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大掃除で生き残った本棚

お盆休みに息子たちが帰ってきた。
家族がそろうのは、わが家では正月とお盆休みになった。
五月の連休は、比較的近くに住んでいる長男だけがよくかえってくる。
私は息子たちと話すことはあまりないが、妻とはよく会話しているようだ。
なにか困ったことがあれば、私に話してくれるので、私はそれでよいと思っている。

近頃、息子たちがかえってくると、二人で自分たちの部屋の掃除や片付けをやっていた。
そのおかげで二人の部屋は、ずぶん物が少なくなった。
長男は、部屋を片付ける目的があった。
むかしから収集しているトミカを整理保管するためだ。
私たち夫婦は、その量に驚くと同時に、重さを心配していた。
部屋を片付けてうまく分散して保管していた。

今年のお盆は、次男が使用していた机を廃棄しようということになった。
もともと近く住む方から譲り受けた机だったが、部屋が狭くなるし、利用しなくなっていたので息子たちと机の分解作業をして廃棄することにした。
粗大ごみの回収は、市の指定業者に電話で連絡するのだが、数日かかるので駐車場の脇にブルーシートをかけて保管した。
お盆明け、指定業者が回収してくれた。

三人でやると少し大きなものでもなんとか廃棄することができるが、私たち夫婦だけではとてもできない。
机の廃棄作業をしている矢先、長男が、この本棚もいらないだろう、という。
たいした本棚でもなく、本を入れて利用しているわけでもなく、ただなんとなくなにかを置いているだけだ。
いらないと言えばいらいのだが、妻と私は今回残しておこうといった。
私は、次男夫婦の愛猫キッズが本棚にのぼって遊んでいる姿を思い出していた。

この本棚、実は私が大学へ入学したときに購入したものだ。
私の母と池袋の三越へいって購入したのだが、私は長く使うことがないと思うので安くてシンプルなものでよいといって、机といっしょに購入した。
だが、長く使うことはないだろう、という思いとは反対に今でも使用している
私の身の回りでは、一番長く使用しているのが机とこの本棚だ。

机と本棚との付き合いは、私の学生時代、それほどきれいだと思えないアパート暮らしからはじまり、次に社会人で入居したアパート、新婚で入居したアパート、福岡への転勤で入居した公団のアパート、さらに転勤で入居したマンション、そして最後に今のわが家へとたどり着いた。

ほんとうに長く付き合ってくれた。
妻や息子たちにいった。
本棚が、しゃべれるなら、私のむかしの生活や彼女のことを話すことになったかもわかないな、と。
一瞬、沈黙が走った。
机と本棚は、学生時代の私のだらしない生活や彼女との短い人生をみてきた。
しやべることができたら、きっと怒るだろう。

私は、机と本棚にも感謝しかない。
多くの思い出を残してもらったからだ。

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