【ソレノイドコイル】 自己インダクタンスの理論値と測定値の照らし合わせ
概要
自作した細長いコイル(ソレノイドコイル)に電流を流すと、電流$${I\ [A]}$$の大きさに比例してコイル自身を貫く磁場が生成される。コイルを貫く磁束$${\Phi\ [Wb]}$$(磁場の面積分値)とコイルに流す電流の比例定数を$${L\ [H]}$$(ヘンリー)と書くと、
$$
\Phi = L I \ [Wb]
$$
と表せる。この比例定数$${L}$$を自己インダクタンスと言う。
この自己インダクタンス$${L}$$は近似をすると比較的簡単に理論計算が可能であり、測定をする機械は5000円程度で手に入れることができる。結果は下記のようになった。
結果
諸物理量
測定値
測定値は下記の通り$${21.00\ [\mu H]}$$(マイクロヘンリー)となった。
理論値計算
コイルの断面積$${S\ [m^2] }$$を管の中心から導線の真ん中までを半径とすると、
$$
S=\left(R+r\right)^ 2 \ \ [m^2]
$$
コイルに電流$${I\ [A] }$$を流した時のコイル内部の磁束密度$${B[T](テスラ)}$$はコイルが無限に長い近似を行うと
$$
B=\mu_ 0 nI\ \ [T]
$$
電流$${I\ [A] }$$をコイルに流した時にそのコイル自身を貫く磁束は、巻き数$${N }$$,断面積$${S\ [m^2]}$$,磁束密度$${B\ [T]}$$の積で与えられるから、
$$
\Phi =\ NSB \\\ \\
=\ N \times \left(R+r\right)^ 2 \pi \times \mu_ 0 nI \\\ \\
=\ 300 \times \left (\left (4+0.275 \right)^ 2 \times 10^ -3 \right)^ 2 \pi \times4 \pi \times10^ -7 \times1000 \times I \\\ \\
=\ 3 \times \left( 4 + 0.275 \right)^ 2 \times 4 \times \pi^ 2 \times 10^{ -8}
\\ \ \\ = \ 21.64\cdots\times10^{-6} \times I\ \ \ [Wb]
$$
自己インダクタンス$${L}$$の定義より、$${L}$$は$${\Phi \ [Wb]}$$と$${I\ [A]}$$の間の比例定数であるから、
もっと物理を楽しみたい人用
Youtube動画では、こちらのLC200Aという測定器を用いた。Amazonで色々な価格,ブランドでLC200Aという(同じはずの)測定器が出品されている(謎)中でも口コミがついているものを選んで掲載しておく。お金は掛かるが物理の理解は深まると思う。
こちらでも測定可能。(取扱説明書を読むとLC200Aの方が精度が良いが)