Chatworkが社名変更した理由とBPaaSという選択肢
国産ビジネスチャットサービスで有名なChatworkが7/1に株式会社Kubellに社名変更しました。
今回は、Kubellという社名に込められた意味と、社名変更に大きく関わってくる「BPaaS」というサービスについて紹介します。
Kubellという社名ですが、ひとつは「薪をくべる」という意味から来ているそうです。
また別の意味もあり、「k」は「work」、「u」は「you」、「bell」は「be well」という組み合わせで、「働く皆さんが、元気で良くなるように」という想いが込められているそうです。
ビジネスチャットサービスChatworkは、2011年リリースから約13年、登録ID数は660万、導入社数は43万社を超えるほどの人気のサービスとなりました。
しかし、今回社名変更に踏み切ったのは、「Chatwork = ビジネスチャット」というイメージが強すぎるからとのこと。
というのも、2026年までの中期経営計画では、中小企業向けのBPaaSを強化し、「中小企業No.1 BPaaSカンパニー」を目指すと伝えられています。
BPaaSを成長の柱とするときに、それも含めてアピールできるように社名変更したのだそうです。
では、BPaaSとは何でしょうか?
BPaaSとは「Business Process as a Service」の略称で、BPOとSaaSを掛け合わせたようなビジネスモデルです。
日本において認知度がさほど高いとは言えませんが、伸び代のある領域として世界的に注目されています。
BPO(Business Process Outsourcing)は特定の業務プロセスを外部企業にアウトソーシングするというもの。
しかし、これまでのBPOはどちらかというとアウトソーシング先は人力で業務プロセスをこなすイメージでした。
一方で、SaaS(Software as a Service)はクラウド経由でソフトウェア利用できるサービス形態です。
BPaaSでは、業務プロセスを請け負う前に、SaaSを積極導入してプロセスを変更・改善します。その後、その業務自体を請け負います。
SaaS利用の業務プロセスに変更することにより、人的コストが低減され、結果的に提供価格を抑えることができる。したがって、これまでBPOを頼みたくても手が出せなかった中小企業も取り込めるというものです。
ちょうど、Chatworkのユーザーは中小企業が中心です。
中小企業のは人員が不足しており、ITに詳しい社員も少ないため、いくら安くて高品質なSaaSが揃っていたとしても十分に使いこなすことができないという点に目をつけました。
Chatworkは見込み顧客を43万社保有しており、チャットというコミュニケーションの場も整っている。BPaaSを推進する上で非常に有利なポジションにあります。
BPaaSは中小企業にとってメリットも大きいですが、デメリットもあります。2点紹介します。
①セキュリティリスクの上昇
企業の重要なデータや機密情報がBPaaS事業者に渡ることになります。その際に、セキュリティに気を使うなら、どのSaaSを使うのか、どういうプロセスになるのか何も知らないというわけにはいきません。
しかし、そこをちゃんと知ろうとすればするほど、自社で知識が必要になり、BPaaSの良さがスポイルされてしまうというジレンマがあります。
②ロックイン状態
特定の業務プロセスが外部の企業に依存したまま動かせなくなることを「ロックイン」といいます。
BPaaSの取り組みが一度走り始めると、業者、ツール、プロセスの切り替えや変更が難しくなってしまうリスクがあります。
クライアントにとってベストであり続ければいいのですが、BPaaSの業者の善意次第となってしまいがちです。
BPaaSではありませんが、ITを苦手とする税理士にロックインされて変更できずに困っている中小企業は何社も見かけたことがあります。
さて、個人的にはITに詳しい社員がいないから…という理由で、短絡的にBPaaSの利用を優先するのは慎重にしたほうがよいと思っています。
自社がよりよい価値を提供するためには?顧客の課題を解決するには?それを考えた場合、IT、デジタル、AIの可能性は大いに拡大中であり、大いに武器になりえます。
ノンコアだったとしても、「ITでどう解決するか?」に取り組む機会と経験を他社に渡してしまうのはもったいないと感じます。
逆にITにめっちゃ詳しすぎて、結果的にBPaaSのほうがいいじゃんとなるならどんどん活用してよいかと思います。
ということで、今後のBPaaS市場と中小企業がどうなっていくのか、見守っていきたいところですね。
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