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「これまで」の振返り方

これまでの人生を振り返るのは良いことだ。
10代の頃、自分は何を思いどう動いていたか。20代の頃はどうか。30代、40代は・・という具合に。

その時々の大きな出来事は何だったか、その際自分は何を思い、どのような意思決定をして(もしくはしなくて)、結果はどうなったか・どう感じたか。つまり、その時の①思想、②周辺状況、③解釈・行動、④結果で整理してみる。

例えば、ある人(Aさん、50代)に20代の頃を振り返ってもらった;
①変化に富み、面白いと思える人生を。他人に流されるのではなく自律で
②景気低迷し、自然災害増え、閉塞的な時勢、ストレス過多社会、売上から利益・キャッシュへ、成長の限界‥
③座して死を待つのは潔くないと解釈した。経験の数を増やすべく新たなチャンスに向けて行動した。
④社会的には成功者の軌道に入った。大勢に流されない素早い判断・行動が身を救った。

最後の④を見る限り、「思い通りの人生になって良かったですね」で終えてもいいのだが、そんなAさんにも悩みが残っている模様だ。これまでの人生の歩みは正しかったのだろうか、このままでよいのだろうか、改善すべきはどこだろうかと。傍から見れば充実した人生に見えても、人は何かしらの悩みを抱えるものだ。

まず、「これまでの人生は正しかったか」という問いについて、人生に「正/誤」があるのだとすれば、あなたは「正」だと評価できよう。その際、自分の思い描いた①が正誤の判断基準となる。ゆえに、そもそも①が誤った思想に基づいている(例:他者を侵略したい、傷つけたい)のであれば、客観的に見たあなたの人生は「誤」という評価になる。

次に、「このままでよいのだろうか」という問いを掘り下げるためには、今の①思想、②周辺状況、④結果を精査するとよい。
Aさんの現在は、
①経済的な利得追及ではなく、世の中に貢献したい
②法人はESG, SDGs流行り、若手の社会起業家は数多く発生
④一定の問題解決スキル、コミュニケーション力を有するが日本国内限定
という状態である。中高年に多く見られるパターンだ。そのうえで、現実的に出来ること・出来ないことを見極めていく作業になる。

さらに、「改善すべきはどこか」という問いに対する解は;
①については再考すべし、
②についてはより視野を広げ、中期的な未来を洞察すべし、
④については、自分自身が得た結果だけでなく、他者に与えた影響まで振返ってみるべし(良い影響もあれば、悪い影響もあるはず)

そして、今後の③解釈・行動について、こんなアドバイスになった。
今後、あなた(Aさん)が取るべきアクションは、
・身の回りの人々への感謝の気持ちを思い出し、
・真に支援的(表面的な装いではなく)であってほしい、
・支援の中身は、NPOやボランティアなどの大掛かりなことでなくてもよい。他者にねぎらいや励ましの言葉をかけるとか、そっと寄り添うだけでも良い。

人に「死ぬまでにやりたい10の事リスト」を書いてもらうと、「あれもしたい、これもしたい」という“欲”に関する項目が多くなる。だが、我欲を追求し続けようとする限り、最期まで心は充たされない。

マズローの欲求5段階説では「自己実現」(Self-actualization)が最上位に置かれており、これが人々の誤解を生みやすい。自己の欲望追求こそが究極かと。だが、実は、マズローは晩年に6段階目の欲求として「自己超越」(Self-transcendence)を提唱している。険しい山道をたどって自己実現した後には必ず欠乏感が訪れると。その時点で、自己を超越したときに見える世界が最高位の感情だ、という主張である。

提唱時期が遅れたことについては、マズロー自身が死を目前にして気づいたとか、共産主義者扱いされることを恐れて発表しなかったなど、様々な憶測がある。いずれにせよ多くの人が知っておくべき事実であろう。



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