新たな挑戦【グリーン・ファンタジー】〜3
第3回「光合成する緑の動物たち(1)」
しばらく、中学生版と高校生・一般版との企画編集は同時並行で始めることになった。最初は勉強会方式で、半年ほど経って多様なメンバーが加わり編集委員会方式に変更した。
第1回(2021年12月)から第42回(2024年8月)まで、足かけ3年の「緑の猫編集委員会」は、岩村秀先生(東京大学名誉教授、元日本化学会会長)、ナノサイエンスの有賀克彦先生(物質材料研究機構)、平坂雅男様(元帝人、日本バイオミメティクス推進協議会)の第一線の科学者と作家の森央りり野氏とがテーブルを囲み、第8回(2022年4月)から光合成がご専門の河野智謙先生(北九州市立大学)、第22回(2022年12月)から餌取章夫先生(京都科学技術大学、元日経サイエンス編集長)にご参加いただいた。
餌取先生は京都での取材の途中、大阪万博博覧会関西パビリオンのアドバイザーであることが分った。
本欄、第1回で述べたSF(サイエンスファンタジー)からGF(グリーンファンタジー)へと構想が拡がっていたので、「科学による地域の活性化」へとつながる取り組みに弾みがつきそうな予感がした。
「緑の猫」は「森の崩壊と再生のために緑の猫が現れ活躍する物語」である。「猫」が緑色であると聞いて、読者はその猫が植物のように光合成すると想像するだろう。光合成以外の方法で「猫」が緑色になる仕組みも考えたがそのことは後述したい。
当然だが、科学者が参加する編集委員会では猫が光合成する可能性を疑うことから始まった。
編集委員会が発足する半年程前、まだ勉強会的な会議の場で岩村先生からのコメントに少し驚いた。それは「実存する3種類の緑の動物たち」というものだった。
次回で「緑の動物たち」の実像について語りたい。