ダークパターン-知らずに生み出さないために
NTTレゾナントテクノロジーUI/UXデザイナーの笛田です。WebサイトやモバイルアプリのUI/UXデザインを担当しています。
今回はダークパターンとその例をいくつか紹介します。
ダークパターンとは
ダークパターンとは、ユーザーの認知を歪ませ望んでいない行動をさせることを目的とした、Webサイトやアプリで使われるトリックやインターフェースデザインのことです。
似たような概念としてアンチパターンというものもあります。こちらはデザイナーのスキル不足やユーザーへの配慮不足、ミスなどによって、ユーザーの行動を失敗させてしまうものであり、「意図的に」ユーザーが望まない結果に導くダークパターンとは分けて考えられています。
2021年の日本経済新聞で「消費者操るダークパターン 国内サイト6割該当」(※1)と報じられており、ダークパターンは私たちの周りに溢れている状態です。
「意図的に」と書きましたが、ビジネスには「売りたい」「登録させたい」「情報を引き出したい」「サービスに中毒性を持たせたい」などといった目的があることが多く、その達成への様々な取り組みの結果、知らずダークパターンを生み出してしまうこともあるためと思われます。しかし、仮にダークパターンを用いてビジネスの目的達成ができたとしても、リスクがあります。企業やサービスの信頼性低下や、返品やクレーム発生、消費者トラブルへの発展などです。
UXの観点からは当然ダークパターンは良いことではないですし、前述のリスクを避けるためにも、知らずにダークパターンを生み出すことがないよう、私たちデザイナーがダークパターンを知って理解することが重要です。
ダークパターンについての様々な資料や知見記事がありますが、そこでは以下のような種類が出てきます。
スキーニング(こっそり)
アージェンシー(緊急性)
ミスディレクション(誘導)
ソーシャルプルーフ(社会的証明)
スケアシティ(希少性)
オブストラクション(妨害)
フォースドアクション(強制)
ナッギング(執拗な繰返し)
インターフェース干渉
今回はこの中から、私が実際によく見かけるパターンをいくつかご紹介します。
こっそりチェックボックスにチェックされている
チェックボックスUIにデフォルトでチェックが入っているというのは、本来ユーザーの手間を軽減するためや操作例の提示という役割にもなり、良いことなのですが、使い所を間違えるとダークパターンになります。
例えば、フォーム画面の確定ボタンの下に実はまだページが続いており、そこにメルマガ登録のチェックボックスがあるパターンです。多くのユーザーは確定ボタンはフォームの最下部で、確定ボタン前までで入力項目は終わっていると認識すると思います。そのメンタルモデルを利用して、ユーザーが気づかないままメルマガ登録させるというものです。
これはスキーニング(こっそり)にあたります。
フェイクのレビューやアクティビティメッセージ
商品レビューや「今10人が見ています!」といったアクティビティメッセージ。商品やサービス購入を迷っている時の後押しになります。「たくさんの人が買うならいいものなんだろう」「急がないと売り切れてしまうかも」という心理になり、購入の意思決定に強い影響を与えます。
本当の情報なら良いのですが、虚偽の情報だったとしたら、ユーザーの認知を歪ませて購入させていることになります。
これはソーシャルプルーフ(社会的証明)にあたります。
辿り着けない解約ページ
解約してほしくないがために、解約ページへの導線をTOPページから辿れないようにする、わざと奥深くの階層に配置する、これらもダークパターンです。
適当なサービス名を単体で検索していると、サジェストに「サービス名 解約」という検索候補が出てくることがしばしばあります。サイトから解約ページに辿り着けず、検索キーワードで解約ページヘの直接リンクを探す人が多くいることが予測できるサジェストだと思います。
これはオブストラクション(妨害)にあたります。
残り時間あとわずか!
とある通販サイト訪問時、「今から⚪︎時間以内のご購入が対象!50%オフクーポン!」というカウントダウンタイマーがついたポップアップクーポンが出てきたことがあります。後日同じサイトを訪問すると、同じポップアップクーポンが再び出てきました。「今から⚪︎時間以内」と書いてありましたが、実際はいつでも出ているようでした。
時間的制限を与え、 商品を購入するよう強いプレッシャーをかけるこれもダークパターンです。
これはアージェンシー(緊急性)にあたります。
最後に
今回はダークパターンについて紹介しました。私自身も実は仕事の現場で生み出しそうになったこともあります。
「ダークパターンとは」で説明したように、ビジネスの目的達成への様々な取り組みの中でアイデアとして出てくることがあるからです。そのような時に「これはユーザーの認知を歪めるものではないか?」と気づいてダークパターン発生を防げるように、引き続きインプットを続けていきたいと思います。
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参考
※1 消費者操る「ダークパターン」 国内サイト6割該当
ザ・ダークパターン
Deceptive Patterns
国民生活センター 消費者を欺く ダークパターンとはhttps://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202403_01.pdf