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熱中症とその対策、経口補水液とスポーツドリンクの違いについて
今更ですが、本日は熱中症について書こうと思います。
今年は、台風の影響もあり気温があまり上がらない日が多かったかな?と、言う印象があります。
本日の投稿は、残暑への対策として皆さまのお役に立てればな。。。と、思います。
はじめに
1、人間はどのようにして体温を調節するのか?
体温を下げると仕組みとして蒸散性熱放散と非蒸散性熱放散があります。
[蒸散性熱放散]
・発汗→身体の体温上昇に伴って出る現象
・不感蒸泄→例:ビニール手袋をした際に出る蒸れた汗
[非蒸発性熱放散]
・輻射(放射)→人は常に赤外線という形でほんのりと熱を出している
・伝導→物体に接することでその物体にに熱を移す現象
・対流→身体に接している空気に熱が伝導し周辺を循環する現象
上記の現象によって体温上昇した際に体は熱を下げようとします。
特に夏場の体温調節で大事になってくるのが発汗になります。
汗として体に水分が付着しそれが蒸発することで体温を下げる働きがあります。これを気化熱と呼びます。
気化熱を利用した体温を下げる方法としては、40°程度くらいのぬるいタオルで体を拭いてあげることで涼しくなったりもします。
2、熱中症の症状と対処方法
熱中症とは高温、多湿の環境下で、身体で産生された熱がうまく放散できずに、さまざまな症状が引き起こされる状態。
なぜ、高温多湿の環境では熱中症が起こりやすいのか??
高温・・・身体から外界への熱の放散ができない
多湿・・・汗が蒸発しないので気化による放散ができない
[熱中症の重症度分類]
Ⅰ度
症状・・・めまい、大量の発汗、欠神、筋肉痛、こむら返り
Ⅱ度
症状・・・頭痛。嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力及び判断力の低下
Ⅲ度
症状・・・中枢神経障害、肝・腎機能障害、血液凝固異常
[熱中症の処置方法]
・Ⅰ度の症状がみられた際に、屋外の場合であれば日陰や風通しの良い場所に移りましょう。
・屋内の場合であれば、クーラーの効いた涼しい場所に移り扇風機で風を送ります。
・すぐに塩分濃度の高い水分を飲ませましょう。おすすめは経口補水液。
・衣類を緩めるなどをしてゆとりを作ります。
・氷嚢などを太い血管のポイントにあてます(首、わきの下、股関節の付け根、足首の内側)
・介助者は霧吹きで体を濡らして、うちわなどで扇いであげましょう。
※Ⅱ度、Ⅲ度の場合は上記の対応をしつつすぐに病院または救急車を呼びましょう。
ちなみにNG行為としては水分を与える際は「水」を与えるのは控えてください。
理由は、体内のナトリウムが低下している状態で水分をとると水分を維持する働きが低下しているため利尿作用が働きさらに脱水症状を促進してしまう恐れがあるので気をつけてください。
3、経口補水液とスポーツドリンクの違いについて
まず、2つの違いは「電解質濃度」、「糖質量」に違いがあります。
スポーツドリンクは電解質濃度は低く、糖質量が高いです。なので発汗に伴う電解質に加えてエネルギー補給をできるのが特徴です。
経口補水液は逆に電解質濃度が高く、糖質量が低いです。なので主に脱水状態時の電解質補給を素早く行ってくれるのが特徴です。
※基本的には軽く運動して、少し汗をかく場合は、ちゃんと食事を摂っている人なら、水やスポーツドリンクで十分と言えます。
熱中症などによる脱水状態の場合電解質の濃度の低い場合、血液の塩分濃度が薄まることがあります。そうなると私たちの体は、薄まった血液の塩分濃度を元に戻すために塩分濃度の薄い尿をたくさん出して血液を濃縮しようとします(これを自発性脱水と呼ぶ)。これでは脱水は改善されないため多量発汗による脱水状態から回復するためには、塩分濃度がスポーツドリンクよりも高く、体液に近い成分の経口補水液を摂るのがおすすめと言えます。
番外編
どんな人が熱中症になりやすいのか?
①子ども
暑い環境では、人間は汗をかいて体表面から汗を出し体温を37℃程度に保とうとします。 ですが体温を一定に保つ機能には限界があります。
特に子どもは大人と比較して体温の調節機能があまり発達しておらず
また、体の大きさにくらべて体表面積が大きく環境の温度変化の影響を受けやすいことから、子どもは熱中症になりやすいといえます。
※乳幼児の場合、暑さを感じても、おとなのように自分で服を脱ぐのが難しく、自分で水分を補給することもできないので注意が必要になります
②高齢者
お年寄りでは、室内にいても水分補給が足りないため熱中症にかかる人が多く見られます。
高齢者は体温調節機能が若いころより低下しており、周りの環境が寒いと低め、高いと高めで安定してしまいます。
また人は汗をかいて体温を下げようとしますが、高齢者では代謝が下がることで汗をかきにくくなっており体温をうまく下げることができません。
それに加えて高齢者は、若い人よりも体内の水分量が少ないので、それほど汗をかいていないようでも、血液の濃度が濃くなってきます。
こういうときは脳の働きで「のどが渇いた」と認識し、水を飲もうと思うはずなのですが、高齢者の場合はこの仕組みが低下しているため、渇きに気づきにくい「口渇感低下」という状態になり、水を飲むのが遅れるため、いつのまにか脱水を起こしてしまうのです。
③体調不良の方
体調が悪いときは、自分の体温をコントロールする「体温調節機能」が低下し、普段は平気な程度の暑さでも熱中症を起こすことがあります。発熱、下痢、二日酔いなどで体調が悪いときは特に注意が必要です。
④肥満傾向の方
肥満の人は軽い運動でもエネルギー消費が大きく、熱の発生が多くなります。
また脂肪が熱の放散を防ぎ、体温を閉じ込めてしまいます。このため体温が上昇しやすく、熱中症を起こしやすくなります。
⑤病気がある人
高血圧、心臓病、慢性肺疾患、肝臓病、腎臓病、糖尿病などの内分泌疾患の人、寝たきりの人は、熱中症を起こしやすくなります。
また発汗を抑制する作用がある薬、利尿作用がある薬、興奮性のある薬、抗精神病薬を服用している人は、薬の種類によっては熱中症を起こしやすくなります。
いかがだったでしょうか?
これからの残暑あるいは、来年の夏に向けて皆さんも熱中症対策をしっかりしていきましょう♪
今回の投稿はここまで!
今後も当院スタッフ一同、皆様のお身体の悩みに対して解決できるような有益な情報や業界あるあるなどを発信していきたいと思いますのでよろしくお願い致します。
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