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30年目を迎える美容師の過去、現在、そして未来⑩
田舎から出てきて、且つ憧れの東京(埼玉)に来たこともあり、休みの日はおしゃれタウンに行って感性を磨く。
おしゃれな服、おしゃれな飲食店・・・、たくさんの可愛い女子。
それはそれは刺激と欲望に溢れているわけです。
20代はとにかく元気である。
飲みに誘われても断りません。先輩のおごりだろうし、お金を出さずに酒が飲めるのは幸せである。
練習を切り上げてでもお供いたします。何時まででも!
毎日がエキサイティング。
経験したことがないことが多く、未来は夢と希望に溢れている。
そんな中、どうしても足りないもの、なくなってしまうものがある。
そう、お金だ!
本当にお金がないのだ!
寮費やら何やら差し引かれたら10万にも満たない。
そんな中、カッコつけたいからお金が必要なのだ!
もちろん、練習に励み遊び呆けずコツコツお金を貯めればよかったのだろうが、
とにかくカッコつけたいのだ!
若輩者は一生懸命さや真剣さ、男らしさがカッコいい、モテる、なんて思ってないのだ。
未熟さを「ブランド」という鎧で見せかけのかっこよさを安易に纏おうとするのだ。
そう、「身の丈にあってない」のにね。
どこか我々の世代はブランドによるヒエラルキーを感じたり、所持することで承認欲求を満たそうとしてしまうところがある。
メンズノンノをつい買ってしまうのだ。
街へ繰り出すと、
ポール・スミスやらドリス・ヴァン・ノッテンやらコム・デ・ギャルソン・・・
高級時計・・・
憧れのブランドだらけ・・・。
これさえ身につければ・・・、モテる!
わけないのである。
しょせん、薄っぺらい男なのである。
街にはなんだか便利なものがあり、ちょっと高額なものを「分割払い」できるんだって。
でもって機械からお金が出てくる。
月々ちょっとずつ返せばいいんだって。
そう、
物欲に目がくらむ私の「極貧暗黒期」の幕開けである。