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【ソレノイドコイル】 自己インダクタンスの理論値と測定値の照らし合わせ

概要

自作した細長いコイル(ソレノイドコイル)に電流を流すと、電流$${I\ [A]}$$の大きさに比例してコイル自身を貫く磁場が生成される。コイルを貫く磁束$${\Phi\ [Wb]}$$(磁場の面積分値)とコイルに流す電流の比例定数を$${L\ [H]}$$(ヘンリー)と書くと、

$$
\Phi = L I \ [Wb]
$$

と表せる。この比例定数$${L}$$を自己インダクタンスと言う。
この自己インダクタンス$${L}$$は近似をすると比較的簡単に理論計算が可能であり、測定をする機械は5000円程度で手に入れることができる。結果は下記のようになった。

結果

理論値: 約$${21.64\ [\mu H] }$$(マイクロヘンリー)
測定値: $${21.00\ [\mu H] }$$
測定値と理論値のズレ: $${21.64\cdots-21.00\fallingdotseq 0.64\ [\mu H] }$$
測定値と理論値のズレの割合 :
測定値と理論値のズレ$${\div }$$理論値$${\displaystyle \fallingdotseq \frac {0.64} {21.64} = 2.95\cdots\% }$$

諸物理量

・コイル巻数:$${N=300\ [ }$$回$${]}$$
・コイル長さ:$${L=30\ [cm] }$$
・コイル巻き密度:$${n=1000\ [m^ -1 ] }$$
・コイルを巻きつけている管の半径:$${R=4\ [mm] }$$
・導線半径:$${r=0.275\ [mm] }$$

測定値

測定値は下記の通り$${21.00\ [\mu H]}$$(マイクロヘンリー)となった。

動画の1シーン

理論値計算


コイル断面

コイルの断面積$${S\ [m^2] }$$を管の中心から導線の真ん中までを半径とすると、

$$
S=\left(R+r\right)^ 2 \ \ [m^2]
$$

コイルに電流$${I\ [A] }$$を流した時のコイル内部の磁束密度$${B[T](テスラ)}$$はコイルが無限に長い近似を行うと

$$
B=\mu_ 0 nI\ \ [T]
$$

電流$${I\ [A] }$$をコイルに流した時にそのコイル自身を貫く磁束は、巻き数$${N }$$,断面積$${S\ [m^2]}$$,磁束密度$${B\ [T]}$$の積で与えられるから、

$$
\Phi =\ NSB \\\ \\
=\ N \times \left(R+r\right)^ 2 \pi \times \mu_ 0 nI \\\ \\
=\ 300 \times \left (\left (4+0.275 \right)^ 2 \times 10^ -3 \right)^ 2 \pi \times4 \pi \times10^ -7 \times1000 \times I \\\ \\
=\ 3 \times \left( 4 + 0.275 \right)^ 2 \times 4 \times \pi^ 2 \times 10^{ -8} 
\\ \ \\ = \ 21.64\cdots\times10^{-6} \times I\ \ \ [Wb]
$$

自己インダクタンス$${L}$$の定義より、$${L}$$は$${\Phi \ [Wb]}$$と$${I\ [A]}$$の間の比例定数であるから、

$$
L = 21.64\cdots\times10^ {-6} [H] \fallingdotseq 21.64\ [\mu H]
$$

もっと物理を楽しみたい人用

Youtube動画では、こちらのLC200Aという測定器を用いた。Amazonで色々な価格,ブランドでLC200Aという(同じはずの)測定器が出品されている(謎)中でも口コミがついているものを選んで掲載しておく。お金は掛かるが物理の理解は深まると思う。

こちらでも測定可能。(取扱説明書を読むとLC200Aの方が精度が良いが)


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