【転職サービスのCMにおけるメッセージ】#31
今回、近年見かける回数も多くなった「転職サービスのCM」について投稿します。様々なメッセージ性がありますが総じて言いたいことは以下の4点です。
①採用戦略=経営戦略
②大手企業も採用に苦戦、新卒採用だけではなく中途採用へ注力
③転職はネガティブなものではなくポジティブなものに
④求職者に対して”生き方”を問うている
ビズリーチの新テレビCM「社長の本気篇」
![](https://assets.st-note.com/img/1728190306-NR4mcha3FXWkYe5MQvq768sP.png?width=1200)
■本CMの内容
・即戦力人材の採用を強化している大手企業の社長が自ら出演し、即戦力人材に向けて直接呼びかけている内容
■本CMの制作背景
・キャリア採用における優秀な人材の採用難易度が年々あがっている
・人事だけではなく経営層にも関わる課題がある
・2024年の企業の採用計画に占めるキャリア採用は過去最高の43%
・新卒採用に重きを置いていた日系大手企業ですらキャリア採用を強化
・採用難易度が上がっている中で重要なのが「企業トップの本気度」
■本CMのメッセージ
・コンセプトは「『採用戦略』は『経営戦略』に。」
・自社のCMに他社の社長が出演するのは異例のクリエイティブ
・受けてに伝わりやすいワンフレーズで採用メッセージを作成
・社長自らが全面に立つことで、本気度・信頼性・誠実な印象を与える
人情報関連CMの放送回数は15年前の25倍
2022年度(同年4月度〜2023年3月度)に、放送されたCM(東京キー5局集計)のうち求人情報関連CMは、46企業から計5万7961回に。15年前の2008年度には2335回にすぎなかったから、ざっと25倍に膨れ上がった。
(出所)CM総合研究所
中でもスカウト型やエージェント型など、ハイクラス転職をうたった求人サービスの放送回数がコロナ禍明け以降激増している。放送回数は以下のとおり。2018年度2337回、2019年度2948回、2020年度1704回、2021年度1万2946回、2022年度2万3516回。
働き方決める主権は企業側から働く個人に
CM総研のデータによると、ハイクラス転職市場で「スカウト」というフレーズを2020年度にCMで使ったのが「ビズリーチ」。以後、「スカウト」「ハイクラス」「ハイキャリア」などとうたった求人CMが増えた。
これらのフレーズを使ったものでは、2021年度に「ビズリーチ」のほかパーソルキャリア「デューダX」、リクルート「リクルートダイレクトスカウト」、医療関連の求人をターゲットとするメドレー「ジョブメドレー」の4ブランドで計6371回放送された。
2022年度はさらにIndeed Japan「Indeed」、若手ハイクラス転職サービスを展開するエン・ジャパンの「アンビ」なども加わり9ブランド計1万4531回が放送された。
人材企業各社の広告戦略
![](https://assets.st-note.com/img/1728192116-W8JYUj5g4XhIHNA2GS1wF0Qn.png)
ハイクラス転職のCM出稿時間帯を見ると、ビジネスパーソンの在宅時間を狙った20時以降が目立つ。20時台2597回、21時台2421回、22時台2399回、23時台3511回。いずれの時間帯も前年の約2倍に増えている。24時以降の深夜帯となると3000〜5000回とさらに増えている。
リクルートの「リクルートダイレクト」は19時〜22時台のAタイムを狙った出稿が多い。就寝前の隙間時間である深夜帯に多くオンエアするなど、各社の広告戦略の違いがある。
転職をポジティブにとらえる傾向も
「終身雇用が当たり前ではなくなりつつある中で、自分のキャリアを見つめなおす機会が増えている。6月に公表した、『転職に関する5カ国比較調査』で、日本は他国(アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国)と比べ、転職動機で、現状の職場に不満という回答が目立った。
しかし今後は転職をポジティブにとらえるデータもあり、今変わり目にいると感じている。日本人が転職に期待することは給与に次いで、『やりがいを感じたい』が2位になるなど前向きな回答が上位を占めた。人々の仕事に対する価値観やライフスタイルが多様化する中、新たな仕事や働き方、人生を見つけるために転職を選択する人も増えるだろう」
以前よりも転職する人が増えておりキャリア採用が活発化していますが、採用難易度も高まっています。
企業は採用手法の再検討や自社魅力の訴求を、求職者は企業に求められるようなスキルを身に着けることが重要です。