
いまどうなってるの?隈元の御一夜(まいてつ)
日ノ本・隈元にある、焼酎と川下りで知られる街・御一夜。そんな水の街にできようとしているエア=クラ工場の是非と町おこしをテーマにしたお話がまいてつです。2020年10月には続編となるまいてつLast Run!!も発売されました。
まいてつの舞台のモデルになったのは熊本の人吉がメインで、駅前に立て看板があったり、キャラクターの描かれた焼酎が出たりと、聖地として自治体とも連携して盛り上げているようでした。
しかしながら、2020年に発生した令和2年7月豪雨により球磨川沿いの堤防が各所で決壊し、人吉市を含む流域は広範囲に渡って水没しました。これにより、市役所や駅などの公共施設を含めて市街地は大きな被害を受けました。
この記事では、いま人吉のまいてつ聖地はどうなったのかについて記していきます。(訪問:2021年4月10日)
人吉駅(人吉温泉駅):御一夜温泉駅
JR人吉駅の建物は被災前と変わっていないように見えます。鉄道の来なくなった駅は閑散そのもので、お土産屋も閉まっていました。
JR人吉駅は改札から中には入れないようになっていました。大きな「吉」の文字は記念撮影用のもの。人物を入れることで「人吉」ができます。
ホームのたたずまいを見ると今にも汽車が来そうですが、水害以来この駅に列車は来ていません。3本あるホームのうち2本が肥薩線ホームです。
ゲームでは御一夜温泉駅として出てくるゲストハウスくまたびさんですが、土日祝でグッズ販売のみ継続中のようです。
構内ではKT-500型車両を5両確認できました。外に4両、車庫内に1両が居ます。報道によればKT-503の1両だけエンジンが掛かったとのことでしたが、1両だけ動いても運行を維持できないのが鉄道の難しさです。
奥の石造機関庫には被災した肥薩線車両、キハ40とキハ220が居たとの話ですが、撤去されたのか訪問時には見当たりませんでした。
跨線橋およびくま川鉄道線ホームは立ち入れるようになっていました。汽車の来ない線路は茶色く錆びていました。
構内北側にある転車台は見学できるよう通路が開放されていました。転車台も冠水したと思われますが動作はするんでしょうか。SLの運転を再開するとしたら転車台は欠かせません。
人吉鉄道ミュージアム MOZOCAステーション868の前には肥薩線とくま川鉄道の早期復旧を応援する横断幕が張られていました。
青井阿蘇神社:赤井阿蘇神社
作中では赤井阿蘇神社として登場する青井阿蘇神社も水害で被災しました。
鳥居前にある太鼓橋は欄干が破損し封鎖されています。
建物は復旧が済んでいるようです。
境内では人吉の写真展が行われており、災害時の写真も見ることができました。鳥居の下まで浸かるほどの浸水だったようです。
「がんばろう!人吉球磨」のポスターがありました。
球磨川下り発船場:クマ川下り発船場
駅から少し離れた場所にある球磨川下り発船場は現在整備中でした。2021年7月には再開する見込みのようです。
駐車場には看板と船が置いてありました。船は再利用されるのでしょうか。
川の発船場付近には小舟が浮かべてありました。
人吉市役所:御一夜市役所
川に近い場所に位置していた人吉市役所は、先の熊本地震の影響で閉鎖・移転しています。既に旧庁舎は解体されており、作中に出てきたような姿は見ることができません。
渕田酒造場:右田一酒造元
主人公の双鉄が養子に入った右田家のモデルになった渕田酒造場は現在復旧中のようでした。
※公道から撮影
鍛冶屋通り
鍛冶屋通りではいくつかの店が営業していましたが、泥を掻き出したあとそのままになっている住居・店舗も散見されます。
養老鍛冶屋:簑笠鍛冶屋
隈元弁全開な簑笠凪ちゃんが住んでいる店のモデル、養老鍛冶屋は営業再開しているようです。
新温泉:登呂流湯(外観)
レイルロオド御用達のお風呂、登呂流湯の外観のモデルになった新温泉ですが、現在は封鎖されています。開放されている窓から内部を伺うことができましたが、中には何も残っていないようでした。
熊本銀行人吉支店:隈元銀行御一夜支店
作中でもたびたび出てくる隈元銀行ですが、見たところ復旧しているようです。ATMを利用する方の姿を見ることもできました。
窓には「再生」のポスターと、「がんばろう!人吉球磨」のポスターが貼られていました。どちらも人吉市内ではよく貼られています。
半日ほど掛けて人吉市街を歩いてみましたが、穏やかに戻った球磨川の流れとは対象的に、まだ至るところに水害の傷跡が残っていました。災害から半年以上が経過しているものの、いまだ罹災建物の解体が各所で続いており、物々しい雰囲気が漂っています。
まいてつで聖地巡礼を考えている方は、ひとまず夏に発船場が復旧して川下りができるようになってからがいいと考えます。なお、くま川鉄道の部分復旧は2021年11月とのことです。
人吉および熊本のいち早い復興を心よりお祈り申し上げます。