見出し画像

【バルセロナ指導者留学経験談④】バルセロナの選手から気づいた日本人選手との違いで最も驚いた二つのこと。


皆さんこんにちは。西田です。


今回は、私がバルセロナで関わった2つのチームから感じた、同世代の日本人選手との違いで最も驚いた2つのことについて書いて見たいと思います。
是非最後まで読んで頂けると嬉しいです!

前回はこんなことについて書かせてもらいました。こちらの記事もまだ読まれていない方は覗きに行ってみてください!



【1つ目:フィジカルメニューに対する考え方】


まず1つ目ですが、これは関わらせてもらったAlevínE,JuvenilBどちらの選手たちにも共通して見られたことです。

それは、彼らは日本人選手に比べて圧倒的にフィジカル面、特にコーディネーション能力や体幹などの能力が劣っており、かつ、そのようなフィジカルトレーニングがあまり好きではないということです。

この点については所属するクラブや、その選手の意識レベルにもよると思うので、バルセロナの全選手がそうであるといっている訳ではありません。(もし所属するチームがFCBarcelonaのようなチームであれば、誰だって試合に出るため、プロになるためにキツいメニューでも全力でやるはずですし。。。)

ですが、私が関わったF.F BadalonaのJuvenilBの選手たちは残念ながら、その違いを感じるような選手たちでした。しかし、これは断じてフィジカルコーチの責任ではないと思っています。
JuvenilBでは、当時25歳のポーランド人がフィジカルコーチを務めており、彼によって、毎回フィジカルメニューやウォーミングアップが最初のトレーニングとして行われていたのですが、彼は今まで会ってきたフィジカルコーチと比べものにならないほど、優秀なフィジカルコーチであったと思っています。なぜなら、彼はしっかり指導者のライセンスも持っているうえで、バルセロナの大学院でトレーニング論やフィジカル系のことを学んでいたなど、知識量が半端じゃなく、人間性に関しても非常に真面目で、しかもスペイン語もペラペラという、私と少ししか歳が違うことが信じられないほど、能力を兼ね備えた方だったからです。

画像1

※右がそのフィジカルコーチであるKrystian

彼の考えるメニューは、選手のその日の疲労度、次の試合まで残り何日か、鍛えるべき筋肉はどこか、今この選手たちに必要な能力は何なのかなど、数多くの考慮すべき点をしっかりと補うことができているメニューであったので、本当に勉強になることばかりでした。

なので、彼も選手たちがなかなか正しい姿勢や、正しい強度でメニューをこなせていなかったり、集中力なくやっている選手に対して、よく悩んでいたのを覚えています。私も選手たちが適当にやっていたり、出来ていないなと感じることがあったので、選手たちは非常にもったいないことをしていたなと思います。

このような原因は、彼らのサッカーをもっと上手くなりたい、プロを本気で目指したいと思っている選手が少なく、このようなメニューに対してモチベーションが低いという点がひとつ、そして、何よりもフィジカルメニューの重要性を理解していないことが原因に挙げられると思います。

1つ目の理由はクラブのレベルや現実主義な彼らのメンタル的問題もあると思いますが、2つ目の原因に関しては、おそらく今までの指導者にそのような重要性を教えてもらうことがなかったのではないかと思います。


一方、同世代の日本人の選手に関してはどうでしょうか?


私は、日本人の選手はこのようなキツいメニューでも、仲間同士で励ましあったり、自分のためにと思える文化やメンタルが日々の練習のなかで養うことができると思っているので、比較的しっかりと行うことができると思っています。
また、日本ではスポーツが好きな子供は特に、小さい時から様々な運動をしたり、友達と外で遊ぶ生活習慣が確立されているため、フィジカルメニューやコーディネーショントレーニングにおいても、正しい動きができる選手が多くいる理由だと思います。

そして、フィジカルメニューなどは、その重要性を選手に理解させて行わせることが一番大切なことなのではと思っています。
しかし指導するチームに、必ずしも彼のような優秀なフィジカルコーチがいてくれるとは限らないので、私たち指導者も、そのような知識を学び、重要性を理解しておくことが必要なのではないでしょうか?



