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♯7 陰部洗浄の真実:毎日行う必要はあるのか?

N-SaiComです。自称、Nursing Science Communicatorとして、ガイドラインや論文内容を発信することで、臨床現場のケアや業務の改善を期待しています。


ガイドラインの紹介

今回は、ガイドラインの紹介をします。
その名称はこちら「泌尿器科領域における感染制御ガイドライン
こちらは、日本泌尿器科学会の泌尿器科領域における感染制御ガイドライン作成委員会が作成したものです。

ガイドライン紹介に至った背景

このガイドラインを紹介しようと思うに至った背景を紹介します。
とある飲み会の時、大学院の同僚にこう言われたのがきっかけです。

「陰部洗浄は尿路感染予防にはならない」

もう衝撃でした。なんとなくそんな話を聞いたこともあった気がしましたが、それがエビデンスとして出ていることに衝撃でした。
と、同時に思ったことが1つ。

「ならば、なぜ超過勤務をしてまで陰部洗浄をしているのか?」

勿論、陰部洗浄によって清潔を保つことができます。

ただ、僕が働いていた当時は「尿道留置カテーテル挿入中の患者には毎日陰部洗浄をしなければならない」という(謎の)文化がありました。おそらく今も多くの病院であると思います。しかも、どれだけ忙しくても「しなければならない」ため、その結果、超過勤務となることも多々ありました。

勿論、「陰部洗浄をしなくてもよい」というわけではないです。ただ、超過勤務をしてまでも「毎日陰部洗浄をしなければならないのか?」ということです。なので、そのガイドラインをその目で見たいというモチベーションが背景で今に至ります。


ガイドラインの内容

では、ガイドラインの紹介です。といっても、先述した内容に焦点を当てて紹介しますね。結論は下記です。

尿道口周囲を定期的に消毒または洗浄しても、細菌尿の発生頻度は減少しない(A Ⅰ)

この「尿道口周囲を定期的に消毒または洗浄=陰部洗浄」と捉えることができるため、陰部洗浄は、細菌尿の発生頻度は減少しないという風に解釈できます。ちなみに、最後に書いてある(A Ⅰ)はAIではないです。

つまり、「尿道口周囲を定期的に消毒または洗浄しても、細菌尿の発生頻度は減少しない」は、介入研究による実証がされており強く推奨されているということです。

ちなみに、このガイドラインに至った論文を読みましたが、1977年に発表されているものです。まさか僕が生まれるずいぶん前から実証されていたのですね。

この事実を知ったあとにすること

大事なのはここから。
この事実を周知し、病棟の文化を変えていきましょう。
再度強調しておきますが、「陰部洗浄をしなくてもよい」というわけではないです。あまりにも忙しい中、「超過勤務をしてまで陰部洗浄をする必要があるのか?」ということです。その時間でほかのケアやカンファレンスをする方が結果的に患者にとって有益になるのではないか。というメッセージです。

今後も、発信を続けていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。


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