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新たな挑戦【グリーン・ファンタジー】〜1

 吉田社長が、【グリーン・ファンタジー】という新たな挑戦をしている。来春発刊予定の『緑の猫』である。発刊までのアナザーストーリー(1回目)を吉田本人の言葉でここに綴る。2回目以降も続けて公開予定である。

 第1回 「緑の猫」に出会うまで

 4年前の日曜のある日、買物から帰る途中の車から心地よいテンポのジャズが聞こえてきた。ラジオMCは「ただいまの(音楽)ナンバーは ”きになる犬” でした」と伝えた。
 その頃、「廃校を救う3匹の猫」をテーマのSC(Science Communication)本を企画中だった。私が非常勤講師を務めていた美大の学生3名と国立研究開発法人の科学者コラボによる、科学読者市場をより一般に広げることを目指す取り組みだった。

 SC本はその前、「未来の科学者のためのナノテクガイドブック」(2016年発行)、「分子は旅をする」(2018年発行)等の経験があったが、何れもサイエンス側からの企画で必ずしも読者層を広げる結果にはつながらなかった。そのため、「廃校を救う3匹の猫」はより物語側からの取り組みを心掛けていたが、学生が卒業することになり、代りに女性作家に声をかけることとなった。

 帰宅してから ”きになる犬” を検索したがヒットしなかった。聞き違いかと思ったが、やがて奇妙な画ではあるが森の樹と融合した犬の姿が頭に浮かんだ。犬ではなく牛だか山羊だったかに近い画が、インドの宗教画にあることを思い出した。犬が猫に変わるのに時間は要らなかったが “木になる猫” よりも“緑の猫”の方が本書のテーマに適う。タイトルも「廃校を救う緑の猫」に変わり、更に廃校が眠る森をテーマの「緑の猫」に落ち着いた。

 「緑の猫」は作家と科学者の共作となるサイエンス・ファンタジー(SF)作品である。 作家の想像(ファンタジー)をサイエンスで裏付けるSFはありそうでない。
 ディズニーもハリーポッター、トトロも基本はファンタジーである。
 いわゆるSF(サイエンス・フィクション)はファンタジーではない。

 作家は科学者との協創の中で仮説を積み上げるようにキャラクターや状況設定を行なうのである。科学者にとっても「物語」は仮説提案の新しい入口にならないかと、ふと考えた。

 次回より中学生版「みどりの猫」と高校生・一般版「緑の猫」の二つの取り組みを語りたい。
 更にSF(サイエンス・ファンタジー)から「グリーン・ファンタジー(GF)」へと構想が拡がり、GFが「科学による地域の活性化」へとつながる取り組みについて何回かに分けて語る予定である。

<NTS代表取締役 吉田 隆>

予告:第2回 「緑の猫」の系譜~手塚治虫から鳥山明まで~