日テレ×Panasonic 見えないストレスを見える化するスマートミラー「ミロモ」誕生!~こだわり演出ポイント~
こんにちは!『日テレR&Dラボ』です。
Panasonic Design FUTURE LIFE FACTORY(以後FLFと表記します)の皆さんと日テレR&Dラボとの共創チーム「TONDEMO LIFE FACTORY」のメンバーで、プロトタイプした、見えないストレスを見える化するスマートミラー「ミロモ」が、ようやくお披露目になりました!
今回はその制作の舞台裏を、全4回にわたってお伝えしています。
ミロモの制作にあたっては、私たちR&Dラボに加えて日テレCGチームも参加、そして日テレアナウンサーにも協力してもらうなど、日テレ社内から多くの協力者を得ながら一気に作り上げていきました。
これまで自分たちが作るなんて考えたことも無かった「スマートミラー」ですが、どのようにコンセプトをつくり、どのようなこだわりをもって制作したのか?
そして、パナソニック、日テレという異業種で組んだからこそ生み出せた提供価値について話していきたいと思います。
前回出た話題は…
■技術を前面に出さない!「楽しさ」「自然さ」の演出
■大切なのは「日常感」と「技術」の組み合わせ
第3回目は、ミロモの演出のキーであるモンスターなどキャラクターへのこだわりや、スマートミラーならではの演出手法に話題が続きます。
■ミロモ最大のこだわり、ストレスのモンスター化
加藤(日テレ):
さて、ミロモは、先ずは日々抱えているストレスを「モンスター」として表現することがキーコンセプトにありましたよね?
東江(FLF):
そうですね、このモンスターに行きつくまでに、本物の幽霊っぽいものなのか可愛いキャラクターなのか・・・「毎日のストレスをどう可視化するのか?」は試行錯誤しました。どのへんが面白いんだろうと・・・。
加藤(日テレ):
本気のモンスターだと怖すぎますからね(笑)
白鳥(FLF):
そうです!毎日見るものだからグロ過ぎず、かといって子どもっぽいチープな感じには見えたくないなあと。そして、「日々の癒しになる」方がいいよねという話もあり、そういうキャラクターデザインをしたいよねと話していました。
松本(日テレ):
実はこのキャラクターのデザインは、CG制作のプロである日テレのCGチームの皆さんに声をかけて参加していただきました。
CG担当の古川さんや田中さんは、いきなり「打ち合わせさせてください!実はスマートミラーを作ってまして・・・」って話を持ち込まれたときはどんな気持ちでしたか?
古川(日テレ):
私たちも、番組以外でのCG活用の幅を広げたいと思っていたので非常に良い機会でした。
特にインタラクションを伴うCG制作やCGワークフローはあまりやったことがなかったのですごく興味がありました。
田中(日テレ):
作り方もアジャイルですごく面白かったですよね。
最初は2Dで試作したんですが、ミラーにコンテンツを実装してみたら、3Dで見せた方が見え方もきれいだし、ライティングもこだわれるという話から、自然と3Dになっていきましたね。
松本(日テレ):
私たちR&Dラボの最初のCGの依頼はとてもふわっとしていて・・・、「鏡の中にいる励ましてくれる妖精みたいなもの」とか、「ストレスがモンスター化されている感じ」みたいな言葉だったんですが、そこからキャラクターをデザインするにあたって、CGチームではどう想像を膨らませたんですか?
古川(日テレ):
そうですね。ミロモちゃんは学生の時に見た化学式の六角形から発想したり、あとは若い女性からも好まれそうなデザインを考えてみました。
モンスターは、ストレスという「負のイメージ」から「ゴミ」とか「廃棄物」をモチーフにしてみました。捨てられそうな花瓶とか、卵の殻とか、赤いたわしとかがモチーフになっています(笑)
あとは、ストレスの種類として「イライラ」とか「ジロジロ」とか「もやもや」とか、そういった言葉からの発想もあって、その二つを組み合わせて考えていきました。
松本(日テレ):
あのモンスターは卵の殻とかたわしから生まれたんですか!? その由来は知らなかったです(笑)
古川(日テレ):
ボスモンスターは、サラリーマンのストレスといえば「上司」だろうというところからイメージしました。
ボスの巨大感を出すために脚がいっぱいだったり、目がいっぱいあったり、ビジュアル的なところでデザインしています。最後はダジャレで、サイコパスなオクトパス上司というネーミングにしました(笑)
加藤(日テレ):
パナソニックの皆さんは、このキャラクターを初めて見た時どう思いましたか?
東江(FLF):
すごくクオリティ高いなと思いました!
キャラクターデザインができる人が会社にいるのが「めちゃめちゃいいなー!」と思いました。
白鳥(FLF):
クオリティーが高いキャラがたくさん出て来たときに、「ミロモ」の世界観が見えてきたので、「すごい!プロだなー」って思いましたよね。
マイケル(FLF):
日本は、こういう新しいキャラクターの表現が得意で、私には全然議論できないくらいのギャップがあったんですけど、すごく面白いキャラクターだと思いました。
白鳥(FLF):
キャラクターのデザインを出していただいたことで、ストレスに応じてキャラクターを増やすとか、体験のアイデア出しがすごく進んだので良かったなと思いました。
東江(FLF):
そうですね、表情解析の技術を使うとストレス値が何段階かに分けられるので、それを反映させてキャラクターを出し分けたりして、どんどん体験感が増していきましたよね!
