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うなりの現象で大きさが変化する波の周波数はいくらか? 理論値と実験による測定


まえがき

 周波数がわずかに異なる2つの音を同時に聴いた場合、周期的に音が小さくなったり大きくなって聴こえる現象「うなり」が知られている。
 それでは、この「大きくなったり小さくなったりして聴こえる音」自体の周波数(高さ)は幾らになるのだろうか?
本記事では、理論的にこの周波数が2つの音の平均値であることを示し、実際に測定を行った結果をまとめる。

この記事で伝えたいこと

・周波数$${340\ [Hz]}$$と$${350\ [Hz]}$$の音を同時に聴いた場合聞こえる音の周波数の理論値と測定値は下記の表1の通り
・「JavaLab (Webサービス)」「Spectroid (for Android)」「Sonic Tools SVM (for iPhone)」で周波数を測定して理論値と照合出来る

表1

一般論

波の重ね合わせは下記のように三角関数和積の公式を用いて計算される。

$$
y(x,t)=\sin\Bigr(2 \pi \bigl( \frac{x} {\lambda_1} - f_1 t \bigr) \Bigr) + \sin \Bigl( 2 \pi \bigl( \frac{x} {\lambda_2} - f_2 t \bigr) \Bigr)\\ \ \\
=2\sin \Bigl(\pi \bigl( \frac{x} {\lambda_1} + \frac{x} {\lambda_2 } - f_1 t -f_2 t\bigr) \Bigr) \cos \Bigl(\pi \bigl( \frac{x} {\lambda_1} - \frac{x} {\lambda_2 } - f_1 t + f_2 t\bigr) \Bigr) \\ \ \\
=2\sin \Bigg(\pi \Bigl(x( \frac{1} {\lambda_1} + \frac{1} {\lambda_2 } )- (f_1 + f_2) t\Big) \Bigg) \cos \Bigg(\pi \Bigl( x(\frac{1} {\lambda_1} - \frac{1} {\lambda_2 }) -  (f_1 - f_2) t \Bigr) \Bigg) 
$$

近い周波数の音を同時に聴いた時、

$$
\cos \Bigg(\pi \Bigl( x(\frac{1} {\lambda_1} - \frac{1} {\lambda_2 }) -  (f_1 - f_2) t \Bigr) \Bigg)
$$

の部分の効果により「うなり」が起きる。

大きくなったり小さくなったりして聴こえる音の周波数は

$$
\sin \Bigg(\pi \Bigl(x( \frac{1} {\lambda_1} + \frac{1} {\lambda_2 } )- (f_1 + f_2) t\Big) \Bigg)
$$

の部分の方であり、周波数は

$$
f = \frac{f_1 + f_2}{2} \ \ \cdots (1)
$$

となる。

具体的な理論値計算

周波数$${f_1= 340\ [Hz]}$$と$${f_2= 350\ [Hz]}$$の音を聴くとすると、上式より(大きくなったり小さくなったりして)聴こえる音の周波数$${f}$$の理論値は

$$
f = \frac{f_1 + f_2}{2} = 345\ [Hz]
$$

となる。

実験による測定値

実験では、周波数ジェネレーターを用いて$${f_1= 340\ [Hz]}$$と$${f_2= 350\ [Hz]}$$の音を同時に発生させた。
そして、この音をSpectroid(Android App)を用い測定した所、345.7Hzで音が大きくなったり小さくなったりする事が確認できた。

v340と350の間の345付近(345.7Hz)で大きさが変動している(0.1倍速)
observed by Spectroid (Android App)

測定に使えるアプリ紹介

Webサービス(無料)

Thanks you very mach! 

Androidユーザー用(今回の音の生成,測定はこちらで行いました)

Thanks to Hoel Boedec

Thanks to Carl Reinke

iPhoneユーザー用

Thanks to Takuji Matsugaki


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