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人工知能プロジェクトマネージャー試験対策 - ④:分野C:統計理解の実装力編 -
こんにちは。
一般社団法人 新技術応用推進基盤 公式note編集局です。
私たちのnoteでは、AI・DX活用や新規事業の創出をテーマとして、技術と市場の両面について情報発信しています。
今回は、当団体が提供している資格試験「人工知能プロジェクトマネージャー試験」の「分野C:統計理解の実装力」について、解説と対策を行います。
本試験では、合格者像を下記のように定義しています。
AI構築に関する 専門知識の全体像を理解し、自身でもAI構築可能な技術的背景を持ちつつ、“組織に成果をもたらせるAI” の構築のために目標を設定し、責任を持ってチームを牽引して、予算、品質、スケジュールの面で計画通りプロジェクトをマネジメントできる人材
「AIを活用して、業務変革や製品企画を成し遂げる側」であっても、実装の仕組みをまったく知らないというわけにはいきません。それでは現実的なシステム構成も想像できませんし、また作成の工数管理も不可能です。管理職の方、企画部門の方など、自身が手を動かしてAIを作成する立場ではない方でも、最低限の実装の仕組みは知っておく必要があります。
こうしたプログラミング的な知識も、本試験では分野Cとして問うています。
本有料noteでは、分野Cの解説と対策を掲載しています。合格水準の点を取る為に、また該当分野の学習者への情報提供の為に、また「AI(機械学習)に用いる技術的な知見」について学習する参考に、活用して頂ければ幸いです。
なお、人工知能プロジェクトマネージャー試験は分野A~Gまでの全7分野で構成されています。各分野に加え、はじめに・参考資料リストなど全体を書籍としてお読みになる場合は、ぜひ公式の電子書籍版のご購入もご検討ください。
noteから分野別に購入するより、金額的にもお得になっています。
また、全分野共通の前提理解について確認したい方は、ぜひ無料で公開している下記のnoteもご覧ください。また、他の分野についてもnoteでご覧になることもできます。
【ご注意事項 ※ 必ずご購入の前に確認ください】
本有料noteは、人工知能プロジェクトマネージャー試験 公式テキスト「AIを活用する技術を学ぶ」より、第3章部分を抜粋したものです。
公式テキストをご購入済みの方は、同内容ですのでご注意ください。
本書の著作権等の権利は一般社団法人 新技術応用推進基盤および著者にあります。無断で複製、転載、販売、公開等することは、有償・無償に関わらず一切認めておりません。権利が侵害された場合、法律に基づいて処罰される可能性がございます。
第3章:分野C「統計理解の実装力」
モデル構築の為のスキルとは
分野Aでプロジェクトの目標の決め方を、分野Bではその目標に向かう人工知能の中核ともいうべきモデル作成について概念と仕組みを学びました。分野Cでは、実際にコンピュータ上にデータを読み込み、統計処理を実行していくために必要なツールやスキルについて学んでいきます。
統計処理の実装に用いることができるツールは大きく4種類にわかれ、自由度と簡便さのトレードオフ順に並べると、下記の図のようになります。
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近年では、どうしてもプログラミングに一定のハードルが存在することもあって、ノーコードツールや学習済みアルゴリズムの市場からのニーズが強く、その進歩は著しくなっています。現段階でもすでに、一般論としての処理(例:画像内の人の有無を検知する等)であれば、こうした学習済みアルゴリズムを用いるだけでも十分実用的になる場合もあると言えます。
しかし人工知能プロジェクトマネージャー試験では、こうしたノーコードツールや学習済みアルゴリズムの進歩に敬意を払いつつも、一定のプログラミングに関する知識も必要だと考えています。その理由は大きく2つです。
まず、ある程度の予算感をもってAI開発プロジェクトを立ち上げた企業であれば、おそらく「自社オリジナルのSomething」を差別化や目標達成に重要なパーツとしている場合が多いと思います。ベースとして学習済みアルゴリズムを上手く活用することはあるとしても、オリジナリティを組み込もうとすれば、やはり部分々々ではスクラッチで作らねばならない箇所も出てくると考えられます。