【2つ目:試合後、練習後の違い】

私が感じた2つ目の違いは、普段の練習後や、リーグ戦後にありました。

それは、バルセロナ選手は練習も試合も終わったらすぐに帰ると言う点です。
事実、バルセロナのほとんどの選手やチームでは、練習後に自主練を行っていたり、試合に勝ったり、負けてたりしたときに遅くまで指導者の話を聞いていたり、ミーティングをするような光景はシーズンの中で見かけたことはほぼありませんでした。選手も指導者も練習が終わったり、試合が終わったらすんなりと帰ってしまうのです。

一方日本では、バルセロナとは全くの逆で、練習後に多くの選手が自主練をしていたり、試合が終わっても、長々とチームのミーティングや、監督が試合についてあーだこーだ語るなどをしている選手やチームが数多く存在しているのではないでしょうか?

実際、私も選手時代はよく自主練をしていまし、試合後には監督の話を聞いてからじゃないと帰れないのが普通だとも思っていました。

指導者によってここらへんの意見は分かれるとは思います。ちなみに私は自主練を夢中でしていた選手だったにも関わらず、現在はあまり自主練をすることに賛成をしていません。

この自主練に関して、指導者やサッカー選手なら誰もが知っている世界的な監督ペップ・グラウディオラが興味深いことを言っていたので紹介したいと思います。

「私は練習後の自主練習を認めていない。なぜならそれは練習メニューを全力でこなしていないという証拠であるし、私たちは常に疲労度や、負荷を考えて練習メニューを考えているんだ。だから、選手には私たちが早く出来ない疲労を蓄積して欲しくないし、練習に全力でぶつかって欲しいと思っている。」


確かに、自主練習は自分のやりたいメニューをすることができるし、他の選手と差をつけられるかもしれません。しかし当たり前ですが、その分人よりも疲労は蓄積するし、その自主練で怪我をするリスクもあるわけです。


また、この試合後に関しても私はバルセロナのやり方に賛成しています。

これはバルセロナで通っていた指導者学校でも習ったことなのですが、試合後というのは、選手も監督も興奮していたり、イライラしていたり、落ち込んでいたりなど冷静な状態でいられないことが多く、また、選手の疲労も溜まっているため、その疲労を少しでも早く回復させるための行動がとても大切な時でもあります。ですから、そんな状態で長々と試合について話したとしても選手やチームにもたらすものは少ないと考えられます。

それならば、試合後はすぐに帰宅し、疲労回復に努めつつ、冷静に試合のことを振り返ったりする方がよっぽど次の練習の時のチームの雰囲気や練習効率は良くなると思います。

もちろん試合の分析をしたり、ミーティングをすることは重要なので、私のチームでは、選手、コーチ人ともに身体的・心理的にしっかり回復した状態の週明け最初の練習の時に、週末の試合について話すことをしていました。



【まとめ】

いかがだったでしょうか?私が感じたこの二つの違いは、おそらく今日本で指導されている方なら同じように違うなと感じるのではないかと思いますが、特にバルセロナの試合後の過ごし方などは参考にできるものがあるのではないでしょうか?

サッカーとの向き合い方、文化的な違い、考え方、そして国が違えば、それが行うサッカーにも違いが出てくるのは当然のことです。
その中で面白いと思ったことや、やり方、考え方は、どんどん吸収して、自分の成長に繋げたいと思っています。

私はこのバルセロナの留学で、このような違いや、新しく学んだこと、自分の知らなかったことがたくさんありました。
なので、このバルセロナで得たものを少しずつこのようにアウトプットしていき、自分の考えの整理と、読者の興味を引くものを書いていきたいと思っています!



今回はこの辺りで!また次回の記事でお会いしましょう!

Hasta luego!


いいなと思ったら応援しよう!