
ローレンツ力の大きさの具体的な計算(実験を念頭に)
結論:電池とネオジム磁石を使うと、ローレンツ力によってアルミ棒は静止摩擦係数が$${0.4}$$未満であれば滑り出す。
導線に働くローレンツ力の大きさ
今回の記事では、下記を認めることにする。(説明は高校物理の教科書に記載されている。)
大きさが$${B\ [T]}$$の磁場の下に、長さ$${L\ [m]}$$の導線を磁場の方向と垂直に置き、電流$${I\ [A]}$$を流すと、導線には力$${F=lBL}$$が働く。
導線に働くローレンツ力の大きさの理論値計算
では、実際ローレンツ力$${F}$$の大きさはどの程度になるのかを計算してみる。
$${0.2\ [T] = 200\ [mT]}$$の磁場をネオジム磁石で設け、
磁場に垂直に$${0.02\ [m] = 2\ [cm]}$$のアルミ棒を配置する。
このアルミ棒に$${1\ [A]}$$の電流を流す。
この時、ローレンツ力の値は
$$
F=IBL=1 \times 0.2 \times 0.02 = 0.004[N]
$$
となる。
アルミ棒に働く重力の大きさ
上記のローレンツ力が加わった時、アルミ棒は滑り出すだろうか?
これを計算するためにまず、アルミ棒の重さを計算してみる。
・アルミ棒の半径:$${r = 2.5\ [mm] = 2.5 \times 10^{-3}\ [m]}$$
・アルミの比重:$${\gamma = 2.7\ [g\cdot cm^{-3}] = 2700\ [kg\cdot m^3]}$$
として、
$$
m= \pi r^2 \times d \times \gamma \\ \ \\= \pi (2.5 \times 10^{-3})^2 \times 0.02 \times 2700 \\ \ \\= \pi \times 2.5^2 \times 2 \times 2.7\times 10^{-5} \\ \ \\ \fallingdotseq 0.00106\ [kg] \fallingdotseq 1\ [g]
$$
程度となり、このアルミ棒に働く重力は、
$$
mg \fallingdotseq 0.00106 \times 9.8 \fallingdotseq 0.01\ [N]
$$
ローレンツ力でアルミ棒が滑り出すための静止摩擦係数の条件の計算
水平面に物体を置いて水平に力を加えた時の最大静止摩擦力は$${F_{max}=\mu mg}$$で書けるので、物体が滑り出すための条件は
$$
F_{max}=\mu mg = \mu \times 0.01< IBl =0.004\\ \ \\
\Leftrightarrow\mu <\frac{0.004}{0.01}=\frac{4}{10}=0.4
$$
まとめ
上記の考察から、静止摩擦係数が$${0.4}$$よりも小さければアルミ棒が滑り出す。検索を掛けてみるとこの$${\mu <0.4}$$という条件はそこまで厳しいものではなく、この事から実験でも観測が可能である事が理論から感じ取れる。
実際に実験をして遊びたい人用
自分はこれで色々と実験をしている。