■プロダクトに命を吹き込んだ!日テレアナウンサーの声
加藤(日テレ):
キャラクターの声は日テレアナウンス部にも協力いただきました。
松本(日テレ):
そうですね、せっかく日本テレビとパナソニックで作る鏡だから、声は日本テレビの財産でもあるアナウンサーにつけていただきたいなということで、アナウンス部長にお願いをして、しかも非常にキャラの立ったお二人のアナウンサーを出していただきました。
ミロモちゃん:岩田絵里奈アナウンサー
https://www.ntv.co.jp/announcer/profile/e_iwata.html
ボスモンスター:辻岡義堂アナウンサー
https://www.ntv.co.jp/announcer/profile/g_tsujioka.html
松本(日テレ):
岩田アナはキャラクターに声をつけるのは初めての経験だったそうで、録音の時にとても緊張していたのを覚えてます。
実際、まだCGも完成していないのに想像でやってくださいというすごく難しいお願いしたのですが、かわいいバージョンと、癒し系のゆっくりしゃべるバージョンと、少年っぽい声の3バージョンをお願いして、その中でかわいいバージョンが今回採用されております。
声が付いたことで「あっ、ミロモちゃんってこんな感じなんだ」っていうのがすごくはっきりしましたよね。
岩田アナはキャラクターを演じるのがとても上手なので、今後もこういう仕事を是非してほしいなと思いました!
加藤(日テレ):
ボスキャラの方はどうでしたか?
松本(日テレ):
ボスキャラの義堂アナは、ものすごく大変な仕事だったと思います・・・
ボスキャラってそんなしゃべるわけではないので、「こらー!」とかの短いセリフで話すバージョンと、「ワーッ」「ウォー」とかの声だけのバージョンの2パターンを撮らせてもらって・・・
どっちがハマるかなと思ったんですけど、圧倒的に「ただ声だけで表現」する方が上手でした(笑)
こちらが1言ったら10返してくれて、いろんなバージョンをどんどん出してくれて。
ボスキャラが最後やられる時に「あ~~~っ」ていうすっごい変な声を出すんですけど、これは義堂アナがいっぱいやってくれた中のひとつが面白すぎて、即決で採用させてもらいました。
やっぱり義堂アナには数々の経験があって、いっぱい引き出しがあったから出きたんだなって思います。
お二人とも本当にベスト配役で、岩田アナと義堂アナがやってくれて、より愛されるキャラクターになったなと思います。
久野(日テレ):
僕はお二人の収録の様子を近くで撮影させてもらってたんですけど、一つのリクエストに対してのバリエーションの出し方がすごくて、声のプロだなと思いました。
この声が、実際にモノに組み込まれると、さらに製品感が増すような気もしてすごいと思いました。
加藤(日テレ):
ミロモへの音声の実装作業で、一番この声を聴いた川島さんはどう思いました(笑)?
川島(FLF):
「あ、いつも聴いている人の声だ!」って思いました(笑)
東江(FLF):
ちがうでしょ!「最高だなー」って言ってたじゃないですか(笑)
川島(FLF):
それはこれから言うから(笑)
自分はテレビっ子なんでテレビをよく見てるんですけど、最初に義堂アナの声が送られてきた時には、「あ、いつものテレビの人の声だ!」と思いました。そして、岩田アナの声は「しばらくずっと聴いていよう・・・」と思いました(笑)
一同:笑
川島(FLF):
最初の頃は「機械の合成音声」を使ってプロトタイプを作ってたじゃないですか?まったく抑揚が無い感じの。
あれをずっと聞いていたので・・・、その時は本当にこれ大丈夫かなという感覚だったんですよね。体験としてもあまり面白く感じないし、最終形の実感が湧かなかったんです。
で、アナウンサーさんの音声と入れ替えたらやっぱりギャップがすごくて、めちゃくちゃ完成度が上がってプロダクトに命が吹き込まれた感じがしました。やっぱりプロの仕事だなと思いましたね!
加藤(日テレ):
どうしても合成音声はあまり感情を感じられなくて、スマートミラーもその延長線上になってしまいそうですが、今回はあえて生身の声を加えたことでプロダクトとして別モノに変化したのかもしれませんね。
川島(FLF):
言葉のパターンが少ないのでできたという面はありますけど、生の声によって体験感がものすごく増していますよね。
西(日テレ):
陰の功労者はアナウンス部長です(笑)
すごく企画の意図を理解してくれて、ミロモちゃんなら絶対岩田アナがいいと思いますよと推薦してくれたし、もっと言うとボスモンスターは声を当てる予定がなかったのに、ここに義堂アナが面白くないですか?と言ってもらえて。
実際に義堂アナにやってもらって本当に良かったですし、助けられたなと思います。
次回(第4回)は、ミロモ制作にあたっての技術コラボレーション、TLFだからこそ生み出せた提供価値について話していきます。