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意匠の類否判断を考える #1

様々な意匠と審決を見て、類否判断を考えるシリーズ。今回は、スポーツカー、レギンス、内装です。


スポーツカーのルーフの意匠

ルーフ(本件意匠と引用意匠)は似ていると思いますか?答えは似ていない(非類似)と審決されました。

本件意匠
引用意匠

微妙な案件ですが、「(スポーツカーにおけるルーフ部のどの範囲に、どのような幅や断面形状の畝上膨出部を設けるかという点について)前後方向の設置範囲が短く、比較的細幅の等幅に形成している本願部分は、滑らかな円弧状断面の膨出部形状と丸面状の端部処理とも相まって、静的かつ柔和な視覚的印象を需要者に与えるのに対して、前後方向の設置範囲がルーフ部の全体に亘り、比較的太幅かつテーパ状に形成している引用部分は、扁平台形状断面の膨出部形状と角張った折り曲げ状の端部処理とも相まって、動的かつ剛強な視覚的印象を需要者に与えるものとなっており、これらは、需要者に対して与える視覚的印象を大きく異ならしめるものとなっている。」として非類似と判断されました。
https://isho.shinketsu.jp/originaltext/ds/1410282.html


レギンスの意匠

下記の左のレギンス(本件意匠)と、右のレギンス(引用意匠)は似ていると思いますか?答えは似ている(類似)と審決されました。


本件意匠


引用意匠

「(共通点3)から(共通点10)各部に施した模様等について、両意匠は、正背面及び左右側面において形成したひし形模様、略横長細帯模様、略隅丸矩形模様、全体を上下左右に分ける分割線等の態様において悉く一致し、とりわけ(共通点3)、(共通点4)、(共通点5)及び(共通点6)における各模様は、意匠全体のなかで大きく目立つものであることに加え、これらの模様が直接身体を加圧し引き締める作用効果をもたらすものであることを考慮すると、需要者の注意を強く引くものといえるから、これらの共通点が相まって、両意匠の類比判断に与える影響は極めて大きい。」として類似と判断されました。

(共通点3)側面の上端寄りに、略横長4重同心ひし形模様を横いっぱいに形成している点。
(共通点4)大腿部のうち、股下よりやや下がった位置から膝上まで、正背面から側面の真ん中付近にかけて、略扁平V字状に屈曲した略横長帯状模様を縦に5本ずつ等間隔に形成している点。
(共通点5)下腿部のうち、膝下から足上まで、正背面から側面の真ん中付近にかけて、略V字状に屈曲した略横長細帯模様を縦に5本ずつ等間隔に形成している点。
(共通点6)臀部に略隅丸矩形模様を形成している点。


内装の意匠

下記の左の内装デザイン(本件意匠)と、右の内装デザイン(引用意匠)は似ていると思いますか?答えは似ていない(非類似)と審決されました。


本件意匠


引用意匠

この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、床の真ん中附近に天板を略横長長方形の板としたテーブルを配置し、そのテーブルを挟んで手前側に長椅子を1脚と奥側に1人掛け椅子を複数配置したものが、本願の出願前から公然知られているものである(意匠3)。また、当該内装を構成する物品の分野において、テーブルの天板、1人掛け椅子及び長椅子の座板を薄板とし、長椅子をテーブルの横幅より短いものとしたものも、例を挙げるまでもなくごく普通に見られるものである。さらに、オフィス用家具の分野において、会議用テーブルの天板及び椅子の座板を床から高い位置に配置したものも、本願の出願前から公然知られているものである。

しかしながら、本願部分のように、1人掛け椅子の座板を上辺と斜辺が略逆U字状をなす略角丸台形状としたものや、長椅子の座板を略横長角丸長方形の左右端を緩やかな凸弧状に形成し、周側面の真ん中より下を斜めに面取りしたものは、引用意匠には見られないものであるから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。


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