【翻訳】●クー・フランとコンラ●
この話をまとめた本を作りました。詳しくは以下の記事でどうぞ。
https://note.com/nteyu/n/n954b506550e7
※4/27に上記記事に追記しました。
●クー・フランとコンラ●
TCD MS 1336
英語訳: James George O'Keeffe
クー・フランはアルバのスカサハのもとに修行に行った。スカサハは娘のオイフェを彼に与えた。彼はオイフェを妊娠させたのに、アイルランドに帰った。
クー・フランはオイフェに云った。
「この金の腕輪をおまえに。もし息子が生まれ、その子の手首にこのリングが合ったら、アイルランドの俺のところに送ってくれ。その子をAinfer Aifeと呼び、アイルランドの誰にも名を明かさないように云ってくれ」
オイフェは息子を産み、云われたとおりにした。
彼の父親がゲイボルグをアイルランドに持って行ったため、オイフェは息子にゲイボルグ以外のすべての武器の扱いを教えた。
Ainfer Aifeがアイルランドに着いたとき、アルスターの男たちはMag Eneに集まっていた。
彼らは小舟が近づくのを見た。ムンレウァルが少年の素性を聞くために派遣された。しかし、Ainfer Aifeは、名前を誰にも教えないと云った。
それから少年とムンレウァルとのあいだで戦闘が起き、彼はムンレウァルの手首に剣の帯をかけた。
その後、ドゥフタハが送られた。少年はドゥフタハにもおなじことをした。
クー・フランが下りて行ったが、それでも少年はなにも伝えなかった。
両者は戦ったが、クー・フランは陸上で彼になにもできなかった。
「海でも陸とおなじ動きであるなら、おまえの戦いは素晴らしいな」とクー・フランは云った。
「海での僕の腕前は、こんなものじゃないと思う」と少年は云った。
ふたりは海に出た。
それでもクー・フランはなにもできず、ついにはゲイボルグを投げて殺してしまった。
「さあ、名を告げろ」とクー・フランは云った。「時が来たのだから」
「僕はAinfer Aifeだ」と彼は云った。「スアルダウの息子の、クー・フランの息子」
それからクー・フランは少年を背に負って、アルスターの人々がいる場所に連れて行った。そこにはそのしるしがある(すなわち、この詩)。
耐えがたい苦しみ
俺はMag Eneを渡った!
息子の素晴らしい武器を片手に
もう一方には彼の戦利品
その後、クー・フランはアルスターの者たちに訴えられた。
彼はアルスター生まれの者と見做された。そして、クー・フランは息子のために贖罪金の半分を支払った。
というのも、クー・フランは誤って息子を殺害したからであり、戦いをしたが、彼は罪ある者に見える無実の者であったからだ。これは戦闘ではあったが、部族や血族の同意がなかったという理由である。
クー・フランが息子のために贖罪金の半分を払わなければならなかった理由はなにか?
それは、彼がアルスターに属していたにも関わらず、余所者であったからだ。ムルセヴネはアルスターでの彼自身の土地であるため、クー・フランは国人と判断され、彼の息子は余所者とされた。これによってコンホヴォルは贖罪金の半分を得た。
半分がコンホヴォルに与えられたのはなぜか?
難しくはない。これが原因である。クー・フランは子殺しであり、近親者を殺した者は遺産相続や贖罪金をとれない。コンホヴォルは最も近い親族であり、贖罪金の半分は、ゆえにコンホヴォルに与えられた。
もし彼がアルスター人であったなら、罪人に見える無罪の者であっただろう。まったくアルスターのなかにいなかったならば、彼は*****罪人となり、賠償金がコンホヴォルに支払われただろう。