成果を出せていなかった研修はどのように生まれ変わったか
弊社プランノーツでは、2017年頃から新規事業として企業向けのプログラミング研修の事業をスタートしました。
しかし、当初のお客様には申し訳ないことに、うまく良い成果を残せていなかったことも…
学習コミュニティ「ノンプロ研」の講座はそこから改善を重ねに重ねてできあがっているのですが、そのプロセスを今日はお伝えしたいと思います。
最初のお客様はあるそこそこ有名な企業でした。部長さんが、僕の最初の書籍「Excel VBAを実務で使い倒す技術」に感銘うけてくださったらしく、VBAの研修をご依頼くださいました。
6人の受講生のみなさんは、ややこしいExcel仕事をお持ちで、それを自動化したいとのこと。
毎週開催の8回コースでしたが、みなさん熱心に参加してくださって、成果を上げられていらっしゃいました。
ただ、うちお一人が、最後の講義で「あれ?全部わからない」「すべて忘れてしまった」とおっしゃってました。
毎回では理解して、できた感覚があったとしても、人間は忘れる生き物。習慣的に学習機会を確保して、繰り返し復習しないといけなかったのです。実際、その方は宿題をやってませんでした。
以降、チャットまたはメールを使って宿題をチェックするステップを取り入れることにしました。
また、最初の1回目のガイダンスの講義を、事前課題に切り替えました。事前課題の機会は、自分で時間を確保して、学習習慣をつくるステップとして活用するためのものです。
ありがたいことに、別の支店でも開催したいとご依頼を受けました。
しかし、そちらではなんと30人ほどの方が参加することに。前回の6名の方と同様の内容でさらに改善もしてあるはずなのに、残念ながら完走できたのは数名程度。
講義をお休みする方、宿題をやらない方、講義中に居眠りをしていることも…
なぜここまでうまくいかなくなってしまったのか?
参加人数が増えたことによって「社会的怠惰」が起きてしまったのではと考えました。人数が増えるほど、ひとりあたりの成果が下がってしまうというものです。
企業としては、同じ金額ならば、なるべく多くの希望社員に参加させたいと思うもの。しかし、みなさんの人的リソースもかかっていることを考えると、むしろ人数を絞ったほうが良いのです。
今では、最適なチームの人数は「2枚のピザ理論」にならって8人くらいまでとさせてもらってます。
次の会社は、Excel VBA→Pythonと連続して同じメンバーに提供するというパターンでした。
ものすごい優秀なチームができあがり、みなさん両方の言語をバリバリ実務に活用できるようになりました。
成功のポイントは2つあります。
ひとつは研修の窓口担当だった方が、ご自身ですでにかなり習得されている方で、初心者であるみなさんのサポート役に回っていたことです。
講師とは別に、近い位置に、気軽に相談しやすい人がいる。これはノンプロ研講座の講師のサポート役、TA(ティーチング・アシスタント)のアイデアにつながりました。
役割が異なるTAがいることで、場が1対Nではなく、N対Nの関係性になり、知識の行き来が活発になりやすいのです。
もう一つは、実務で使いたい願望が強かったこと。みなさん、スクレイピングというWebから情報をかき集めてくる業務が大量にありました。とくにPythonは、スクレイピングをとても得意としている言語。目に見える効果が大きいと、学習効果もモチベーションも上がります。
その後もたくさんの企業に研修を提供しました。
もっとも重要な成功のポイントはどこですか?と聞かれるなら「事前PR」と答えます。
先ほどの人数を絞ることに関連して、明確な目的がある方、習慣的に学習時間をとれる方だけに参加してほしいのですが、先方の事前PRがしっかりしていないと、そうではない方が紛れ込むこともあります。
学びの場というのは、講師だけでなく受講生も含めて、すべての参加者が相互に影響をし合います。
宿題をやってこない、授業に参加しない、そういういまいちな人の比率が増えると、そこに引きづられて、他の人のパフォーマンスも下げてしまうのです。
事前PRの成功のためにもうひとつ考えたアイデアが「卒業ライトニングトーク」です。最後の講義に、受講生に学びの成果を発表してもらう機会を設けるのです。
発表をすること前提に受講するので、学習により一層身が入ります。何よりも、「最後に発表があるよ」と事前に伝えることで、それがいやな人、自信がない人は参加しなくなるのです。
このような改善のループを繰り返してできあがったのが、ノンプロ研の各種講座です。今では、8割以上の方が完走できるように改善されました。ぜひ、みなさんに体験していただきたいと思います。
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