困った所を見たことないんですよねえ。
常に当意即妙に答えているというか。
そして、そうやって得た知識を着実に自分の物にしているから、自ら作品を創造する時に活用できるんですよね。
いやはや、頭が下がる。
ちなみに。
こういったところから氏の健気な人間性がうかがえますが、私が羽生氏のことを最初に「健気だな」と思ったのは2019年のMOIだったりします。
遅いよ!!
これの1:32くらいからずっと、写真撮影用の小物の配置を、ああでもない……こうでもない……と手直しし続ける羽生氏。
その姿が最高にいじらしい。
メンタル面
己の内面世界を見つめ返し、外界に表現することに対し恐怖感はあれどやり抜く芯の強さ
ここから何か項目名自体が長いな……。
ご本人をして~メンシプらじお~と形容されている、YouTubeのメンバーシップに加入している人にしか見られない動画の中で、今自分が練習しているプログラムを披露することに対する恐怖について吐露されたことがあったんですよね。
↑氏の公式YouTubeチャンネル↑
そういう不安は私自身にもとても身に覚えのあるもので。
言うなれば今この記事をチマチマ書いてる間も、これを読んだ人にどう受け取られるか?という不安は常にあります。
それでちょくちょく不敬発言が混じってんだから説得力ないんだよな。
そう考えると、氏には人に「ああ、こんなすごい人でも自分に近しい所はあるんだなあ」と思わせてくれるものがあるんですね。
まあ、それで東京ドームで己の哲学バァーン!! スケートシャァーッ!!をやってのけるんだから、魂のステージとしてはあまりに違う物がありますが……。
氏のすごい所は、そういう誰もが持っている恐怖心を抱えながらも、いや、繊細さに関しては人並み外れたものがありながらも、それでも人前に立って、堂々と表現をしてみせる。その芯の強さにあると思います。
自らがオタクだからオタクが喜ぶことが『理解』でき、それを実行に移せる共感力の高さ
これは本当に強い。羽生結弦の強みや。
サービス精神の塊だから、ファン心理をくみ取って動いてくれている部分もあるとは思うけど。
「自分自身楽しいからやる! だって、おれがやりたいもん!!」
ってなっても、それが結果的にファンの喜ぶ物に仕上がるんだもんなあ。行動力のあるオタクって強ぇわ。
誰も歩いた人のいない道を最先端で歩いていく勇気の持ち主
星野源さんと松重豊さんの番組に、氏が出演した際。
「先が見えない」
「将来やってみたいことが本当に何も分からない」
「怖いし不安だらけだけど、ある意味では可能性が無限大ってことかな」
「自分が人生終える時に、良いもの残したなって胸張って言えるように毎日過ごしたいな」
と述べた羽生氏に対し、
「未来が見えないってのは一番いい状態」
「『こうなりたい』とか『ああなろう』とかがしっかりある内は、誰かがやってることがビジョンにある」
「最先端で誰も行ってない島に一人で降り立っている。その先が真っ暗。とっても面白くて、傍から見ると未来がある。でも自分は未来を感じられないというのが、表現者として一番面白い状態なんだと思う」
と答えてくれた星野源さん。
私がふっと思い出したのは、
これこそ地上の道のように、初めから道があるのではないが、歩く人が多くなると初めて道が出来る。
という、魯迅の作品の中に出てくる文章。
(私が読んだ物とは異なる翻訳なので、ニュアンスは異なりましたが……)
今は羽生結弦しか歩いていない場所も、羽生結弦自身が切り拓いていくことで、後に続く人が出てきて、いつかは『道』になるんじゃないかなあ、などと。
『先駆者』と言う立場は、羽生氏も恐れているように不安なことばかりだし、何も参考に出来なくて寄る辺もない。
でも、何よりも自由で、氏も述べているように『無限大』の可能性を秘めている。
どこまでも飛んでいける鳥を象徴するような『羽』の字を名字に戴いた氏には、『自由』というしがらみのないものがよく似合う……と、いちファンである私は勝手に思うのであります。
ちなみにこの番組は、ノッテで初披露された「Danny Boy」というプログラムが生まれたきっかけでもありますね。
ピアノ曲聴くと演技浮かべちゃいますね、フィギュアスケートの。
今のとかも、こうかなあとか、ああかなあとか、滑ってましたもん、自分。
と言ってたけど、本当に披露してもらえるとはね……。
※2025年3月10日までの公開
まとめ
つまり羽生結弦は、フィジカル、ビジュアル、スキル、メンタルのどの分野においても隙が無い、完璧超人ってことっすね!
……ここまで長々と書いてきたけど、結局語彙がマシになった気はしないのであった。
おわり。
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