【業界向け】2026年は名古屋がアツい!アジア競技大会にeスポーツが正式決定されたことについて今後の注目・課題点
1 はじめに
先日、愛知・名古屋eスポーツ連合主催の研究会に参加しました。
そこで大きく取り上げられたのは、「eスポーツ」が第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)の正式競技に決定されたことです。
2 どんな大会か
国際オリンピック委員会の管理下で、国内のオリンピック委員会が各国ごとで組織されています。
そのうち、アジア地域の国内オリンピック委員会が複数集合した組織が、「アジアオリンピック評議会」です。
アジア競技大会は、アジアオリンピック評議会(OCA)が主催するスポーツの催し物、ということになります。
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まだ詳細は明らかになってない部分もあるようですが、アジアオリンピック評議会は、eスポーツを競技種目として正式に承認をしました。
競技種目に含まれるかどうかというのは、大きな経済効果を期待できますから、たくさんの当事者間の利害が対立します。(水泳や陸上は、伝統的な協議として必須の種目だそう)
そのような中で、eスポーツが、主催者から積極的に提案・採用されたというのは、(批判的な意見はある噂もありますが)その経済効果や社会的意義を認められたからこそだと思います。
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(参考までに、開催都市契約が、アジア評議会と愛知県・名古屋市及び日本オリンピック員会との間で締結されています)
3 これまでのeスポーツとオリンピック・世界大会の歴史
eスポーツとオリンピック関連の国際大会の歴史です。
2018年 第18回アジア競技大会
ジャカルタ・パレンパンで、eスポーツをデモンストレーションとした競技が採用されました。ウイニングイレブン日本代表選手が優勝する等、最初から大きな盛り上がりを見せました。
KONAMI公式さんの動画
権利関係で心配ですが、当時の臨場感が伝わる動画。
2023年 オリンピックeスポーツシリーズ シンガポール(6月22日~25日)
国際オリンピック委員会(IOC)が国際競技連盟(IF)やゲーム会社と連携して設立した大会です。ここにフォートナイトがライフル競技の一種として採用されました。
https://olympics.com/ja/esports/
同年 第19回アジア競技大会 中国・杭州
本投稿の頃、行われている大会ですね。リーグオブレジェンド、PUBGモバイル、ストリートファイター5の種目で日本人代表選手が頑張ってくれています。
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備忘録として。ここでメダル獲得数が出るみたいです。
2026年 第20回アジア競技大会@名古屋・愛知
そして、2026年が、愛知・名古屋で開催される予定の大会です。
4 注目すべきポイントや課題
どのゲームタイトルが競技として採用されるか含め、まだ具体的なことは決まっていないとは思います。
現時点で注目点は以下の通りです。
(1)FPS/TPSのゲームが採用されるか
今だとVALORANTが一番熱いゲームタイトルだと思いますが、国際オリンピックはVALORANTを含むFPSが競技タイトルに含まれる可能性を否定したそうです。人を殺すという要素を持つのが平和の祭典にはふさわしくないという事情があるからでしょう。
ただ、現にPUBGモバイルは競技になりましたし、フォートナイトも、ゲーム内容は大幅に変わりながらも競技として採用されました。
FPSだからダメということにはならないと思います。
(2)商業ベースの競争が激しい?
岡安学「みんなが知りたかったeスポーツの教科書」92頁によれば、2018年12月のスイスローザンヌで行われた第7回オリンピックサミットにて、eスポーツのアプローチが話題になった際、(1)の点の他(「オリンピックの価値観と相いれない」)、「商業ベースでの競争が激しく、業界が分断されている」「変化のスピードが激しく人気タイトルの移り変わりが激しい」という意見が出たようです。
※元の資料がすぐに見つからなかったので、同書から拝借。
これは、一般ユーザー目線でも思うところがあります。eスポーツは盛り上がってるのは事実ですが、ゲームタイトルが多くて、せっかくの盛り上がりの熱が分散しているようにも思えるからです。また、eスポーツ連合さんと積極的にかかわるパブリッシャーさんもいれば、そうとは限らないパブリッシャーさんもいるようで、一枚岩ではない印象は否定できません。
岡安さんも懸念を示していましたが、IPホルダーとして著作権(放映権等)を手放してまでオリンピックに参加する意味があるかという問題も生じる可能性があり(98頁)、様々な利害・意見の調整が求められる分野でしょう。
(3)ファンや選手の民度が高くはない
これは、私も上記研究会で質問をさせて頂きましたが、eスポーツは、年齢層が低いこともあってか、炎上リスクが高いです。
Z世代の悪いところが如実に出ている、と言っても過言ではありません。
平和の祭典であるオリンピックに、暴言や不適切発言が飛び交うというのはあってはならないところであり、コンプラ、マナーの啓蒙が引き続き必要であると感じます。
5 最後に
いろいろ述べましたが、eスポーツが国際大会として採用されることは大きなビジネスチャンスが見込まれます。課題を少しでも解決し、成功させていただきたいと願います。