本に書かれているような取締役が生まれのはいつなのでしょうか
最近、取締役会が明らかに変化してきたというコメントをみる機会が増えましたが、果たして、変化しているのでしょうか。
また、取締役会が経営陣を監督する「モニタリングボード化」が進んできたといえるのでしょうか。
社外取締役が3分の1以上を占めるような会議体を作れば、おのずと参加メンバーの機能は監督と執行に分かれるはずなのですが、そのようになっているのかは、疑問が残るところです。
取締役は、株主総会で選任されるのですが、それでは新たに就任する取締役候補はどのように決まるのでしょうか。
日本の企業においては、株主総会決議で選任された取締役の就任辞退を避けるため、実務上は株主総会の開催前に就任について承諾を得ることが一般的です。
ここに問題の核心がありそうです。
理由は、だれが取締役候補を推薦しているのでしょうか。
想像ですが、企業内の権力構造の頂点に立つ人でしょう。会長、あるいは社長といったところではないでしょうか。そのため株主総会の決議という形式を経て、取締役に就任しているのでしょう。
そして、就任した取締役は誰に忠誠をつくしているのでしょうか。多くの書籍には、取締役は株主から経営を委任されていると書いてあります。しかし、就任した取締役が株主に忠誠をつくしているとは、日本ではだれも思っていないでしょう。
このような二重構造そのものが多くの問題を発生させます。
しかし、この構造が簡単に壊れることはむずかしいのではないでしょうか。
何十年かかれば、本当の取締役が生まれるのでしょうか。
法形式的には取締役は株式会社からの経営を実行する受託者の立場です。
実際は、会社の発展を期待して取締役に経営を委託しているのは「株主」です。その株主の期待に応えることが取締役の使命なのですが、二重構造ではそのようにはなっていないのではないでしょうか。
取締役が株主から経営を任されているという立場が取れるのは、どこかの大学の理念ではありませんが、「独立自尊」の精神をもつ人があらわれるのを待つほかないのでしょう。
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