映画【すずめの戸締まり】を観た感想
12月某日。公開から1ヶ月経ってからにはなりますが、事前知識はほとんど仕入れずに初めて観に行きました。唯一、災害のことを扱っているということだけはTwitterで流れてきたので知っていました。
新海誠監督の前2作を観ていたので今回も新海誠監督の映画だから観に行きました。鑑賞動機はそれくらい。
鑑賞途中、圧倒的な映像美と物凄い迫力の演出の連続で「あ、これは新海監督の集大成なんだな」と分かりました。事前インタビュー等読んでいなかったのに、作品でそれを感じました。とにかく凄かった。観終わった時の満足感が強く、でも「面白かった」と形容するのはニュアンスが違う気がして、言葉にするのがなんとも難しかったです。
映画を通して感想は色々あるのですが、大きく2つに分けて書いてみようと思います。
○登場人物みんな愛おしい!!
私は今絶賛、宗像草太に狂ってるので、それはまた今度別で書くとして。
すずめちゃん環さんちかちゃんルミさん芹澤みんな好き!!!
旅先で出会う人みんなお人好しで親切で優しくて。それがご都合展開っぽくないのも良かった。特に私はルミさんが好きで…!すずめちゃんが観覧車での戸締まりを終えて深夜に帰って来たのをルミさんが怒るシーン。毎回泣けます。店の手伝い中に勝手に抜け出した、会って間もないすずめちゃんに愛のあるお叱りをするルミさんの懐の深さ。温かくて大好きです。
あとはなんといっても、環さんとの関係。環さんがサダイジンに乗っ取られて本音を言ってしまうシーンからの、自転車に乗りながら「それだけじゃない。全然、それだけじゃないんよ」って言うシーン🥲今書きながら泣きそう🥲映画初回観た時に1番印象に残ったシーンでした🥲
環さんの中で、すずめちゃんやすずめちゃんを引き取ったことに対して、マイナスな感情があったことを環さん自身が否定しなかったことがグッときた。「あんなん嘘よ!」って言って誤魔化すことだって出来たのに、そうしなかったところが、環さんとすずめちゃんの関係が前進した証なのかなって思います。
環さんが叔母じゃなくて母だったら、過保護なところが映画全体を通して観客側にもっと重たくのしかかってたのかなって思います。叔母だからこそ距離感掴めきれないし、引き取った理由も理由なだけに過保護になってしまうのも納得してしまう。そしてなにより、特典第3弾の『環さんのものがたり』を読めば、環さんの抱えている感情を知れて一層このシーンが泣けます。というか特典の小説本当に本当に良かった。映画本編より泣いた。
すずめちゃんの「大事なものは、もう全部もらってた」の言葉は、今までの環さんの努力が報われたって捉えて良いんでしょうか…。私はそう捉えて泣いてます…🥲
最後すずめちゃんが小すずめちゃんに「光の中で大きくなっていく」って言うところは、今までの旅で出会った人達との関係がこの言葉を裏付けてると思います。
出会った人みんなの人柄の良さは大いにあった。けど、助けてもらえるのも愛してもらえるのも、それはすずめちゃんの人柄の良さのお陰なんですよ。どれだけ周りの人が優しくても、すずめちゃんの人柄が悪ければみんな離れていく。
すずめちゃんの一生懸命で朗らかでまっすぐな人柄の賜物なんですよ。
「この映画はロードムービーである必要がなかった気がする」という感想を見聞きしたのですが、私はこの旅のシーンが不要だとは全く思わないし、最後の小すずめちゃんへの言葉に説得力を持たせるためにも必要だったと思います。そして、すずめちゃんにとって、遠く離れた土地に"味方"がいることは今後生きていくうえで強い力になると思います。
○災害について後世に伝えていく大切さ
映画の主題でもある、震災について。
すずめちゃんが宮崎の学校で経験した地震。あのシーンは日本人(正しくは、日本で長く生活している人々ですが、便宜上こう呼びます)の地震への慣れを描いているなぁと思いました。地震警報が鳴っているのに誰も机の下に潜らない。地震警報の音が大袈裟だと言ってしまえる。そもそも気付かない。私たちには、あるあるな光景ではありますが、地震が普段から多すぎて感覚麻痺してますよね。海外の人にはどう映るのか興味深いです。
でも、地震に慣れているから、大震災が起きたらどんな被害を受けるのかどんな光景が広がるのかを日本人の観客は知っているから、わざわざ地震の被害の描写を細かく入れなくても、恐怖心を煽ることができる。巧みです。
そして、東北のターン。津波警報の音、家屋に船が乗っかった光景。3.11の時にニュースで見たような光景で息を飲みました。怖かったです。初回見た時は、夜寝る時に夢に出そう…って思ったくらいには…笑
でも何より、将来、この映画を観た人がこのシーンを見ても、"3.11の時に現実で起きたこと"と分からないことが1番怖いと思います。創作上の表現と受け取られること。震災の記憶・記録が風化されてしまうことが最も恐れることだと思います。
また、今回舞台になっているそれぞれの土地では、過去に大きな災害がありましたよね。観ながらそれに私が気付けたのも、災害教育がこれまでの教育課程にしっかり組み込まれていたからで、改めて災害教育の大切さを思い知りました。
災害の記憶を風化させない。過去から学ぶ。その土地で過去に起きたことを知り、その土地とそこで生きた人々に敬意を抱く。当たり前のことなのに、つい忘れかけていたのを思い出させてくれた映画だと思います。
ちまちまダラダラ書いてるうちに、かなり時間を要してしまって、この間に2回追い戸締まりしちゃいました!笑
災害というテーマ、すずめちゃんと環さんの関係、出会う人々との関係、すずめちゃんと草太の戦友で恋愛っぽい関係。このそれぞれの要素がバランス良く織り交ざって、1つの重厚なストーリーになってて。何度観ても飽きないし楽しいし感動する。こんな素晴らしい作品に出会えると思ってなかったです…!
近くの映画館が上映してくれる限り、まだまだ何度も足を運ぼうと思ってます!!新海誠監督!素敵な作品をありがとうございます!