学びを隠す日本人 リスキリングが進まないワケ

リスキリングブームと言われ、政府も後押ししているにも関わらず、リスキリング施策は「笛吹けども踊らず」となってしまっています。

パーソル総合研究所の「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」では、読書を含む社外学習を「何も行っていない人」の割合が世界平均18.0%に対し、日本は52.6%とダントツの1位との結果が出ています。

そもそも自主的に学ぶ慣習がありませんので、eラーニングや手挙げ式の施策は効果が薄いのです。

そこで注目されているのが「コミュニティ・ラーニング」。具体的には、社内大学や社内勉強会コミュニティなど。

社内の学びを共有、蓄積することで、モチベーションの火を横に広げていく「炭火型」の取り組みが注目されています。僕も、学習コミュニティを運営している身として、学びとコミュニティの相性はバッチリで、この方向性には大いに賛同します。

しかし、パーソル総合研究所が実施した「学び合う組織に関する定量調査」では、そこに水を差すような実態がレポートされていました。

自身の学習行動を同僚や上司に共有する割合は?
・同僚に対して言わない 56.2%
・上司に対しても言わない 57.0%

6割近くが周囲に共有しないとの結果でした。これでは、炭火型は達成されません。

なぜ隠すのか?「学びを周りに共有したときに周囲はどんな反応を示すか」という質問の上位は以下のような回答でした。

・反応が薄そうだ 20.0%
・興味を全く持たれなさそうだ 16.3%
・仕事が暇だと思われそうだ 15.6%
・自慢だと思われそうだ 15.2%
・関連する仕事を追加で任されそうだ 14.9%
・学習レベルが低いと思われそうだ 14.8%
・転職や異動を考えていると思われそうだ 14.5%
・仕事の時間の方を優先すべきと思われそうだ 14.0%
・仕事より趣味を優先していると思われそうだ 13.4%
・成果や業績を出すことを優先するべきだと思われそうだ 13.2%

これでは共有しようという気になりませんよね…。

僕がサラリーマンのときの周りの反応は、まさに「無関心」でした。

また、コミュニティ「ノンプロ研」のみなさんの中には「自分に仕事が集まってしまう」という悩みを抱える方も少なくありません。それで、あまりにむ報われないと自分だけでコソコソスキルを発揮する「隠れキリシタン」状態になることもよくあります。

企業がリスキリングを推進しない理由で「従業員が辞めてしまう」というのもよく見かけますね…。

「コソ勉」の促進要因としては、これら以外にも学びは一人で行うものだという「独学バイアス」もあるとのことでした。

現場に配属された後、OJTで一定まではキャッチアップするわけですが、それ以上の学びは「裏切り」「暇人」となってしまう。

企業としては、社内のルールや慣習、マネージャーたちの言動が、学びをストップさせるようなものがないか、隅々まで観察する必要があります。おそらくたくさんの欠陥が見つかるはずで、それらを変えていかないといけません。

個人としては、社外にも目を向けてリスキリングを進めるというのもありです。副業や外部のコミュニティで学びを得、スキルを活かすことで、職場と一緒に学びをストップせずに済みます。ちゃんと会社にプレッシャーをかけつつ、したたかにいきましょう。

耳から聴きたい方はこちら!

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こちらの記事から紹介させていただきました。


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