例えば、ごく一般的な画像で人をカウントするだけであれば既存の学習済みアルゴリズムで十分ですが、自社独特の画角での検知度を上げたいなどあればオリジナル開発やカスタマイズが必要になります。多くのパッケージソフト/クラウドサービスはPython/Rと連結できるような設計にもなっており、大枠の処理はパッケージを利用しつつ、Pythonで作った独自機能を連結
するという使い方が可能です。
次に、PythonやRの思想や使い勝手を理解しておくと、パッケージソフトやクラウドサービスの扱いも手慣れていけるという点もあります。第三次AIブーム初期から現在までの主流はやはりPythonやRでしたので、そもそもノーコードツールや学習済みアルゴリズムの開発思想が、これらの言語を使っていた人の思考パターンに引っ張られて作られている感は否めないと筆者は考えます。また、いまなお最新手法はPython / Rのライブラリにリリースされ、そこで確立されていったものがパッケージソフトに展開され、さらにその後学習済みモデルのAPIとして活用されていくという「流れ」のようなものがあるとも思われ、いずれの理由にしてもPythonやRの特徴やできることを理解しておくことで、パッケージソフトを使う際にもメリットが生まれていくと思います。
こうした背景から、人工知能プロジェクトマネージャー試験では、AI開発の言語として主流であるPythonの仕組みや概念を理解することを、AIプロジェクトを牽引するマネージャーに必要なスキルとして定義しています。人工知能プロジェクトマネージャー試験では、Pythonに必要な環境や主要なライブラリの種類や内容、呼び出し方や使い方などの基本的なコードの理解が出題されます。
とくに文系出身のマネージャーやあまりプログラミングに馴染みがなかったマネージャーは、そもそもPythonを用いたプログラミングの基本的な仕組みや用いられるライブラリの意味を把握していないケースも散見されます。
まずはPythonを使ってプログラミングを始めるのに必要な環境、AI開発においてよく使われるライブラリの機能や特徴など、エンジニアが使っているツールが何を意味しているものなのかを理解していきましょう。
そのうえで、紙面で学んだライブラリを実際に手元の環境で動作させてみて、感覚を掴んでみてください。もちろん、ユーザー企業のマネージャーや企画側のマネージャーは、自ら難しいデータを処理しきるほどのスキルがなくともかまいません。そこは専門性が違いますし、エンジニアと役割分担すべき点だからです。
しかし、コードを書くことの手間がどういうものか、肌感を持っている人ともっていない人では、エンジニアとのコミュニケーションの説得力がまったく違ってきます。これはチーム全体でみたときに、企画・精度・工数等あらゆる管理に違いをもたらすことになりますので、その意味で、みずから手を動かして感覚をつかむという経験を積んでほしいと思います。
なお、コードの書き方に関する話は、WEB上でも書籍でも多くの解説が存在し、いまや無料でも十分学習を進められる環境が整っています。
コードの書き方は、言語やライブラリのバージョンアップなどによって変化してしまうものでもありますので、WEBから最新の情報を得ることをすすめます。また学習にあたりコードの「お手本」が欲しい場合、WEB上を検索することでも情報を得ることはできますが、加えて近年ではChat-GPT等を使って、欲しいコードを生成することも可能です。
ぜひ参考としてみてください。
本テキストでは、上記の理由および紙面の都合上もあって、コードの書き方まで言及していません。必要に応じて他の情報ソースも活用して頂ければと思います。
【Column】 AIエンジニアの言語はPythonかRか?
少し前まで、PythonとRのどちらを使うか業界内でも派閥がありました。現在でもなお、どちらが優れた言語かは論争がありますが、人工知能プロジェクトマネージャー試験ではPythonを標準として扱っています。理由としては、主に3つあります。
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