気になる話題について数件書きます

一件目はJFEについてです

9月16日に京浜製鉄所の高炉が火を落とし、名実ともに製鉄所と言う呼称がなくなったことです。京浜製鉄所は扇島地区に世界最大の高炉を有し、日本鋼管の主力工場でした。製鉄所から高炉の火が消えるのは釜石、広畑、呉等があり、呉は全設備が閉鎖になってしまった。
数年前からJFEの生産体制の見直しで京浜はその存在意義を失っていたが水素・アンモニア供給基地として再生を図るべく政府や神奈川県や川崎市に財政支援(約7,500憶円)を求めております。


二件目は日鉄の脱炭素の先行きに影が

日鉄は君津製鉄所内にNEDOの研究開発費で小型試験炉(内容積12㎥)で水素による脱炭素操業試験を実施し、実機化への目途が付いたと考えて、2024年から君津第2高炉において実機ベースの操業試験を開始するとプレスリリースをしていた。先日の新聞報道ではGI基金から約2500憶円もの研究費を申請をした。目的は前述の小型試験炉で得た知見では内容積4000㎥クラスの大型高炉に適用するには不安があることが判明したようです。2500億円と言う巨費を投じることは内容積4000㎥クラスの高炉を新規に建設するに等しい。2040年半ばに予定しているカーボンニュートラルを2040年から早めると苦しい答弁をしています。
動静が不明だった中国鉄鋼企業について
宝武鋼鉄集団は小型試験炉で実証試験を行い、6月から2,500㎥クラスの既存炉に適用を始めた。独テッセン・クルップも天然ガスベースで直接還元炉+電気溶解炉の組合せで2026年をターゲットに研究開発を進めている。

日鉄の脱カーボン製鉄の道筋は???

私が1970年11月に中途採用された頃は世界最大の鉄鋼企業で通商産業省主催の宴席では床の間を背に「鉄鋼は産業のコメである」と言う態度で産業界に君臨していた。第一次石油危機以降、重厚長大産業の代表であった新日鉄は凋落の一途を辿ってしまった。住友金属と日新製鋼を吸収合併するも劣勢を改善できなかった。現在でも旧日鉄の技術者が中国や韓国にたれ流している技術情報も枯渇しかけているようです。
一つ目の途は高炉に水素を富化したCOGを吹き込んで高炉から排出されるCO2を10%削減する。ここで問題になるのは水素還元法は吸熱反応であり、その熱源確保はハムレットの心境でしょう。
次に排気ガス(BFG)に残るCO2はアルカリ薬品に吸収させて取り除く方法を採用します。当初は回収したCO2は国内で地中埋設する予定であったが適地がなく、液化して海外に運び出す方式に変えて対処するようです。
CO2と水素でメタネーションすることは
多角経営戦力の失敗に懲りて化学メーカーやガス会社に振るようです。

私の見立ては?

日本製鉄の様々な技術情報を整理すると高炉内の挙動を十分に把握しておらず2500憶円の追加費用(時間も)が発生したと読んでいます。
高炉内にある数千トンもの原材料を支えるメカニズムが解明されておらず、どこまでコークスを減らして行けるのか、膨大なガスを満遍なく炉内の装入物に分配できるメカニズムが分かっていない。一回、失敗すると3ヶ月の時間をかけて炉況改善させねばならず、「高炉の神様」に縋りたいのでは。
最後の手段はAIのご宣託に縋るしかないが、AIはどうして改善できたのかを教えてくれない。神様のご宣託を毎度毎度聞くのも考えものですが。
これまで数次にわたって高炉の解体調査をして来たが融着帯は目視で確認できたが、滴下帯、デッドマン+コークスは不明のままです。
スパーコンピューターを使って数値解析で炉内の挙動を解析しているなら、AIの出番もありそうです。








jjfejfe

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