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生き物たちが歓喜する世界

わが家のまわりの田んぼに水が引き込まれました。
いよいよ田んぼの季節がはじまります。
私はこの季節がとても好きなのですが、そのわけは、春から夏へ移りゆく景色にあるように思えます。
なんといっても新緑の鮮やかさでしょうか。
多くの木々たちの生をまじかに感じられる瞬間だからです。
わずか数日前まで枝だけだったのに、どこに新緑を生み出す力があるのだろうか、という不思議な感覚にとらわれます。

そして初夏になる合図でしょうか。
田んぼに水が引き込まれ、大きな湖のような風景に変貌していきます。
そして田植えの季節がやってきます。
一昨日、この地の田んぼに今年はじめて水が入りました。
黒い土だけだったところへ、じわじわと水がしみ込んでいきます。
私は、この光景を待ちわびているのです。
私だけでないでしょう。
かえる、シロサギ、アオサギ、カラス、カモ、亀、ヘビなど多くの生き物たちが、この日を待つのでしょう。

田んぼが華やかな季節になり、生き物たちにとっては、まさにディズニーランドでしょうか。
田んぼが、自然のエンターテインメントの舞台に変わります。
毎年同じような光景をみることになりますが、私は、いつもわくわくしてきます。
それは、稲刈りから田起こしまでの田んぼは、土だけの無味乾燥な風景が続きますが、田んぼに水が入った瞬間から水の王国へと急変する風景は、まるで歌舞伎の廻り舞台のように感じられからかもわかりません。
身近な景色の見事な早替わりでしょうか。。。

水が満水になるまで数日かかりますが、暖かさとともにいよいよ生き物たちが登場してきます。
一番目のエンターテイナーは、かえるたちでしょうか。
にぎやかな声で歌いだします。
昨日、田んぼを散歩していると、かえるたちはさっそく練習を開始しているようでした。
恋の季節でしょうか。
力強く、高らかに、水の王国を宣言するかのように大合唱がはじまります。
さあ、水の王国の開園だ、と宣言しているようです。

これから、次々と多くの生き物たちがエンターテイナーとして登場します。
田んぼは、生き物たちが輝くように、水面にいろいろな景色を映し出してくれます。
まるでプロジェクションマッピングのように不思議な光景でしょうか。
これから稲刈りまで田んぼが輝く季節が続きます。
これこそ、日本の原風景だ、と思っているのは私だけでしょうか。
田んぼの世界こそ、私が私でいられる大切なところです。
田んぼは、生き物たちと、どこかでつながるように感じられるからおもしろく、ゆかいで楽しい場所なのです。




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