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イトーヨーカ堂に成長させてもらった営業時代

まだ、はっきりはしていないようだが、報道によれば、イトーヨーカ堂が売却されるようだ。
私が営業職として入社した企業は、イトーヨーカ堂と取引をしていた。
仕入は厳しかったが、契約をしっかりと守る企業だった。
契約精神がある企業だ。
この時代のスーパーとの契約はどこもいい加減なものばかりだった。
営業をしていた私は、契約とは名ばかりで、何度痛い目にあったことか。

私が在籍していた企業の商品のブランド力(全国)は、イトーヨーカ堂のデータ管理では2位だった。
きちんと収集したデータに基づいて商品管理をしており、イトーヨーカ堂への販売活動は、企業のマーケティング力を高めたと、私は思っている。
ライバル企業の商品は、定番の棚でもっともよいスペースを確保していた。
イトーヨーカ堂だけではないが、新規出店時、オープンの手伝いに何度もいかされた。
私のことだから、当然、嫌々だったが。。。
だが、イトーヨーカ堂のデータ管理のおかげで在籍していた企業は商品開発力をつけ、その後、良い製品を生み出した。
商売(商品開発なども)には、このような厳しさが必要だ、と学ばせてもらった。

私はこの経験を活かして九州地区のセブン・イレブンでライバル企業と同時に定番化をやってのけた。
この当時、セブン・イレブンの全国定番は、競争相手の1社だけだった。
しかも、ひと工夫したハーフケースを考案して、店舗在庫の問題を解消し、九州エリアの在籍企業の販売データを活用しながら、セブン・イレブンの定番化を勝ち取り販売数量を拡大した。
もっとも、このときの店舗数は少なく、拡大したと書いたが、販売数量はたいしたことはないのだが、セブン・イレブンの定番化は、本社で話題となった。
東京時代に、イトーヨーカ堂のバイヤーに厳しく指摘を受けたことを活用させてもらった。
良い企業からは、学ぶことがたくさんある。

当時のイトーヨーカ堂は、まさに破竹の勢いがあった。
しかも、きれな店づくりをしており、店舗管理が行き届いていた。
みるからにおしゃれな雰囲気があった。
競争相手であったダイエーだけではないが、他の企業の店舗管理は雑然としていた印象だったように私は記憶している。
こちらへ転勤してからは、近くにイトーヨーカドーの店舗があったので、しばしば買い物で利用させてもらっていた。
食料品だけでなく、衣料品や靴なども購入していた。

いつのころからだっただろうか、イトーヨーカ堂へいかなくなった。
徐々に足が遠のいていった。
食料品は、よい商品が多いのだろうが価格が高く、わが家の生活ラインに合わなくなっていった。
衣料品もある時期からみることもなくなり、購入することがなくなった。
私の度重なる転職によって、わが家が貧乏になってきたからだろう。
妻からは、間違いなくそう言われる。

店舗もさびれてきた感じがしてきて店舗管理が、むかしのように行き届いていないようだった。
GMSの衰退をみるような雰囲気が店内に漂いはじめていた。
そんななかで、わが家が足を運んだことがある近隣の店舗だけでも4店舗の閉店があった。
イトーヨーカ堂は、GMSの店舗運営において、投資をしない体制を引いていたのではないだろうか。
現在でも店舗の閉店が多くなっているが、私からみれば、店舗を閉鎖するように運営してきたようにみえてしまう。

セブン・イレブンが好業績をだしていることも、GMS離れに拍車をかけてきたのではないだろうか。
現在の状況は、稼ぎ頭のセブン・イレブンでさへ厳しい局面を迎えている。
イトーヨーカ堂は、もうGMSを運営していく信念を、かなり前から失ってしまっていたのだろう。
わが家は、イトーヨーカ堂を利用しない生活になってしまった。
食料品は、地場スーパーで十分だし、衣料品や靴、あるいは書籍など、私はネットで購入する。
Amazonのネット機能で大半がまかなえる。
後は、年に数回しかいかないが、コストコだろうか。
消費のスタイルが変化している。

このようななかで、わが家は利用しないが、ドン・キホーテだけは独自の店舗管理で業績を伸ばしている。
イトーヨーカ堂の敗因は、これまでのような標準化されたチェーストアオペレーションが機能しない社会構造になったことだろう。
その点、ドン・キホーテでは、店舗に仕入や店舗管理の権限をもたせており、店舗ごとに独自性を発揮させているようだ。
やはり他がやらないことをやっている。

時代の流れのなかでGMSが取り残されていく。
それにしても寂しいことだと思った。
あまり感傷的にならない私でも、イトーヨーカ堂は、新卒で入社した会社時代に輝いていた流通企業の雄だったからだろう。
近隣には、別の大手企業(スーパー)の進出が予定されていた広い土地があったが、店舗の進出はなくなり、今大型物流倉庫が建てられている。
私は、時代の流れのなかで流通業の変化をみているのだろう。

大型ショッピングモールでさへ、私たち家族はいかなくなった。
ネットショッピングの成長だけではないだろうが、大型物流倉庫だけは拡大しているようだ。
イトーヨーカ堂に限らず大型スーパーの時代が終わり、地場スーパーで十分な時代になってきた。
人口減少とともに、スーパーのダウンサイジングは、これからも進んでいくのではないだろうか。

人口減少のなかで賃金が上昇しない社会は、このような転換を少しづつ進めていきながら強い事業を維持しながら、また別な企業がどこかで衰退していくことを繰り返していくのだろう。
衰退していく企業(事業)と成長していく企業(事業)がはっきりとしてくるが、一方、日本という国の成長は、益々むずかしくなっていく。
イトーヨーカ堂の報道内容には、これから先のことをこれまで以上に強く感じてしまうほど、私にはインパクトがあった。

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