Pythonで作るGUI付き翻訳支援アプリの作成 Part6:DeepL API Freeの利用登録
DeepL API Freeの登録
DeepLは、ブラウザベースの翻訳ツール(5000文字/回の制限あり)に加えてWeb APIを提供しています。APIには有料プランと無料プランがありますが、今回は無料プランであるDeepL API Free(500000万文字/月まで無料)への登録方法を説明いたします。
アカウント登録
ブラウザでdeepl.comにアクセスいただき、タイトルバーのAPIをクリックして下さい(図1).
次のページでは、画面中央に無料で登録するボタンが表示されていると思いますので、そちらをクリックします(図2)
次の画面でも無料で登録するを選択して下さい(図3)
まずは、メールアドレスとパスワードを入力して、続行を押して下さい(図4)。
詳細情報入力画面に移りますので必要情報を入力下さい(図5)。DeepL API Freeでもクレジットカード情報が必要となります。これは、複数のアカウント作成して無料プランを大量に使用されるのを防ぐためのようです。
最後に確認画面となりますので、利用規約やAPI技術資料の内容に同意して無料で登録するを押して下さい(図6)。
アカウントが作成されると、図7の画面に移りますので認証キーを取得するをクリックして下さい。
次のページではアカウントタブをクリックし、アカウント情報の下までスクロールして下さい。DeepLAPIの認証キーの項がありますので、そちらを確認して下さい(図9)。
このAPI認証キーを使ってWebAPIへアクセスします。他人に使われるないようにしましょう。
以上で、DeepLAPI Freeへの登録は完了です。クレジットカード情報は必要ですが、審査等も必要ありませんので直ぐに使えるようになります。
DeepL API技術資料の確認
API技術資料に、APIの使い方が記載されています。図10はHello, world!を翻訳するためのリクエストになります。緑色で消している部分にご自身のAPIキーが入ります。この例は、英語ENから独語DEへの翻訳例になります。
EXAMPLE REQUESTのところに、必要なパラメータが記載されています。必須パラメータは、以下の3つのみです。翻訳元の言語は、DeepL側で自動的に判定してくれますので、任意となっています。
auth_key=’ご自身のAPIキー’
text=’翻訳したいテキスト(utf-8)’
target_lang = ‘翻訳したい言語‘
Webページには、用語集も登録出来るとありますがβ版であり日本語は対応していないようです(2021.11.15現在)。
またxmlのままでも以下のパラメータを指定するとタグを認識して翻訳してくれます。
tag_handling=’xml’
それ以外にもパラメータが準備されておりますので、詳細は技術資料を確認下さい(何故か英語しかないですが、、、、DeepLを使って訳しなさいという事でしょうか?)
DeepL API Freeの価値
DeepL は有料版であるAPI Proも提供しています。100万文字あたり2500円(税別)となっておりますが基本料金も630円/月 必要になります。API ProでFree版と同じ50万文字を使用すると税込で1880円/月が必要となります。
有料版のメリットの一つは用語集なのですが、日本語は現時点で対応しておりませんので大きなメリットを感受できません。
これ以外のメリットは、50万文字以上でも翻訳出来ることととデータセキュリティーになります。企業などで使用するのであれば、データセキュリティーは非常に重要ですが、個人で趣味等で使うのであればFreeで十分かと思います。
無料プランでどれぐらい翻訳出来るか?
API Freeでは、500000万文字翻訳することが出来ます。500000万文字と言われてもピンとこないと思いますので、以下に例をいくつか挙げます。
英語
Harry Potter and the Philosopher's Stone (ハリーポッターと賢者の石):364000文字
Who moved my cheese?(チーズはどこへ消えた?):13000文字
プログラミング関係の技術書(文字数多め)400ページ:500000文字
日本語
Word A4用紙(font 10.5):1440文字
原稿用紙:400文字
新聞朝刊 1日分(日経が一番文字数が多そうです):150000文字
ハリーポッターは相当分厚い本ですので、それを丸ごと無料プランで翻訳出来るとすればかなりの量を翻訳出来ることがイメージできるのではないでしょうか?日経新聞であれば、3日分ちょっとです。これでも、かなりのボリュームを翻訳出来ることがわかります。従って、趣味程度でちょっと翻訳するのであれば無料プランで全く問題ありません。
ただし、仕事でしっかり使いたいとなると500000文字では足りないかもしれません。ライトユーザーは、必要な部分だけを翻訳するという使い方だと思いますので無料プランでも問題ないでしょう。一方でヘビーユーザーは、使い方が全く違います。必要かどうか分からないけど、取り敢えず全部翻訳してみて、日本語で必要な部分をざっくりと抽出して、重要そうなところは原文も見ながら再度確認するという使い方をするかもしれません。スクレイピングで大量の情報を収集することもあるかもしれません。さらに、インプットだけではなくアウトプットも翻訳が必要になります。そうすると、無料プランでは全く足りなくなりますし、データセキュリティーの観点からも有料プランになりそうです。DeepL freeとProの比較だけでは、その価値はわからないと思いますので、次の項でお得なのかを調べてみました。
ところでDeepLは他と比べてお得か?
DeepL翻訳は世界一高精度な機械翻訳である事は間違いないと思います(2021年11月現在)。TOEICだと、どれくらいなのでしょうか?国立研究開発法人情報通信研究機構が開発した、企業向けクラウド翻訳サービスMirai TranserはTOEIC960点レベルと謳っていますので、それと同等以上だと思います。実際にどちらも使ってみましたが、精度はどちらもかなり高く、感動してしまうレベルです。でも、DeepLが一歩リードしている気がします。精度が同等以上であれば、次に気になるのは料金です。料金を比較してみましょう。
Mirai Transerは企業向けなので、かなり高いです。国内最大規模の産業翻訳サービス企業である翻訳センターのページに料金表が掲載されていました。基本料金が10000円/月で、さらに1ワード1円です。これは英語→日本語の場合です。英単語は、1ワード平均して4.7文字くらいですのでざっくり5文字で1円とすれば、1文字当たり0.2円です。
一方でDeepL API Proは1文字当たり0.0025円です。基本料金は650円/月だけです。文字数に応じて、どれだけの差が出るかを比較してみました(表1)。
DeepLが圧倒的に安いことがわかります。単価がそもそも1/80ですし、月額料金も圧倒的に安いです。ここまでの料金差があると、DeepLが日本でもシェアを伸ばしてきそうです。
ところで、プロの翻訳会社に頼むとどうなるか気になりませんか?一般社団法人日本翻訳連盟というものがあり、そのHPに翻訳料金の目安が掲載されています。英語→日本語の1ワードあたり(約5文字当たり)の単価は28円のようです。機械翻訳と比べると140倍です。文字数別の料金比較はやめておきます。精度は機械翻訳とは異なって担保されていると思いますので単純に比較できないからです(でも、プロの翻訳家も今時は機械翻訳や翻訳支援ツールCATをある程度使って効率化しています)。
結論は、DeepL API Proは圧倒的にお得であることが分かりました。DeepLをこれから使い倒していきたいと思います。
明日は、DeepL APIを使えるようにコーディングしていきます。
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