中国からの手紙〜11 都市と自然:秋色編
こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか。
こちらは、気温は時折マイナスの日も出てきて、雪も時折ちらついたり、平地の都市部でも色鮮やかな秋、そして冬に差しかかろうとしています。以前、都市自然の春編として、春の桜や初夏の花海についてレポートしましたが、今回は秋の紅葉についてレポートします。
武漢は国内の大都市の一つです。昔ながらの下町も文化保護のために少し残されていますが、多くは非常に都会的で、開発が進んでいるエリアでは元々の森や林はほとんど残っていません。一方、武漢は「国家生态园林城市(国家生態ガーデンシティ)」に認定されており、都市開発や街づくりにおいて生態環境保護を重視しています。多数の都市公園が造られ、公園や道路脇、キャンパスには整然と樹木が植えられ、剪定や落ち葉の回収なども高度に管理され、都会的な美しい緑の都市のイメージを作り上げています。
武漢周辺では(に限らず多くの都市部でも)四季を通じて都市の景観が美しく保たれ、紅葉シーズンにはとても豪華な雰囲気になります。
また、公園開発を通じて水質向上や希少種(動植物・鳥・昆虫などの)の環境保護も積極的に行われており、実際に湖や川の水質も向上してきているようです。公園内に植えられている樹木には、人工的な鳥の巣箱も多数見られます。開発が進んでいるにもかかわらず、公園やキャンパスには鳥や虫の種類も多く、特に夏の夜や明け方には多数の虫の鳴き声が響き渡るのは不思議な感じです。
湖北省は「千湖之省」と呼ばれるほど湖が多く、長江も通過しているため、水との関係は非常に深いです。水面積は省の4分の1を占めており、水流を用いた交通などで水が経済発展に重要な役割を果たす一方で、洪水対策や水地域を挟む道路建設の困難といった課題も抱えてきました。多くの湖は公園として開発され、四季折々のイベントが開催され、地域住民に親しまれています。
例えば東湖(东湖)は国内最大級の都市湖の一つであり、自然観察、花見、乗船、ハングライダー、気球、軽いハイキング、現代建築めぐり、遊園地、バーベキューなど、様々なアクティビティを楽しめる憩いの場となっています。地上からだとあまりわかりませんが、上空から見る景観は、水と樹木、水上道路、現代中国式建築が美しく融合し、非常に独特で、上空からの撮影を意識してデザインしたのかと思ってしまいます。
武漢は「国家生态园林城市」の他にも、ユネスコの Creative City of Design として認定されています。湖や長江の水系の特性を生かし、緑を多く取り入れ、伝統的な文化も包含した創造的な街づくりが評価されています。また、高い技術を積極的に取り入れたサステイナブルな開発や独特な景観も世界的に認められています。街を少し歩くだけでも多くの特徴が見つかり、都市開発の視点から見ると非常に興味深い街です。サステイナブルな開発や水との関わりなどについては、別の機会にご紹介しようと思います。
寒くなってきましたので、体調に気をつけてお過ごしください。
次号に続く