【サッカー考察論⑥】モルフォサイクルから学ぶ休むことの重要性⑵
皆さんこんにちは。西田です。
この記事は「【サッカー考察論⑥】モルフォサイクルから学ぶ休むことの重要性⑴」の続きになってますので、まずそちらの記事を読んでから、こちらの記事も一緒に読んでいただきたいと思っています!
【モルフォサイクルから分かること】
⑴で見てきたようにモルフォサイクルは、その週で行われるトレーニングセッションが構築にあたり、各曜日で意識する筋収縮、セッション時間、休憩時間、ピッチの大きさなどの細かいオーガナイズになるまで、非常に細かく設定されていることがよく分かります。
では、なぜここまで綿密に毎回のトレーニングが決められているかというと、それは、選手全員が次の試合で高パフォーマンスが発揮できるような状態をトレーニングによって持っていかなければならないからです。
そのため、週のトレーニングセッションの内容を見てみると、試合後から1日目、2日目、そして次の試合の2日前と1日前は、「選手の身体的・精神的疲労の回復」を重視したトレーニングになっています。
つまり1週間うちのほとんどのトレーニングをこのような選手のコンディションを整えるために費やしていることがよく分かります。
【選手の疲労を軽視してはいけない。】
世界的監督が用いている1週間のトレーニングサイクルのほとんどは、負荷の高いトレーニングよりも、選手の疲労を回復させ、コンディションを整える日の方が圧倒的に多いという事実は、これから述べる私が選手として経験してきたトレーニングが正しくなかったという事を証明する何よりの証拠になると思います。
ではここからは私が選手時代にやっていたトレーニングが一体どのようなものだったかを説明していきたいと思います。
月曜日ー金曜日 2時間以上のトレーニング。
オフは不定期だが、基本的には無し。
雨天の日は、試合前後関係なく外周。
土日ー試合、練習試合
このように、負荷や選手の疲労は考慮がされず、また筋収縮やトレーニングのオーガナイズというものは存在しない、トレーニングの目的もはっきりしないような内容のトレーニングを毎日のようにやっていました。
これが私が選手時代やっていた1週間のざっとしたトレーニング内容です。
皆さんはモルフォサイクルと比べたときにどのような印象を受けますか?
そして、このトレーニングで生まれた疲労を大量の炭水化物とタンパク質によって無理やり回復させていた私は、練習は試合途中で疲労を感じたり、パフォーマンスが上がらない理由が分からぬまま、これは「トレーニング不足」や「食事不足」が原因と考えてしまっていました。
つまり「疲労回復」に対する正しいやり方を監督、選手ともに何も知らないまま間違ったやり方をしていたという事になります。
もちろん食事やトレーニング強度はパフォーマンスを上げるために必要な要素ですが、大前提としてトレーニングや試合で蓄積した疲労を回復するのは適切なリカバリーと休養であるということを知っておかなければなりません。
下の写真は、私がスペインのサッカー指導者学校に通っていたときに、教授が授業で使っていた資料です。↓
この4つのグラフは、期間と選手のパフォーマンスレベルの関係を表したグラフになっています。
教授はこのグラフ中で、正しい選手のパフォーマンスの上げ方は左上のグラフの形を目指すべきであると説明していました。
※プレシーズンで目指すべきグラフは右下。
つまり、左上のグラフは、トレーニングで蓄積した疲労によって下がったパフォーマンスを適切な負荷のトレーニングと休養によって超回復することで、以前のPLよりも向上させるというサイクルを表しています。
このグラフの形がシーズン中に目指すもので、モルフォサイクルでも同じことが言えます。
一方、私が選手時代にやっていたようなトレーニングを続けていると、過負荷と不十分な疲労回復により、トレーニング効果は得られず、パフォーマンスが下がり続けるこのようなグラフになってしまうのです。
疲労の蓄積はパフォーマンスの低下に直結します。
未だに私の選手時代のようなトレーニングをしている指導者は、選手が試合で良いパフォーマンスを発揮するためには、「きつい練習をして体を強くする」ではなく、「適切な負荷と選手の疲労を考慮したトレーニングを行う」という考えに改める必要があるかもしれません。
【まとめ】
⑴の前回の記事と今回の2回に分けて書いてきた今回の内容ですが、モルフォサイクルを用いているモウリーニョのみならず、選手の疲労とパフォーマンスレベルを考慮したレーニングサイクルの構築は、既に多くの監督が行っていることですし、世界ではスタンダードになっています。
そのくらいに休養とリカバリーによる疲労回復は大切ですし、サッカーは身体的にも、精神的にも大変多くのエネルギーを要するスポーツであるということを理解しなければなりません。
サッカーのみならず普段働いている人でも、きちんとした睡眠と休養を取らずに働き続けていれば、いずれ必ず体を壊してしまいます。
疲れたらしっかりその分休む。当たり前のことですが、サッカーになると案外そに部分を疎かにしてしまうことがあるのが怖いところです。
そのような事を防ぐためにも、そして適切なトレーニングサイクルを構築するためにも私たち指導者はしっかりとそのような知識を身につけ、選手らがトレーニング効果をしっかり獲得し、毎試合高パフォーマンスが発揮できるようにすることが重要な事だと私は思っています。
⑴、⑵と最後まで読んで頂きありがとうございました!
また次回の記事でお会いしましょう!
Hasta luego!
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