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lahainanoon
本屋で待ち合わせ。:シリーズ『名前を付けて保存して』②
当時、中央線に住んでいた。
駅前に噴水があって、ロータリーがあって、本屋があった。
その子が家に遊びに来る時は、迎えに行っていたのだが、いつも本屋で待ち合わせをしていた。
確か早起きな子で、午前中に少し遠い街からよく会いに来てくれていた。
時間が早いから、前の日に飲んでいる僕はいつも迎えに遅刻していた。
「遅いよ」
怒りながら肩にパンチを食らわしてくるその子の様子が可愛かった事は覚えている。
飲み会で連絡先を聞かれた時もその子は何故か怒りながら「教えろよ!」と言ってきたので、「嫌だよ」と断っていたのだが、あまりに怒るので連絡先を交換した。
あまり酒癖は良くなかった気がする。
連絡先を交換した数日後、その子の誕生日が近いと飲み会の席で聞いた。
せっかくなので、初めての電話はその子の誕生日が来る24時ちょうどに電話をした。
物凄く喜んでくれた。
当時レンタルが開始されたばかりのTVドラマが観たいという共通の目的から二人で会う事が増えた。
ちなみにその子は彼氏がいた。
相変わらず本屋では待ち合わせをしていた。
だんだん会わなくなっていったけど、今ではその理由すら覚えてない。
会わなくなったけど、たまに電話はしていた。
「そろそろ会おうよ。久しぶりに。」
「…遅いよ」
それが彼女との最後の電話だった。
そんな本屋とすでに終わった恋の思い出。
「でも、ふりかえれば甘ったるく」な話。
彼女は今では良き母、良き妻となっているらしい。
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シリーズ名を付けました。
それではまた。
西川タイジ
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