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自分のAIエージェントで時間を超越する

エージェント(=Agent)を直訳すると「代理人」であり、ここでは人の振る舞いを代理する存在として、計算機上で再現された特定の人のコピーを指します。このエージェントはコピー元の人と同じ考え持ち、振る舞いをします。

ChatGPTと会話するときのおまじないとして、キャラ付け用のプロンプトを文頭に置く人は多いと思います。例えば、深津式プロンプト・システムでいうところの「あなたは、プロの編集者です」の部分です。

出典:https://youtu.be/ReoJcerYtuI

AIは回答の内容や文体までキャラに寄せて柔軟に対応することができます。インプットによって様々なキャラを演じ分けることができるのであれば、データが十分にあれば特定の個人を模することも不可能ではないのでは?と思ったのがAIエージェントについて考えるきっかけでした。

エージェントによって時間を超越する

計算機上で自分をエミュレートすることができるようになると何が嬉しいのでしょうか。

エージェントは人が指示をしなくても自分で考えて行動できます。そこに現実世界の制約条件を与えることで、現実に起こりうる振る舞いを計算機上でシミュレーションできます。これを恋愛に例えると、自分と相性の合う人を見つけるためにマッチングアプリで何人もの人とメッセージのやり取りをする必要がなくなり、エージェント同士のコミュニケーションによってある程度フィーリングの合う人を選ぶことができるということです。

しかもこれらは全て計算機上で行われているので、実際に会ったりメッセージを入力する物理的なアクションは発生しません。そのため、複数の人と高速にメッセージのやり取りを行い、デートに行った後に相性が良かったor悪かったの結果を数秒で受け取ることができます。

この状況はまるでエージェントを精神と時の部屋に閉じ込めて時間を超越しているような感覚です。物理的な制約を必要としないエージェント同士のやりとりによって、現実世界では何日もかかるようなことを数秒単位に圧縮します。

未来の不確実性を軽減する

計算機上のシミュレーションはもちろん現実世界に結果をフィードバックするために行います。

つまり、デートに行った結果の相性の良し悪しをもとに、現実世界で食事に行くのかを判断します。実際に会うのは初めてであっても、すでにエージェントがデートに行ってくれているので、相性はそこまで悪くないだろうと期待できます。

今回は恋愛マッチングを例に話していますが、シミュレーション結果のフィードバックはあらゆることに応用可能だと考えています。特に未知の領域での新しいチャレンジなど、これまでの試行回数が少なく、行動するまでどう結果が転ぶかわからない不確実性の高いことへの効果は絶大です。

たとえシミュレーション結果が悪いものであっても、なぜその結果になったのかが分かれば同じ轍を踏まずに済みます。また、特定の条件においてのみ悪い結果が得られた可能性もあるため、別の条件に変えたときに結果がどう変わるかを素早く検証できるのもエージェントならではの体験だと思います。

どうやってエージェントを作るか

そんな便利なエージェントですが、どのように実現するのでしょうか。私自身が領域の専門家ではないので素人意見になってしまいますが、いくつか可能性を考えてみました。

複数のモデルの組み合わせ

同じ人でも仕事の時とプライベートでは振る舞い方を変えるように、その人を構成する要素は複雑に絡み合ってるのだと想定できます。なのでChatGPTなどの大きな1つのモデルをチューニングするのではなく、人の持つ性格や特性ごとに小さなモデルを複数作ってそれらが相互にやりとりすることで、全体の集合体として一人の人を再現するアプローチです。

それぞれの小さなモデルを特性に応じて個別にチューニングし、エージェントに問い合わせが来た時はその内容に一番詳しいモデルが選択されて回答します。小さなモデル選択をするモデルなんかも必要になり混乱しそうですが、それぞれのモデルをチューニングするために必要なデータ量はある程度は抑えられると思います。

これから人のAIエージェントを作ることを考えるならば、この個別にチューニングされた小さなモデルを作るのがベターなのかなと思っています。1つのモデルで人を再現しようとしたら莫大なインプットデータを集めるための資金が必要になるので。

そして、企業や個人によって別個に作られたそれらの小さなモデルを相互接続できるようになったら面白いですね。

(ここで言う小さなモデルはそれぞれがAutonomous Agentとして自律してやりとりするエージェントを想定してます。)

心理テストでモデルを構築

複数の側面を持つ人間性を定量的に評価できる形で実現しているものをナイーブに考えた時に、心理テストは身近で分かりやすいなと思います。

人の性格や内面的な考えを炙り出すためによく使われますが、某マッチングアプリでも最初に心理テストを行い、その結果に基づいて相手がレコメンドされます。16personalitiesをはじめとして様々なテストが存在し、科学的にも研究されているのだと思います。

これらの心理テストをChatGPTが質問し人が回答してすることで、その結果回答者の振る舞いにチューニングされAIエージェントが作成されるイメージです。

ただ、16personalitiesが16種類のタイプに分類することゴールにしているように、特定の個人に完全にチューニングすることは難しいのかなという印象です。

脳をそのままエクスポート

脳に直接基盤を埋め込んで、電脳化できれば手っ取り早そうですね。(小並感)

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